第6話

で。

そんなぼくが家を探す場合に重視することは、とにかく写真を見ることだった。

ネットに掲載されている部屋の内観写真を片っぱしから見て、違和感がないーところをチョイスしていくわけだ。

これをすると、それだけでアウトな所が一発でわかる。


色々見ていった感覚で分析すると、水回り(水道、トイレ、風呂)と、押入れなんかの収納写真は、殊の外、違和感が多い。

後は場所。

昔川だったり、沼だったり、地名に沢、沼、河、なんかが付く所にある全物件ほぼなんだけど、そういう場所は不思議とそれ、が多い気がする。

それから築年数も勿論関係してるみたいで、違和感が少ない物件は、築年数も浅かったりする。

ただ、築年数が浅くても、いまひとつ変な感じが抜けない物件はあるんだけど。


数秒と見ていられないくらい気持ち悪い写真は、たぶんガチだと思うけど、そうでないのも、違和感が全くないものだけを選んでいくと、百件近くあっても、結局は一件か二件くらいしか残らない。


そして。

そういう良質物件はすぐに売れてしまうのだ。


ぼくの知ってる人は、某有名なセレブのメッカ23区で、高層マンション◯階、3万という破格の物件を発見して、その夜、女性の悲鳴と血のシャワーを浴びる事件を体感して、すぐにその物件は売り払ったらしい。


で、話は戻って。

場所は例の不動産屋。

ぼくのシックスセンスをフル回転させた写真を見せた彼女が。


「えーと」


どうしようと焦るぼくの前で、目を瞬くの図、が現状である。


(やばい)


これは疑いの目なの?

オカシイ人扱いなの?


とりあえず。


(なんかしゃべってくれっ!)


「す、すいません、声大きくなっちゃって」


あはは、と笑ってごまかしたら。


「ああ、ありますよねえ」


なーんて言ってた彼女が、「見えるんですか?」と、ゆるく、微かに首を傾けた。

僕を嗤う気配とは違う感じがして、ぼくは、目を瞬いた。

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