第6話 試練
〜 ここは、別時空[
格式高そうな、日本式の大豪邸っぽい外観の住居である。
一人の少女が庭の掃き掃除をしている。
この少女、名前を[エリーヌ]という。閻魔大王の娘である。
エリーヌは空を見上げて笑顔で独り言を言う。
エリーヌ「みんな元気かな〜♪1号、2号、3号♪みんなそれぞれ人間界でがんばってるのよね(*´ω`*)」「たしか1号は今、人間界で[妖怪]の河童になってるんだっけ」「優しすぎるから、そろそろここにまた来るかな(笑)」
〜場面変わって、日本の埼玉県内〜
ある夏の日の夜、セノウが散歩していると前からかすかな妖気を感じた。
時間は午後23時50分、百孤的には時間がない……すでに弱り、妖気も微かにしか発していない。
セノウ「た、大変だ!大丈夫か?おまえ!」
百孤「………ぐすっ、駄目かも……です……」
セノウ「座敷わらしだね?」
百孤「………うん、[ざしわら]です……」
セノウ「見たところ、四国地方のあかしゃぐまかな?」
百孤「どうでもいい……です……ぐすっ」
百孤は泣き腫らしていた。
百孤「グスン……もうヤダぁ……毎日毎日憑くところを捜すの………このまま放っておいてぇ」
セノウ「かなり弱っているな、もう消えかけじゃないか…」
百孤「もう、消えちゃいたい……の」
セノウ「…仕方ない!」
百孤「きゃ………な、なにするの?食べるの……?」
セノウ「喰うか!!(笑)」
倒れたまま、動けない百孤を抱き抱え、セノウは空に向かって言う。
セノウ「決断した!開け!!」
妖怪には、種族や出身地によっていくつかの絶対的(宿命的)な決まりごとがある。セノウも例外ではない。セノウが背負うもの、それはだいたい半月に一度、[命懸けの善行]を行わなければならない。
セノウの言葉の直後、セノウの頭上にブォンッ!と亜空間ワームホールが現れる。
セノウ「ふぅ、今回も無事にクリアできるといいなぁ……」
セノウはワームホールに吸い込まれた。
セノウが気がつくとそこは、ただただ真っ直ぐに、暗闇に向かって道が一本見える。
つぎの瞬間、セノウの頭上からばかでかい声が響いてきた。
「「ここは、炎の
そう聴こえた瞬間、ブワッ!っと目の前の道が炎に包まれた。
目の前にある奥へと続く道が上下左右すべて燃え盛っている。廻廊の天井までの高さはおよそ2メートル。あまり高くはない。
「「この道は、長く果てしない……」」
「「見事走り抜けられれば、願いを叶えよう」」
セノウ「……………うおぉ…水属性妖怪の俺には、かなり難関だなぁ・・・(;´Д`)」
まだ廻廊に入ってもいない状態だが、暑さがジリジリと照り付けてくる。
セノウ「正に命懸けだな………仕方ないよなこればっかりは……」
「「どうしたのだ……時間が無いぞ?」」
「「時間が経つに連れ、どんどん温度が上がってしまうぞ」」
セノウは深呼吸して、自分に気合いを入れた。
セノウ「よし!行くか!!」
セノウは炎の中に向かって全力で走り出した!
走り始めて300メートルほど進んだあたりから、徐々にセノウの緑色の腕や肩などが
それでも、セノウは立ち止まらずに走った。
まだ名前すら知らぬ百孤を救うため、セノウは灼熱の中を激痛に耐えながら走った……なぜか?
セノウはそれが格好いいと信じているからだ。他者の為に命を懸ける。セノウとはそういう男の中の男なのだ!
まだ走り続ける……かなりの距離を進んだと思うのは、激痛による錯覚だろうか?
セノウの体は、もはやすべて橙色のケロイドに染まっていた。それでもしばらく走り続け………ついにセノウの足が止まってしまう。
セノウの体中の水分がすべて尽き果てた。
それはセノウの死を意味している。
セノウの体が炎に包まれ、立ったまま焼かれている。
セノウは[炎の廻廊]の半ばで力尽きた。
一方、赤音はいつもの神社の池のほとりで、二度と帰ってこないセノウを待ち続けていた。
赤音「遅いな〜セノウさん……なにしてんだろ?河原でエッチな本でも見つけたのかな?」
[別時空] 閻魔堂の魔法陣転送室から凄いもの音がした。縁側でうたた寝をしていたエリーヌが飛び起きた。
エリーヌ「わっ!びっくりした!ひょっとして……」
エリーヌは転送室まで走った。
セノウが気がつくと、八畳ほどの部屋に大がかりな機械があり、足元には魔法陣が描かれていた。
セノウ「………ん…?ここは……」
徐々に意識がハッキリとしてくる。エリーヌが部屋に駆け込んできた。
エリーヌ「おっかえり〜〜〜〜♪1号♪」
セノウ「1号って呼ぶな(笑)」
セノウもエリーヌも満面の笑顔である。
エリーヌ「あは♪いいじゃん別に〜〜♪」
セノウ「相変わらず、可愛い笑顔だな(笑)試験はどんな感じだい?」
エリーヌ「ん〜♪あなた達次第だよ(*´ω`*)あなた達三人が人間界で、それなりに善行をすればなんとかなるかな(笑)」
セノウ「結局人任せかよ(笑)」
エリーヌ「帰って来たってことは、1号…また死んじゃったんだね(。´Д⊂)」
セノウ「………らしい(笑)」
エリーヌ「もう!優しすぎるぞ!ばか♪」
セノウ「(笑)いいんだよ!俺は死んだって♪それが格好いいのさ♪」
エリーヌはそのセノウの言葉を聞いてため息をついて言う。
エリーヌ「ま、私の好きな1号はそうでなくちゃね(*≧∀≦*)」「どうする?また直ぐに人間界に行く?」
セノウは、少し考えている。
セノウ「あのさ、エリーヌ……?」
エリーヌ「ん?」セノウ「死んだ記憶を消さないで戻れないかな?」
エリーヌ「それは無理だよ(*´ω`*)」
すぐにセノウが聞き返す。
セノウ「なんで?」エリーヌ「死の記憶は強烈過ぎて脳がもたないからね♪(笑)それに、何回目?死んだの…(笑)すべての死んだ記憶を脳が受け止められないよ?」
セノウ「………そうなのか( ̄□ ̄;)!!」
エリーヌ「いいじゃない♪死んだ記憶以外は残るんだし(笑)すぐに人間界に戻るなら急ぐ?」
セノウ「うん(*´ω`*)エリーヌが元気で良かった♪」「キミの妹も元気にしてるよ♪」
エリーヌはそう聞いて満面の笑顔で言う。
エリーヌ「アカネちゃん♪♪確か今[座敷わらし]になってるんだよね♪♪」
セノウ「うん(*´ω`*)キッツい宿命背負ってるけどね(;つД`)」
エリーヌはそう聞いて、なにか納得した様子で言う。
エリーヌ「今、一緒にいるんだ?護ってくれてるのね♪素敵よ(〃⌒ー⌒〃)ゞ1号♪」
セノウ「………うん(*´ω`*)最近は邪悪な妖怪も増えてきたから、護ってみせるよ♪」
エリーヌ「うん♪♪1号!頑張ってね(*≧∀≦*)」
セノウは魔法陣の中央に立った。
エリーヌ「行ってらっしゃい♪またね(*≧∀≦*)」
エリーヌは魔法陣転送機のスイッチを押した。
セノウの帰りを待ち続ける赤音が悲しそうな表情になってうつむいた直後、赤音の後ろからセノウの声がする。
セノウ「ただいま赤音♪」
赤音はビクッと驚いて、直ぐに笑顔になって言う。
赤音「おっかえりなっさ〜〜い♪セノウさん」
赤音はそう言って振り向き、セノウの他にもう一人いることに気づく。
赤音「おやぁ?誰?その女の子〜〜?」
セノウは百孤を抱き抱えたまま、笑顔で言う。
セノウ「赤音と同じ[座敷わらし]の女の子だよ(*´ω`*)道で倒れてたんだ」
赤音「きゃ〜〜〜〜♪可愛いね(*≧∀≦*)金髪の座敷わらし〜〜〜♪」
百孤の宿命はセノウの命懸けの善行によって回避された。
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