第二話 宇宙猿人 リラ 対 スペクトラムマン

大阪市。

阪神が優勝して盛り上がり、ロッテが優勝して盛り下がる謎の街である……。


その上空に、巨大なアダムスキー型UFOが現れた。

宇宙猿人 リラ博士の円盤である!!


リラ姐さん「んまー……、この街の人たちの感情グラフをみると、わずか一週間ほどのの間に絶頂から絶望のズンドコ……じゃなくでどん底に落ちているわ。なんでかしら……??」

ゴー   「ウッホ?」


いくらIQ3000のリラ姐さんといえども、日本シリーズで阪神がロッテに4タテくらって意気消沈の大阪人の心までは分析できないようだ。


リラ姐さん「こーいう時はあれしかないわね(はーと)。ゴー!新型プリティ獣降下よ!」


ゴー   「ウホホ!」


……………………………………………


UFOから巨大な怪物が現れた。まつげが長く妙になまめかしい目つきの、二本足で歩行するピンクの象のようなものだ。


ピンクの象=怪獣 ねおへとろん=がパープルのビームを発射する。


北浜の証券会社勤務 営業職、東京出身、なれない土地での単身赴任3年目(おつかれさまです)の磯田マスオ氏はビームの直撃を受けた。

 ちゅどーーーーん。(注:爆発音です。)


「うひゃーーっつ。あいたたたたあ」


氏はすでに先週、帰郷中、怪獣 へとろんの攻撃をうけ、わきからレモングラスの芳香がするようになり、おとくいさんからも受けがよくなっていた。


「えーと……。わきのにおいが変わるってことは……ないみたい……?他にも変わったところはないみたいだし……一回、ビームを受けるともう、きかないのかな?」


マスオ氏は寮に帰ると、まずトイレ……次の瞬間、絹を裂くような悲鳴がご近所中に響きわたった!!

「ひええええ~~~~~!! 」


時を同じくして、大阪中のトイレから悲鳴が沸きあがったのである!!


……………………………………………


翌日、泌尿器科に駆け込んだマスオ氏。

「先生!本当のことを言ってください!!こ、これはなんですか?? もしかして大変な病気では??あと私の命はどれくらい………!? 」


目の前の検尿カップの中には真っ赤な液体が入っている。


「まー、おちつきなはれ……」

医者が難しい顔をして重々しく告げる。

「これはワインです。 」


……………………………………………


「臨時ニュースを申し上げます。昨日、大阪市を襲った怪獣ねおへとろんのビームを浴びた被害者は30万人にのぼります。なお、政府はビームを浴びた人間の尿が酒になってしまう件を調査中……ガガ……ガガガ……」


蒲生博二(ガモウひろじ)はTVを見ながら、茶漬けをたべていた。今月はもう、おかずを買う余裕がないのである。


博二「また、このTVぶっ壊れやがって……」とミドルキックのバックスイング中に突然、画面が切り替わり、ゴリラの顔が映った。

ゴリラは妙なことに……金髪でピンクの詰襟を着ていた。ご丁寧に胸には大きなハート型のバッチをつけている。


「みなさ~~ん!!こんにちわ!私の名はリラ博士。地球の支配者ですよ!リラ姐さんって呼んでね(ハート)」

ゴリラは身振り手振りたっぷりに視聴者に語りかける。


リラ姐さん「ピンクの搬送ビームにより体に送りこまれたナノマシンが皆さんの腎臓をお酒の工場に変えます。ついでに尿道も膀胱も尿管も特殊カーボン繊維で裏打ちするので、とっても清潔ですよ!売って

るお酒よりよっぽど安心して飲めるわよ。ウフッ。出てくるお酒は人

によって違うの……。その方がおもしろいでしょ?」


博二「……………………。なあに?これ??」


「それがわれわれの敵、リラ博士です。 」


博二「わーびっくりした!! 」


いつのまにか直径2mの小型UFOが座敷の中に上がりこんでいる。

ネピラ宇宙警察だ。


UFO「スペクトラムマン!変身を許可する。大阪市を救うのだ! 」


博二「イヤです」きっぱり。

「寒いし、遠いもん!!」


UFO「時給 850円」


博二「あーあーあー。聞こえない」


UFO「時給 950円」


博二「フン…………」


UFO「時給 1050円」


博二「………………」


UFO「時給 1150円」


博二『あと、もう一声まってやれ……。』


UFO「……時給 950円」


博二「待たんかいっ!!減るんかい!?しかも200円も!!!」


UFO「早く決断しないともっと減ります。時給………」


博二「わー!!やりますやります、やらしてください!!! 」


……………………………………………


とにかく、ビームを浴びたものは

おしっこが酒になってしまうのである!!(ど~~ん!!)


未成年者やアル中はソフトドリンク、飲みすぎた次の日は整腸薬がでるキメのこまかさ……。ビームを浴びた次の日、20歳の誕生日を迎えたものなど、前の日はオレンジジュース、次の日はシャンパンが出てくる始末である。


会社のトイレでは

係長「ほー。課長はビールですか!庶民的でいいですな!私なんて、ほら育ちがいいもんだからロマネコンティでちゃって。なーはは!」

課長「くっそー。(涙) 」


みたいな会話や、


「私の体にはワインが流れているの。 」

とか言い出す女優まで現れる始末……。


また、ソムリエが異常にはやった。

「貴女のお酒、鑑定します。」とか看板をかかげて、イケ面ソムリエが大繁盛である。

正しい心を持つ漢(おとこ)達は拳を押さえるのに必死であった。


また、夜の誘い文句のバリエーションが増えた。

女が「私とお酒のまない? 」と誘うだけで落ちちゃう男続出!

ここでも、正しい心を持つ漢(おとこ)達は拳を押さえるのに必死であった。


また、いつでもそうであるが、酒のわからない、イケてない男達は枕を涙で濡らすのだった。

ここでは、正しい心を持つ漢(おとこ)達は涙を押さえるのに必死なのであった。


……………………………………………


再び、大阪市の上空に現れた巨大UFOからはさらに放送が続いていた。


リラ姐さん「私としても、かわいいペットのみなさんが落ち込んでいるとがっかりよ!そんなくら~~い人たち支配してもしょーがないし、ここはお酒でも飲んでパーッと……」

ゴー   「ウホホ!」

スペクトラムマン「………をい、まて! 」


リラ姐さん「この世のウサをはらして、カラオケでも。歌は時代を映す鏡と申しま……」

スペクトラムマン「スペクトラムフラーッシュ!! 」


円盤に命中!!

ちゅどーーーん(注;爆発音)


リラ姐さん「な、なんなの!? あーっ!?この前の怪人!! 」


スペクトラムマン「誰が怪人だ、この珍獣が!!ぶっ殺す!!! 」


リラ姐さん「キャー!ねおへとろん!!ビーム発射よ。 」


ねおへとろんがパープルのビームを発射する。スペクトラムマンに命中!!


リラ姐さん「さあ、お酒でも飲んで気を静めて!サービスしちゃったわよ。あなたのお酒は……」

スペクトラムマン「…………………てめーらあああああああ!!!!

スペクトラムフラーッシュ!!スペクトラムフラーッシュ!!

スペクトラムフラーッシュ!!スペクトラムフラーッシュ!!

スペクトラムフラーッシュ!!スペクトラムフラーッシュ!!………」


ねおへとろん「ぱおーーーん! 」


リラ姐さん「きゃー!ねおへとろんが!ゴー!にげるのよっ」

ゴー   「ウホホホ!」

ちゅどーーん。ばきゅーーーーん。どっかーーん。ばこーーーん。


リラ姐さん「お、おぼえてなさーーい!!」

スペクトラムマン「てめーら!!もどってこんかい!!!!! 」


逃げる円盤!破壊されるビル(いい迷惑だ。)


とりあえず、地球の平和は保たれた!!

がんばれ!!スペクトラムマン!

地球に平和のよみがえるその日まで!!


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