5話

罠を解除できているか、確認しつつ入り口付近に戻った。

「……え?」

まだわからんのかこの春香馬鹿者(はるか)は……。

ハァ、と一つため息をついてから「着いてこい」と言う。

「ここが図書館だな。昔見た本には聖図書館マイスルームは図書館の空間に偏在しているとは書いてあった気がした」

俺は龍孤りゅうこの方を見ると、グッジョブと言わんばかりのサムズアップをしていた。

「さあ、一応離れないで進むぞ。罠があったら面倒くさいからな」

俺が行くぞと言おうとした時にこの声が響いた。

「その必要はございません。よくぞ謎を解きました。さあ、こちらにごらんなさい。歓迎いたします」

目の前が光に満ち、目を開けたときには違う部屋に居た。

「「「ッ………!?」」」

「ど……こだ、ここ」

ふと、声が出た。

目の前には図書館のような、神殿のような、もしかしたら2つを兼ね備えているかもしれない。純白と本と光で構成されている所だった。

「いいえ、ここは場所ではありません。私たちの世界に普通あなたたちの世界の生物は入れません。なので、あなたたちの魂のみをこちらに召喚したのです。もちろん、向こう側の時間は止めてあります」

フフンっと胸に手を当て誇らしげに何者かが語りながら現れた。頭に直接響くような感覚は変わらないらしい。

……頭が痛い。

「あの、貴方は誰ですか?そして連れてくる理由が分からないのですが」

龍孤がそのお……女?に問いかける。

女はにやりと口角を上げて答えた。

「よくぞお聞きになりました!私はセレーネー。ギリシア神話の月の女神です」

自称セレーネーはドヤ顔で自己紹介をした。

「……ん?んん!?ハァァァ!?ってことはお前は神……なのか?」

「はい、そうですね。そして私は女神ですからね」

セレーネは語尾を少し強めて言った。

どんだけ女だと主張したいんだよ。それでも神さm……女神様かよ。

「……お前が女神だということはわかった。じゃあ二つ目の質問に答えてくれ」

「いやいや、答えてくれといわれても一つしか理由はないじゃないですか。ハァ、最近の人類はこうも衰えたのですか?」

セレーネーはやれやれといった表情をしている。人類じゃなくて龍孤の知能だけが衰えているんだよ。一緒にすんな、一緒に。

「理由はあなたたちが答えを得たからです。そして図書室にきた。それであそこの迷宮はクリアだったのですよ」

「オイ待て。質問だ、二つほどある。まず一つ目、あそこが迷宮ってのは本当か?」

俺の予想ならここは迷宮では無いはず。無いはず……なんだが。

「あなたが何を想像しているかは分かりませんが、あそこは迷宮です。まあ、私たちに会うまで、がつきますけどね。何たって人間の魔法で閉じこめられるのですから」

……ッ!そしたら正解は一つ。国はここを隠していたということだ。ここに来た奴は殺すということか!

「……質問が一つ増えた。その前に二つ目の質問だ、何で神様が迷宮にいる?これは理由だ、存在や聖図書館についてはどうでもいい」

一瞬だがセレーネーの笑顔が無くなった。ほんの僅かではあったが。

「それに関しては教えられません。これはあなたたちを思ってのことです。わたしたちは旧世界の存在ですから……もともと関わりがあってはいけなかったのですよ」

最後の呟きは聞こえなかったが、旧世界とやらに関わりがあるのは分かった。

それに関しても聞かないとダメかもな。

「じゃあ、三つ目。どうしてお前らは閉じこめられてたんだ」

「ッ__!そ……それ、は」

「それは。それは何だ?早く答えろ」

俺が催促をする。こちらは多少イライラしている。

ああ、多分迷宮と聞いたあたりからだな。

「ああ、早く!早く言えy


ガシャンッ!


グッ__!?ああ!」


もっと催促をしようとしたとき、頭の中で何かが破裂した感覚がした。

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