軒先の花
ビルの裏路地ではさまざまな人達を目撃する。何が可笑しいのか、涙を流しながら笑い続ける三十代半ばの女、古いドラム缶に雑誌を何度も叩き付ける若い男、昨日の雨が汚い水溜りをその上に作っていて、
老人が古いベンチに座って眠っている。その横で少女が電話をかけている。この路地を通り過ぎないと、向こうに行けないから、仕方なく進む事にした。できるだけ気配を消して歩く。昔の記憶が脳裏をよぎる。かつての仲間たち。赤く染まった両手。
眠る老人の横を通り過ぎた。すると、笑い続けていた女が突然静かになったので、ふとその方向を向いたら、目が合った。彼女は泣いていた。
気付くと、電話の少女が、いつの間にか横について会話しながら歩いている。このまま並んだままだと面倒だな、と思っていたら、少女は急に横に曲がって、建物の陰に隠れていった。なぜか焦燥感を覚え、後を追った。
少女は立ち止まった。ついに追い付くと後ろからそっと抱きしめた。
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