第2話「枕草子」
冬の終わりの朝日がゆっくりと登り、地面と空気を温める。
目の覚めたわたしは布団から出るのをためらいつつ、ゆっくりと枕元に手を伸ばし、使い慣れた眼鏡を探り当て、顔にかける。
金属のフレームの冷たさに少し驚くが、しばらくするとそれも体温に包まれ、ゆっくり温まっていく。
清少納言も、冬はつとめて。と言っていたが、わたしもこの時間が好きだ。
目が覚めてから、起きるまでの。
布団のぬくもり、部屋の静けさ、窓からの冷気。1日の始まりを予感させるようなこの時間は、忙しい冬において最も世間の蟠りから遠い時間なのかもしれない。
窓から梅の花が見えた。春は近い。
本とフォント 南北磁石 @zerofighter_sn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。本とフォントの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます