虚走 Running fiction
走れ、走れ お前は疲れ果てている けれど走れ 道は全く見えない闇の中でも 走れ、走れ ここはお前が知らない領域 目を閉じるまでお前にはわからない一の神秘 目を閉じるのは、まだ早い 無理やりにでもお前を走らせよう ここには一人でないと入れない だから、お前は走れ、疲れたなら体は忘れろ 愛すべきものは失ってこそ 己の道が覗けるというもの 気象が訴える 魔と魔の間 凍えて寒くても 静かにほほ笑む、刹那の映像 今お前は走っているのだ
ある言葉が障害となってあいつは道を外れた
見えないのは悲しい なぜならあいつは黒い衣装を身に着けていたから
走る 走る 君はいないのに僕はいる
けれど 僕がいるのも悲しい誤解
誘惑のある真実 いつまでも走り続けなくては……
闇 闇! 闇! お前はどこに向かっているのか知っているのか? たとえ、知っていようがいまいが 足は前に向かって進んでいるのだ
いい天気か、悪い天気かわからない
君はだれ?
君というのもそれは僕なのだから、自分を自覚できないのは僕だけ
明日の僕の花道 黒いばらの花束
「愛しています」そう書いてあった 添い文 或る日、
僕は走り始めた 忘れるために 忘れるために
良い感じ、お前の走りは豹のよう、この侭走り続けろ 呪われた一の男は、贖罪のために一生走り続けた お前はその点、奴とは異なる 鎖と砂の差 心から祈るのならば、助けもしよう しかし、お前にそれができないのなら、走り続けるしかない 走れ!
知っているのだが、答えられない
僕の瞳に黒い景色 その答えは? 赤緑青、
光の三原色 三つ混ぜれば白になる
黒は見捨てられた、僕は見捨てられない、この侭走り続ける
朝、……冷たい木の葉
麻、……踏み締める子供
浅、……黒荊 黄色の悪夢、
僕は一人、初めての息切れで、
やっと感じた僕の口
心と身体 笑いの肺呼吸
僕は走っている
一 二 三 四と詩の死 さあ大変だ お前の見続けた闇が晴れようとしている さあ走れ走れ できるだけ……疲れたなんて言わせない、走りはお前が選んだ 寒い冬の希望 立ち止まったら それが現実だ 大変 大変 俺もお前と同じ運命だ
言わずと知れたこと……もう一人の僕は今まで死んでいた。
そいつは微温湯の中 僕を使って遊んでいた。
今度はお前が生きる番だ 走るんだ走るんだ
お前の番だ 僕は精一杯走るが、それでもいつかは立ち止まる
僕は暗闇から目覚め、空と大地の上をゆっくり歩く
誰にも指図されない もう二度とない
「僕はどんな空だって飛べる」僕が見つけた救出の呪文
走るのをやめたら飛べばいいんだ!
だめだ 走ってくれ 俺は……
さあ、
お前の番だ
いやだ走りたくない ここにいたい 駄目だ
ああ、とてもいい気分だ さようなら
僕は飛ぶんだ
止めろ 止めろ 俺はお前のように旨く走れない だから
走るんだ
走るんだ
走るんだ!
いやだ 助けてくれ お前を愛している 心から好きなんだ でも、お前がそう言うのなら、従わないでもない 暗闇なればこそ 小夜曲は続くから……
嘘
僕は走るよ
ひっかかったな
ひっかかったのさ
それでもいいと
今気付いたから
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