第318話 お爺ちゃんとお出かけしよう【精霊山】

ドライアートのサクラさんのおかげで、妖精、フェアリーの言葉が解るようになった。

――そして、楽しくお話が出来るように、なった。

「マリアと、親しい人は、そう呼びます」と妖精、フェアリーに、挨拶をする。

「ウィンです、マリアと一緒で、親しいは、呼ぶので、宜しくお願い」と妖精、フェアリーに、挨拶をする。

 すると、「パチパチ パチパチ」とドライアート、妖精、フェアリー達に、拍手をされる。お姉様は、顔を真っ赤にして、僕も珍しく照れてしまった。

「マリア、何か渡す物が、あったじゃないの?」

「あ、忘れてました」

「お近づきに、これをどうぞ」と、別の大きなお弁当箱を開く――、そこから甘いお菓子の匂いが辺り一面に、広がっていく――。

「これは、食べて宜しいですか?」とフェアリーの女の子が、聞いてきたので、一段の箱を皆さんで、どうぞと渡し、二段目を妖精さん達に、渡すと、嬉しそうに、運んでいくのが見えた。

妖精の少女が、こっちにきて、「これ、ここで取れたフルーツだけど、食べて下さい」と持ってきてくれた。

 お姉様と一緒に、食べ始める……、「「これ甘い」」と二人で声がハモった。

 その頃、ダイトカイトお爺ちゃんと、ドライアートのお姉さんには、三段目と四段目の和菓子と洋菓子セットを渡してある。今回は、緑茶の代わりに、抹茶を用意してみた。先ほど、僕の方で、抹茶を入れて出して来た所だったりする。お茶をたてている間、凄く周りから見られた。

「あの、マリアと言う少女は、精霊様に、好かれている子ですよね」

「サクラは、知っていたのか?」

「ダイトよ、それは、名前を聞くまでは、分からなかったよ」

「良い子じゃろう、儂の孫は……。」

 確かに、良く出来た子だが、年齢から考えて、不自然だが、こやつの親族ならありえそうなので、その辺は、伏せておくことにした。

「ウィンと言う少女は、妖精魔法を何個か使えそうじゃな」

「マリアと言う子は、覚えられるが、これ以上は、良いと我が判断したのじゃが、どうだろうか」

 サクラが、言う事は、よく昔から当たる言葉だったから、ウィンだけに、スクロールを貰うように、話をつける。マリアは、確かに、魔法は、多く覚えている。自分でも作れる事だし、大丈夫だろう。

「ダイトよ、我と存在が一緒の彼女は、何者じゃよ」

「リーヴスラシルの事か?」

「名前持ちとか、凄いな……、名付け親は、マリアかのう?」

「そうだ、倒して、召喚出来るようになって、いまにいたる」

「奴は、何者なんじゃ」

「ドッペルゲンガーだよ、本体は……」

「それって、封印されていなかったか?」

 何か、一瞬くもいきが怪しい感じになっている。話を続ける、ダイトカイト自身――。

「そうじゃが、問題でもあったか?」

「そうか、それなら問題ない」

 殺気が、さっきまであったが、内容を聞いた後のドライアートは、いつもの穏やかな状態に戻る。

「そのリーヴスラシル殿は、我らを昔救ってくれた者じゃ」

「悪い、領主と魔法使いに、封印されてしまって、会いたかったが、彼だったとは……、彼女か――。

「我に、何かご用か、お二人とも」

 そこに、自分の名前を呼ばれたのかと思い、リーヴスラシルが現れる。

「リーヴスラシル殿、昔の記憶を覚えているか?」

「うーん、封印される前の記憶は、思い出せないだが、その記憶が、聞きたいと言うなら無理だぞ」

「そうか、残念だ」

 やっぱり、覚えてなかったか、それでも久々に、こんな出会いに凄く感謝したいと思ってしまう。あれから凄い年月が経っての出会いなのだから、時間がある限り話をしたいと思ってしまった。

「それよりも、ドライアートの名前は、サクラと言ったな」

「はい、我の名前は、サクラじゃ」

「不思議な事じゃが、我が持っている木の剣があるじゃが、その名前もサクラと言うじゃが、偶然か……」

 それは、我が、あげた物じゃ、当時なにもあげれなかったから、一番固い部分を加工して、渡した物だったが、持っててくれているのか、やばい泣きそうだ。

「それを見せてもらう事は、出来ますか?」

「いいぞ、これだ――」

「やっぱり、我が作った……、木の剣じゃ」

「不思議なのが、ドライアート殿と木の性質が、同じ事が、気になって渡したが、やはり似た物か?」

 似た物じゃなくて、我……、私のあげた物だよ、会いたかったよ――。

「リーヴスラシル、お話してるなら抹茶入れてあげるね」

「姫様、ありがとうございます」

「マリアよ、儂とサクラの分もおかわり貰えるか?」

「いいですよ、一緒に、出します」

「はい、皆さんの分です」

「でわ、また無くなりそうになったら呼んで下さい」

「「「ありがとう」」」

 うーむ、姫様のお茶は、やっぱり何度飲んでも美味しい物じゃな、それよりもサクラ殿の視線が気になるが、知合いにでも似ているのだろうか――。

「リーヴスよ、ちょいとよいか?」

「我に用事か?」

「お主の無くなっている記憶が、どうやらサクラと昔あった事が、あるらしいぞ」

「それで、我を見ていたのか、なるほどなっとくしたぞ」

「いいずらいのだが、その木の剣は、サクラが、リーヴスに昔あげた物らしい」

「すると、我とサクラは、知合いと言う事か」

「封印されるまでは、知合いだったらしい」

「そうか、なら我は、たまにここに遊びに来る事を約束しよう」

 これで、記憶を思い出すきっかけになればいいのだが……。

「ダイトよ、何の話をしているのじゃ」

「すなないが、リーヴスに、本当の話をさせてもらった」

「何と言っておった」

「これからちょくちょく遊びにくるらしい」

「そうか、嬉しいぞ」

 何度かあっているうちに、記憶が戻ったら、我の子供の頃の話で、盛り上がりたいものじゃな、そんな日が来る事を願っている。

 それから最近の出来事を聞きながら、時間が過ぎていき、マリア達は、帰る事になる。

「サクラさんありがとうございました」

「サクラさん、魔法のロールありがとうございました」

「「楽しかったです」」

 この後、ゆっくりと山を下りて、お爺ちゃんの家に戻るのだった。

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