第三話 スペクトラムマン
今日も、IQ3000の天才宇宙人リラ博士(リラ姐さん)は研究にいそしんでいたが、なにか新発見したようである。
リラ姐さん「見て!ゴー。これはすばらしい食品だわ。体に有用な菌が生きたまま腸に届くのよ!地球の食べ物も侮れないわね。」
ゴー 「ウッホ!ウホホホホウッホッホ?」
リラ姐さん「臭い?まあ、多少の欠点は残しておきましょう。いままでもっと臭かったんだし、環境の急激な変化は地球人のためによくないわ! 」
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蒲生博二はショッピング街へ急いでいた。なんと大学の同窓生、あこがれの玲子さんから初めて呼び出しが!!
玲子「蒲生くん!こっちよ」
博二「あっ……れ、玲子さん!!………って、え?」
待ち合わせ場所には玲子以外に数人の女の子……と山のような荷物。
「悪いわね!荷物係たのんじゃって。明日、実家に帰るからつい買い込んじゃって……。じゃ、これ寮まで届けておいてね」
「へ?……あ、いやなにその、ま、任せてください!!こう見えても力があるんですよ。わはは」
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名古屋市………道路の幅が異常に広く、また、結婚式にむちゃくちゃ金がかかるとされる謎の街である。(拙者は地味婚がいいです。)
「あ、あれはなんだ?」
「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、本当になんなんだ!?」
それは、なにか長さ300mはありそうな、空飛ぶピンクのクジラであった。
頭部にはコックピットがあり、リラ姐さんとゴーが搭乗している。
リラ姐さん「さて、今回、このプリティ獣 ヨンダーゲイ(呼んだ?ゲイ なんちゃって)には新兵器 拡散ビーム砲が積んであるのよ。ゴー!そこのドクロのボタンを押して!」
なぜにドクロ?と突っ込むまもなく
ゴー 「ポチっとな」
次の瞬間……大きく開いたヨンダーゲイの口から無数のショッキングピンクのビームが四方、八方に放たれた!!
………………………………………
叶美穂子女史は化粧品会社の社長、美穂子ブランドの化粧品とエステサロンはセレブに馬鹿受け!………若く、美しく自らも超セレブなのである。
(ごめんなさい。拙者=作者=は貧乏なのでセレブな表現ができないでござる……。)
30階だての高層マンションの30階の1階層まるごと住居にしているセレブな部屋に今日もワイングラス片手にガウンなどはおり、下界を見下ろしてみては「人が蟻のようだ」とかつぶやいちゃっているのである!!
と、そのとき……遠くの空に小さなピンクの物体が!
「アレは何かしら? 」
次の瞬間!ショッキングピンクのビームであたり一体が埋め尽くされ、当然、美穂子女史もビームの光に包まれた。
「な、何なの!? 一体……。別になんともないようだけど……」
しばらく経っても何の変化もないようだ。
「まあ、いいわ。おトイレにでもいきましょ……」
そして少し間があいて、たまげる(文字どおり 魂消 るような)悲鳴がトイレから響いた!
「ひえええええええええええええええええええええええええええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
最後、悲鳴が途絶えたのは……女史が失神したからであった。
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蒲生博二は落ち込んでいた。せっかく玲子さんと話す機会があったのに、何も切り出せなかったのである。
「何を落ち込んでいるんです?」
声に目をあげると、いつの間にか直径2メートルの球体=ネピラ宇宙警察のUFOが座敷にあがりこんでいる。
博二「……びっくりする元気もない」
UFO「こりゃ、重症ですな。とにかくTVをつけてください」
アナウンサー「臨時ニュースを申しあげます……名古屋市に巨大な、ピンクのクジラがあらわれ、住民をビームで襲っています。ビームに当たった者は大腸から直腸でなぜか納豆……」
博二「な、名古屋!? 玲子さんの実家だ!! 玲子さんっ!!」
あわてて携帯に飛びつくと連絡しようとするが連絡がとれない。
UFO「昨日、ちょっとみていましたが……全然相手にされてないじゃないですか……?万一、ものにできたところであんな気の強そうな女性、尻にしかれるのが目にみえてますな」
博二「おいっつ、こら!UFO!!スペクトラムマン出動だ!!!」
UFO「ひ、ひえ~~……。りょ、了解しますたっ!!!!」
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リラ姐さん「みなさ~ん、お元気ですか?(はーと)」
プリティ獣 ヨンダーゲイ からはリラ姐さんのTV放送が始まっていた。
お得意のTVジャックである。
地上波はおろか衛星放送なぜかケーブルTVにいたるまで、どのチャンネルを回してもリラ姐さんのアップ。
渋谷なんかの大型街頭TVも全部リラ姐さん……。結構シュールな場面である。
「今度の拡散ビーム砲が今までと違うところは、建物の壁も通しちゃうとこなの。ウフッ。逃げてもム…ダ…ですよ。」
「ピンクの搬送ビームで送られたナノマシンが皆さんの大腸と直腸を納豆工場に変えます。納豆も原子レベルで変換を行っているので、とっても清潔! 清潔さを保つためにみなさんの腸はカーボンナノチューブで裏打ちされます。売ってる納豆よりはるかに清潔ですよ。ですから食べても全く問題ありませんよ……」
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とにかく……ビームを浴びたものは、う○こが納豆になってしまうのであるっ!!
どっかーーん!!(効果音)
納豆ぎらいの人にとっては大パニック!!
納豆好きの人は事態を冷静に受け入れた。
↑をい!受け入れるんかいっ!?
大体、日本の食品でこれほど好き嫌いのはっきり分かれる食べ物があるだろうか??
事態を悟った納豆ぎらいの人々は、先を争って名古屋市からの脱出を試みたが、市外からなだれ込む納豆好きの連中にはばまれ大混乱。
道路は混雑、電車はストップ……交通機関はマヒ状態。
げに恐ろしきは納豆のパワー……といったところである。
あいかわらず、自衛隊は手出しがでず、米軍なんて納豆の恐怖の前に完全にノータッチ、である。
(ただし一部、納豆好きのパイロットからは偵察志願が殺到したのであった。)
下手に攻撃しても市街を破壊するおそれがあるし、そもそもプリティ獣には巡航ミサイルも効果なし。
あらゆる攻撃を受けても平然としているのである。
別にケガする人がいるわけではなし、害といえば……う○こが納豆になるだけ。
いつものごとく、大した抵抗もできないまま、あきらめモードに突入していた。
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リラ姐さん「残念ながら、拡散ビーム砲は一時間に一発しか打てないけど、ここの人口密度なら一発打つごとに10万人は処理できるわ。この街の制圧も時間の問題ね!」
ゴー 「ウホホホ?」
リラ姐さん「そうね、次はあの脱出組を攻撃よ。納豆がイヤなんて全く贅沢ね!……ま、ゴー! 納豆食べるか、ビームを操作するか、どっちかになさい!!」
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蒲生博二のあこがれの人、玲子は家族と車で名古屋を脱出する途中で渋滞に巻き込まれ、立ち往生をしていた。
玲子の父「もう1時間も動かん……。一体、どうなっているんだ?」
そのとき、視界の隅にピンクの影が……。
玲子「きゃーーーーーーーーっ!ピンクのクジラよ!!納豆ビームなんか浴びたらお嫁に行けない!!!」
こいつ納豆に失礼だろ!!素直に納豆好きの男探せや!!
と、突っ込みたいところだが、
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リラ姐さん「おーっほほほ!今回は特にサービスしちゃおうかしら?ゴー!!新開発のワラ入り納豆ビームを準備!!」
ゴー 「ウホ!マジ?」
うわ!! さすが宇宙人(猿人だが)やることがむちゃくちゃ……大体、ワラ入り納豆なんて生産する事になったら拙者=作者=でもお婿にいけないわ……と思う間もなく、
とにかく絶対絶命……いや絶対絶豆の大ピンチ!!
「をい!」
リラ姐さん「ゴー!あそこでわめいてる小娘……なんかむかつくわ!!重点的に攻撃よ!!」
「をいっ!!!」
ゴー 「ムホ!?」
リラ姐さん「っるさいわね!!ゴー!何か言った?」
「てめーーーーっ!!!
無視すんじゃねえーーー!!!!!!!!」
リラ姐さん「きゃあああっつ!!下等動物!!」
スペクトラムマン「誰が下等動物だ!?この、宇宙モンキーセンターが!!!ぶっ殺してやるっ!!!!」
ところが、今日のリラ姐さんは余裕しゃくしゃくであった。
リラ姐さん「おほほほ。かかったわね?スペクトラムマン!!ゴー、作戦Bよ!」
ゴー 「ムッホ!」
スペクトラムマン「何だと!? 」
次の瞬間、ヨンダーゲイの拡散ビームが一点に集約されスペクトラムマンを直撃!!
スペクトラムマン「くっ……何も見えん!!」
リラ姐さん「またあらためて会いましょう……スペクトラムマン!」
スペクトラムマンの視力が復活した頃には、ヨンダーゲイは大気圏を高速離脱した後であった。
スペクトラムマン「……どういう事だ。やつは何をたくらんでいるんだ?」
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玲子は恐怖と危機から開放された安堵から号泣していた。
スペクトラムマンは博二にもどって慰めようかと一瞬考えたが……
「やーめた……。ストーカーに間違えられるのがオチだ(涙)」
とりあえず、またも地球の平和は保たれた!!
がんばれ!!スペクトラムマン!
地球に平和のよみがえるその日まで!!
最終話予告もみてね!
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