第7話 [人狼]剣多楼《けんたろう》

閻魔堂に召喚され、人間界で宿命を背負い闘う事を余儀なくされた者…。

セノウが1号と呼ばれるからには、2号、3号もいる。

2号は、人間界で妖怪の[人狼じんろう]になっていて埼玉県の戸田市内で暮らしている。

名前は剣多楼けんたろう

身長185㎝の長身でワイルドな顔つきに牙と金色の髪の毛が目立つ男だ。

剣多楼が神社の中の大木の上で寛いでいると、下から数体の妖気を感じた。微かな悲鳴も聞こえてきた。

猫耳がついた幼い妖怪の少女が他の妖怪に絡まれている。

猫娘「やぁ(つд;*)やめてにゃぁ〜……」

エロス入道「可愛いねぇ君〜♪ほれほれ♪おじさん達と遊ぼう」

ロリ好き入道「こんな夜遅くに、一人でお散歩なんて、暇なんでしょ〜?なら、お医者さんごっこしよう♪♪」

猫娘「いやにゃ…(つд;*)」

エロス入道「せっかくシングルCD加工して頭に付けるやつ作ったんだよぉ?」「ほらっ?どうロズ(ロリ好き入道)♪」

どや顔でロズに徹夜で作った自信作を見せる。

ロリ好き入道「オォ♪ヽ(´▽`)/シングルCDにこんな使い方があったとは!!!」「良かったねぇ♪君〜〜〜〜♪」

ロズは小躍りして言う。

猫娘「知らないにゃぁ……そんなの……(;つД`)」

ロリ好き入道「じゃぁ俺、分娩台ぶんべんだいの役やるね♪」エロス入道「オッケー♪♪」

エロス入道が猫娘に抱きつき、そのまま後ろに倒れこみ羽交い締めで身動きをとれなくする。

猫娘「いやにゃ!!!放して!ほっといてよ!!」


 剣多楼「あの二人……かなり強力な妖気だな……」「……めんどくせぇけど、しゃーないよな……」

剣多楼は大木の上から、飛び下りた。


場面変わって、同じく埼玉県戸田市内を散歩しているセノウと赤音。時間は午後4時、ふとある曲がり角を曲がったところで、その町の住民が亡くなったのであろう、葬式の立て看板が目に入ってきた。よく見かける式場を案内する矢印があり故人の名前が書かれた立て看板。そこに印されている名前を見た瞬間、赤音が声をあげ、その場に座り込んだ。

赤音「えっ!!!???嘘っ!?」

セノウ「ど、どうしたんだ?赤音?」


[西園寺家 西園寺みずき]式場→→と書かれていた。

セノウ「………赤音の知ってる人なのか?」

セノウの問に赤音はただコクンとうなずいて、言う。

赤音「みっちゃんだよ……大好きなみっちゃんが死んじゃったみたい……」

セノウ「なんと………(。>д<)なんて言っていいか………(。´Д⊂)」「とりあえず、行ってみよう……」 

  みっちゃんの死因は、交通事故。車に轢かれそうになっている野良猫を助けようとして、車に撥ね飛ばされた。 看板の案内にしたがって進むと、西園寺家の豪邸が目に入ってきた。

セノウ「おぉ………スゲー家だな……お金持ちのお嬢様だったんだね…」

赤音「私も初めて見た……すご〜〜」

セノウと赤音が豪邸の前で立ち止まっていると、なにやら騒がしい事に気づく。


西園寺家の家人「…本当です!!!今朝までちゃんと棺桶の中に……」

西園寺家の家人「…遺体が忽然と消える訳が無いだろ!!!」

西園寺家の人「すいません、ちょっと休憩中にうたた寝してて、起きたら、棺桶が空でした(。´Д⊂)」


どうやら、棺桶の中に安置されていたみっちゃんの遺体が忽然と消えてしまったらしい。


[ この世界では、生前妖怪と関わったものは、死後妖怪に転生する事が多い]


お気づきかと思うが、猫娘がみっちゃんである。とは言うものの、突然人間だったみっちゃんが単体で妖怪になるわけではない、助けようとしたみっちゃんもろとも撥ね飛ばされて死んでしまった猫、人間にして二十歳の野良猫[ミキ]の魂と融合して、妖怪[猫娘]になったのだ。みっちゃん自身は生前の記憶をほとんど失っていた。


エロス入道「おいおい〜♪ロズ♪このニャンコ、ノーパンダゼ♪ヽ(´▽`)/」

みっちゃん「いやにゃ〜〜〜(;つД`)」


ロリ好き入道「マジか!!見てえ!!」「分娩台の役変われッ!こんちきしょーーーッ!!!」


剣多楼「…………お前ら、最低だぞ?」

突然、現れた剣多楼の声に、二人の変態妖怪はビクンッ!!とした。

エロス入道「誰だ?にいさん」

ロリ好き入道「邪魔すんじゃねぇ!!!」

エロス入道「至福の時間を邪魔するとは(笑)覚悟はできてるんだろうな?」


みっちゃんの豪邸の前にいるセノウと赤音。少し離れた場所に大きめの妖気が3つと、微かな妖気が1つ、集まっている事にセノウが気づいた。


セノウ「………赤音、ちょっとあそこの神社に寄ろう」

赤音「?……あんなひとけの無い所に私を連れ込んで……なにするつもり?

(///ω///)♪ついに?やっと?ようやく?」

セノウ「ち、違うよ(笑)」


場面は再び剣多楼にズームする。

剣多楼「違うぜ?お二人さん……」

エロス入道「なにが違うんだ?邪魔しに来たんじゃないのか?兄さん?」

ロリ好き入道「なにが最低なのか言ってみろ!!」

剣多楼「そんな楽しい事に俺を交ぜないなんて、はっきり言って最低ダゼ♪ヽ(´▽`)/」

剣多楼は革ジャンの胸ポケットに手を入れ、さもそこから出したように見せる形で、妖気でタバコをsingleCDに見せかけ取り出した。

剣多楼「この時の為に、俺もシングルCD加工して頭に付けるやつ作っていたのさ♪」

エロス入道「!!!」「オォ♪ヽ(´▽`)/」

ロリ好き入道「こいつぁめでてえ!!!」

エロス入道「兄貴って呼ばせてください♪」

ロリ好き入道「アヌキ〜〜〜♪」

剣多楼「お楽しみはこれからだぜぇ?」

みっちゃん「いやにゃ〜〜〜〜〜!」



剣多楼「………おい」

剣多楼はエロス入道とロリ好き入道に聞こえないぐらいの声でみっちゃんにボソボソ言う。

みっちゃん「にゃ?」

みっちゃんも小さな声で応える。

剣多楼「ちょっとの辛抱だからな?この変態二人、意外に強力な妖気を持ってるから、油断させるから♪」

みっちゃん「(。>д<)ん〜〜〜〜、あたしの股ぐらに顔突っ込んで言われてもにゃ〜〜〜」

みっちゃんはビクンとしつつ剣多楼にだけ聞こえるように言う。

みっちゃん「丸見えでしょ〜〜〜(。>д<)」

剣多楼「(笑)変態みたいだろ?この二人を騙さねえとな(笑)(*´ω`*)」

みっちゃん「みたいじゃないにゃ(;つД`)モロお仲間にゃ(。>д<)」

剣多楼のオデコにはしっかりとSingleCDが付いていた。

みっちゃん「もぅ、お嫁にいけないにゃ(つд;*)」「みんな大嫌いにゃ〜〜〜(。>д<)」


みっちゃんは泣き出した。

と、そこへセノウと赤音がやってきた。


セノウ「………パッと見ただけで状況が読み取れるな(笑)変態三人と美少女一人……か」


エロス入道「また誰か来た(。>д<)もぅ邪魔が多いなぁ」

しばしの沈黙のあとに、赤音が襲われている女の子を見て気づく。


赤音「ああッ!!!」

赤音「みっちゃんだ!!みっちゃんいた!!」

みっちゃん「にゃ?( ゜o゜)……」「!!」

「赤音ちゃんにゃ〜〜〜〜(つд;*)」「助けてにゃ〜〜(。>д<)お嫁にいけなくされてるにゃ〜〜」


赤音「なっ……!!!セ、セノウさんお願い(つд;*)」

セノウ「うむ。了解……した!!」

この、了解……した!!で、セノウの妖気が爆発的に高まった。


前述したが、[河童]であるセノウの種族は[カンチキ]でめちゃくちゃ強い。赤音の友達に手を出した事でセノウの逆鱗に触れ、いわば[ガチギレ]モードで変態妖怪達三人を文字通り秒殺した。


かなりの強力な[悪属性]妖怪を退治した事で、セノウの[命懸けの善行]ポイントがプラスされ、次の期限が半月延びた。


赤音「みっちゃん♪♪危なかったね(*≧∀≦*)」

みっちゃん「うん(*´ω`*)有り難う(///ω///)♪河童のお兄さん♪♪赤音ちゃんも有り難う(///ω///)♪」

一方、剣多楼はセノウに撲殺され、閻魔堂へ飛ばされた。


〜〜閻魔堂〜〜


バイイイイイィィィッ!!キュリッ♪!


小太りの中年女性の豪快なオナラみたいな音が閻魔堂の魔法陣転送室から聞こえてきて、エリーヌがお昼寝から飛び起きた。


エリーヌ「(また誰か帰ってきた(///ω///)♪でも、今の登場音だと………)」


剣多楼「ん……?ここは……」

剣多楼が気がつくと、魔法陣転送機の中の魔法陣の上に立っていた。

エリーヌが部屋に入って来る。

エリーヌ「おかえり(笑)2号♪」

剣多楼「2号って呼ぶな!」

鋭い目線をエリーヌに向ける。エリーヌはたじろぎもせずに剣多楼を見据えて言う。

エリーヌ「帰って来たって事は……解る?」

剣多楼「……あぁ。死んだらしいな……」

剣多楼はため息をついてエリーヌから目をそらす。エリーヌは少し困った顔になって言う。

エリーヌ「…[善行値]上がってないよ?それどころか、下がってるよ(;つД`)」

剣多楼「うーむ……巧くいかねぇもんだな」

剣多楼「(どうやって死んだか思い出せん…)」

エリーヌ「どうするの?すぐ戻る?」

剣多楼「……ん〜〜〜…俺には向いてないのかな(笑)」「善行とか、嫌いじゃないが……」

剣多楼は腕組みをした。

エリーヌ「……向き不向きじゃないよ?何事も(*´ω`*)」「前向きか後ろ向きかだよ(*´∀`)」

剣多楼は苦笑した。

剣多楼「……あぁ(笑)解ってはいるんだがな」

エリーヌは笑顔になって言う。

エリーヌ「ねぇ2号、あなたはたまに光輝いて見えるけど、その輝きは自分自身が発光して光っているのか、それとも他の誰かの光を反射しているだけなのか……どっちだろうね(*≧∀≦*)」「負けないでね♪♪私が選んだ2号なんだから♪♪光輝いてね(*´ω`*)」

そう言われて、ふと難しい顔になって考える剣多楼。さらにエリーヌは言う。

エリーヌ「さぁ、行ってらっしゃい♪またね(*≧∀≦*)」

剣多楼「おぅ♪またな!」


エリーヌは転送機のスイッチを押した。


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