最終話 スペクトラムマンよ!永遠に!! その3

スペクトラムマンよ!永遠に!! 最6章 ------------------


同日同時刻


アメリカ合衆国


大統領官邸地下500m(リラ姐さんには全く意味をなさないが)に

ある、大統領専用地下シェルター兼アメリカ軍総司令部兼「対外宇宙

侵略機構」総司令部。


ここでは、ジェームズ…プッシュ暫定大統領はバイブル将軍より報告

を受けていた。

(なんで暫定大統領なのかというと、未だにこの前の選挙戦の票の読

み直しを訴える者がいるせいだった。(爆))


プッシュ「……そんなやつら、核ミサイルでやっつけちまえばいいじ

ゃないか?」

バイブル「やつらにゃ、核爆弾も効かないんだ」

プッシュ「じゃ、中性子爆弾は??」

バイブル「中性子爆弾も核爆弾だよ」


うんざりして答えるバイブル将軍であったが、そのアイデア自体は悪

くないと思っていた。透過力の高い中性子なら少しはダメージを……

いや、結局、敵が多すぎる。核弾頭が運よく鉛に変わらないで相手に

命中したとしても、地球はリラ博士の言う通り、尋常でなく汚染され

てしまう……。


その時、司令室のモニターに勝手にスイッチが……


バイブル「……また、リラ博士の警告か??」

プッシュ「やつらの撤退宣言かな?」←ちがうだろっ!!


モニターに写ったのは白い発光体。ネピラ宇宙警察の小型UFOであ

った。


UFO 「私はスペクトラムマンの仲間です。あなたがたにお願いが

     あります」

プッシュ「すぺくとらむまん……なあに?それ??」

バイブル「おのれはだまっとれ!!……司令官のバイブルであります!

     どんなご用件でありましょうか??」

UFO 「あなた方 対外宇宙侵略機構 に所属する潜水艦がまだ、

     太平洋に隠れているはず……。その潜水艦より日本を攻略中

     のヨンダーゲイ1号機にミサイルを放っていただきたいの

     です」


確かに太平洋には万一の事を考えて、原子力潜水艦 ネプチューンⅢが

待機中であった。だが、この存在はバイエル将軍以下数人だけの知る

トップシークレットだったのだが……。


絶句するバイブル将軍にUFOは続けて話しかける。


UFO 「潜水艦の存在はリラ博士も知っています。放ってあるのは、

     自分たちに効果がないのを知っているからです。ですがそれ

     を逆手にとりましょう。今、あえて発射すれば陽動作戦には

     なるでしょう」

バイブル「!!陽動作戦ですと……では!?」

UFO 「そのスキにスペクトラムマンがヨンダーゲイに接近します」


30分後……

太平洋上から、放たれた6本の核ミサイルは日本到達前に無力化し海底

に沈んだ。ネプチューンⅢは核燃料が鉛に変化し、浮上したまま救助を

待つこととなった。


しかし、そのスキをついてスペクトラムマンは日本に降下、さらにそれ

を二重の陽動としてネピラ警察の小型UFOはリラ博士の秘密基地に、

潜入成功したのであった。


…………………………………………


ついにヨンダーゲイ1号機と対峙したスペクトラムマン。


「スペクトラムフラーッシュ!!」

ちゅどーん!!(爆発音)


リラ姐さん「きゃー!!まったく、今頃しょ~ぼいミサイル発射して

      なんなのかしらと思えば、スペクトラムマン!! 

      生きていたのね!?」


スペクトラムマン「をい!!いつこのオレサマが死にましたか?この、

         宇宙猿軍団が!!

         とにかくぶっ倒す!!!」


リラ姐さん「おほほほ……。私に人質がいることを忘れたの!?これ

  以上暴れるとあのメス人間がどうなると……

      あら……いない?? 」


…………………………………………


その頃、ネピラ警察の小型UFOは玲子を乗せて富士山頂の秘密基地

から脱出に成功していた。


玲子 「はっ、ここはどこなの!?私は?」


UFO「もう大丈夫です。あなたは助かりました。私はスペクトラム

 マンの仲間です」


玲子 「……スペクトラムマン?あの巨人ね!?」


UFO「あなたは今、小型UFOの中にいます。あなたを助けるため、

 蒲生博二は侵略者と戦っています」


玲子 「私を助けるため……?いったい、どういうこと??」


UFO「スペクトラムマンの正体は蒲生博二なのです。  」


…………………………………………


リラ姐さん「まったく……さてはネピラ警察のしわざね!他の惑星の

      人間が未開文明人に干渉してはいけない……。これは、

      ネピラ宇宙警察自身も同じ事。だからこそ現地人の捜査

      官をスカウトするのに、直接現地人を救出するなんて!

      厳罰ものだわ!よほどあなたに肩入れしているのね。

      まさかそこまでやるとは思わないから油断していたわ」


スペクトラムマン「(UFOのやつ、そんな事一言も……。)

         リラ博士!!俺と勝負しろ!そして俺が勝ったら

         地球から手を引け!!」


リラ姐さん「おーほほほほほ……あきれた。私に勝てるつもりなんて

……。いいでしょう!そのかわり、私が勝ったら……今

度はあなたが二度と抵抗できないように変身能力を剥奪

させてもらうわ……。わかったわね!?

   ……御覧なさい!私の最後の切り札を!! 」


リラ博士の声と共に、空飛ぶ巨鯨、ヨンダーゲイ1号機の口が大きく

開いた。


その中から出てきたものは……


体長50mに巨大化したリラ姐さんの部下、


ゴーであった。


「おほほほほほ!紹介するわ。私の部下、ゴーよ!

変身能力の応用……


ネピラ警察にできることなら私にもできるのよ!

スペクトラムマン!覚悟なさい!!!」




スペクトラムマンよ!永遠に!! 最終章 ------------------

 


リラ博士の声と共に空飛ぶ巨鯨、ヨンダーゲイ1号機の口が大きく開

いた。


その中から出てきたものは……体長50mに巨大化した、リラ姐さん

の部下、ゴーであった。


「おほほほほほ!!ネピラ警察にできることなら私にもできるのよ!


スペクトラムマン!覚悟なさい!!!」


…………………………………………


ゴーは、おもむろに手裏剣を投げるかのような動作を行うとともに吼

えるように叫んだ。

「リラ…ゴーフラッシュ!!!」


巨大ゴーの指先からウルトラマリーンのビームが発射!!


スペクトラルマン「なんだと?!!!!!」


スペクトラルマンに命中!!

ちゅどーん!!(爆発音)


「くっ……」


思わず片ひざをつくスペクトラルマン。

ゴーはすかさず追い討ちをかける。

「リラ…ゴーフラッシュ!」


……なんでゴー…リラフラッシュじゃないの?と突っ込むまもなく、

スペクトラムマンはからくもよけた。


「俺の名はゴー。誇り高き惑星G(ゲイ)第一の戦士だ……」

(をい!お前しゃべれたのかいと突っ込む方もいらっしゃるかもしれ

ませんが、実はいままでもさりげなくしゃべってます。)

「スペクトラムマンよ!貴様の挑戦、受けて立とう!!」


…………………………………………


玲子  「!? な、何を言いだすの?彼は普通の人間だし、私とは

  なんの関係もないし……」


UFO 「関係がない?彼は人類のため、いや、むしろあなたのため

  に今、こうして戦っているではありませんか?」


小型UFO内にスペクトラムマンの映像が映し出される。写しだされ

たのは富士山をバックににらみ合う、スペクトラムマンとゴーである。


…………………………………………


スペクトラムマンの周囲をヘトロン、ネオヘトロンらプリティ獣部隊

が、まるで円形の闘技場(アリーナ)かのように大きくとりまき……

その中央で二つの巨大な影が対峙する。


長いようで短い一瞬……両者同時に動いた。


「スペクトラムフラッシュ!!」 「リラ…ゴーフラッシュ!!」


双方、お互いに命中、しかし、両者一歩も動かない。

すかさず、同時に叫ぶ。


「スペクトラムフラッシュ!!!」 「リラ…ゴーフラッシュ!!!」


またもお互いに命中!!


「スペクトラムフラッシュ!!!」「スペクトラムフラッシュ!!!」

「スペクトラムフラッシュ!!!」……


「リラ…ゴーフラッシュ!!!」「リラ…ゴーフラッシュ!!!」

「リラ…ゴーフラッシュ!!!」……


お互いの技をよけもせず連発する両者。

両者が同等の能力、全く同じ決め技となると持久戦にもつれ込むしかない。


スペクトラムマン「リラ…ゴーフラッシュはスペクトラムフラッシュと同じ

威力……。あれを受け続ければいくら不死身のスペクトラムマンでも持た

ない……。しかし、やつのモーションは俺より遅いようだ。勝機はある」


スペクトラムマンの連発スピードが上がる。


「スペクトラムフラッシュ!!!」「スペクトラムフラッシュ!!!」

「スペクトラムフラッシュ!!!」「スペクトラムフラッシュ!!!」

「スペクトラムフラッシュ!!!」「スペクトラムフラッシュ!!!」

「スペクトラムフラッシュ!!!」「スペクトラムフラッシュ!!!」

「スペクトラムフラッシュ!!!」……


「リラ…ゴーフラッシュ!!!」「リラ…ゴーフラッシュ!!!」

「リラ…ゴーフラッシュ!!!」「リラ…ゴーフラッシュ!!!」

「リラ…ゴーフラッシュ!!!」「リラ…ゴーフラッシュ!!!」……


戦いは永遠に続くかと思われた。


全人類がこの壮絶な戦いを見守る中……

しかし、先に崩れたのはスペクトラムマンであった。


スペクトラムマン「くっ……俺のスピードはやつの1.5倍……俺が

         100発食らっていたとして、やつは150発。

         なぜ、やつは倒れないんだ……?」


ひざを突いたところに、追い討ちを食らって倒れこむスペクトラムマン。


スペクトラムマン「しまった……。やつは俺なんかより、はるかにタフ

         なんだ。スピードを十分カバーできるほどに……」


…………………………………………


倒れこむスペクトラムマンの姿に、絶句する玲子。


UFO 「これが、あなたがパシリ程度にしか思っていなかった蒲生博二

     の姿です」


次の瞬間、玲子は叫んでいた。


「スペクトラムマン……蒲生くん!

立って!!立ち上がって!!」


スペクトラムマン「今、玲子さんの声がしたような気が……」


スペクトラムマンが体を起こす。


「こうなれば……俺の体が耐えられるかわからないが、イチかバチか

残りの全エネルギーをやつに叩き込むしかない!!」


「リラ…ゴーフラッシュ!!!」

「スペクトラムフラッシューーーーーー!!!」


スペクトラムマンから放たれた巨大なビームはゴーを直撃した。


ゴーは驚愕したような表情でしばらく仁王立ちになっていたが、やがて、

ゆっくりと倒れた。


スペクトラムマン「あと、一発……最後の一撃だ……」


スペクトラムマンがとどめをさそうとした瞬間、リラ博士の声が響き渡った。

「おやめなさい!!」


リラ博士「地球はあきらめるわ。ナノマシンも活動停止させ廃棄します。」


「 ……私たちの負けよ。ゴーを失うわけにはいかないわ。

 

 故郷を失くした私にとってたった一人の家族だもの……。 」




…………………………………………


こうして、地球は救われた。


プリティ獣は撤収し、リラ博士の巨大UFOは11機のヨンダーゲイ

とともに宇宙へと去っていった。


地球は歓喜に包まれたが、スペクトラムマンの正体は最後までわから

なかった。


変身ユニットのエネルギーまで使い果たした蒲生博二は、二度と変身

できなくなった。


ネピラ警察のUFOも博二に別れをつげ、再びリラ博士を追って宇宙

のパトロールに旅立っていった。


玲子と博二はその後どうなったかは分からない。


だが、蒲生博二は三年後に結婚したことは付け加えておこう。


…………………………………………


ここは大宇宙を旅するリラ博士の円盤内……。


リラ博士「ちょっと、ゴー!!!!!!」


ゴー「ウッホ?」


リラ博士「……ウッホじゃないわよ!

     なに、わざと負けてやってんのよ!!! 」


ゴー「ウー……ウホウホ!ウッホッホ!!」


リラ博士「何、見どころがあるやつだったって!?そんなことでいち

     いち侵略をあきらめてたらいつまでたっても放浪者じゃな

     い!!ちょっと聞いてんの!?」


ゴー「グー……」


リラ博士「寝てんじゃないわよ!!次、行くわよっ!!!」


ゴー「ウッホ!!」


をい、しっかり起きてるやん。と、突っ込みする間もなく去っていく

UFO。


その後を追うネピラ警察。


こちらの方の物語は全く終わってないのだった。


…………………………………………


とりあえずこうして、地球の平和は保たれた。

さらば、スペクトラムマン!!


われわれは君の事を忘れないだろう。


スペクトラムマンよ!永遠に!!


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