第5話 座敷わらしの赤音《あかね》 後編

キーーンコーーンカーーンコーーン♪

みっちゃん達が通う小学校に放課後の鐘が鳴り響く。

ゆうちゃんがみっちゃんのクラスに入ってくる。


ゆうちゃん「ね〜〜…みっちゃん、大丈夫かなぁ赤音ちゃん……」

みっちゃん「あ、ゆうちゃん♪……うん、急だったもんね…どうしちゃったんだろ?」

クラスの女子「……だぁれ?赤音ちゃんって?」

クラスの女子「あ、昨日みっちゃん達と居た女の子?」

みっちゃん「うん(*´ω`*)そうだよ♪見たんだ?なら、こっちに来ればよかったのに♪」

クラスの女子「うん(*´ω`*)でも、私、お買い物の途中だったから行けなかったの(。´Д⊂)」

クラスの女子達「ねぇねぇ誰〜?赤音ちゃんって?」

クラスの女子達「この学校の娘?」

クラスの女子達「どんな娘なのぉ?教えてよ?」

みっちゃん「ん〜〜、そうだね……とっても可愛くて、着物姿が似合ってて、優しい女の子だよ(*´ω`*)」

ゆうちゃん「人懐っこいよね〜♪大好きだよ」

クラスの女子達「おぉ〜〜〜〜( 〃▽〃)ズルい〜〜♪私達も赤音ちゃんに会いたい♪」

みっちゃん「うん♪明日のあたしの誕生日にうちに来るから、逢えるよ♪みんなに紹介するね♪」

クラスの女子達「♪♪楽しみ〜♪」



その日は、赤音が棲む神社の敷地内に、目覚まし時計の音がしなかった。

いい天気の午後、いつもなら食事の後、元気に出掛ける時間になっても赤音は池のほとりのベットの上でボ〜〜〜っとしていた。


セノウ「………ん?起きてたのか、赤音?飯できてるぞ♪」

赤音「…………うん」

セノウ「…………どうしたんだ?具合悪いのか?」

赤音「ううん、大丈夫…」

セノウ「そうか。」「今日は、出掛けないのか?」

赤音「…………うん、今日は行かない。」

セノウ「?」「なんだ、みっちゃん達とケンカでもしたのか?」

赤音「(笑)しないよ〜〜……」

セノウ「………そうか。」


赤音は今にも泣き出しそうなのを、セノウに悟られないように布団を頭までかぶった。


赤音「(だって……無理だもん………明日には、もう……)」


次の日、みっちゃんの誕生日当日の午後3時。

どしゃ降りの雨の中、公園のブランコの前に傘をさしたみっちゃんがポツンといた。勿論赤音が来るのを待っている。

みっちゃん「(………来ないなぁ、赤音ちゃん…ひょっとしてまだ具合良くなってないのかな…)」

一時間経過…まだ赤音は来ない。


みっちゃん「(……みんなもう私んちで待ってるのにな…)」

左手に傘を持ち替え、携帯電話を取り出す。

みっちゃん「(電話しようにも、赤音ちゃんの連絡先知らないしなぁ……)」

さらに30分ほど待ったが、赤音は来なかった。みっちゃんは待つのを止めて、みんなが待つ家に帰った。


それから一週間が過ぎた。月が変わり、カレンダーは6月。日差しが強くなっている午後。

セノウは池のほとりで洗濯物を干している。


セノウ「ふぃ〜〜♪こう天気が良いと、洗濯も楽しいなぁ♪♪」

パンッ! と洗濯物をはたき、竿にかける。

セノウ「今日から6月♪夏がきたな♪河童の季節ダゼ〜〜〜(*´∀`)」

セノウ「(………ただ…もう、一週間も赤音は元気が無い……やっぱりアレかなぁ?例の……(。´Д⊂)辛いなぁ(T^T))」

セノウが赤音の事を心配していると赤音が起きてきた。

赤音「こんにちは(*´ω`*)セノウさん♪」

セノウ「お、おう♪おはこん赤音♪」


赤音「行ってきます♪」

セノウ「!出掛けるのか?飯は?」

赤音「すぐ帰ってくるよ(*´ω`*)」

セノウ「………そうか」


赤音は神妙な面持ちでみっちゃん達とよく遊んでいた公園に向かった。

赤音「(………うん、大丈夫…これは最初からわかってた事だもん(;つД`))」

「(でも、もしかしたら…………ね♪)」


赤音が公園に着くと、ブランコの場所にみっちゃんの姿を見つけた。

赤音「(あっ!!みっちゃんだ♪)」

赤音は足早にみっちゃんの元へ向かった。

赤音が目の前に立ったが、つーんとしたそぶりで公園の入口のほうを見ている。

赤音「あ、あの…誕生日の日はごめんね…」

赤音はみっちゃんの視界を邪魔しないように誤った。

だが、相変わらずつーんとしたまま入口を見ている。

ふと、みっちゃんが満面の笑顔になった。

赤音も笑顔になる。「あっ、」その時赤音の後ろ、みっちゃんの視界の先からゆうちゃんの声がした。

ゆうちゃん「お〜い♪はぁっはぁっ、ごめんね?待った?」

みっちゃん「ん〜〜〜〜、少しね!」

ゆうちゃん「ごめんね(;つД`)」

みっちゃん「なんてねっ♪全然待ってないよ(笑)」

赤音「こんにちは(*´ω`*)ゆうちゃん」

挨拶をするも、二人は無反応である。


赤音「…………(あぁ、やっぱりなんだ……

もう二人ともあたしの事、見えなくなっちゃったんだ…)」


ゆうちゃん「そうだ!もぉ〜〜聞いてよ、今日の体育さぁ〜〜」

みっちゃん「あ、古西先生でしょう(笑)ヤラシイよね(笑)」


赤音「…………(大丈夫…絶対泣かないぞ…)」

赤音は溢れだしそうになる涙を必死に堪えている。


ゆうちゃん「………はぁ、そういえば赤音ちゃんどうしちゃったんだろうね?」

赤音「!!」

みっちゃん「……うん」

ゆうちゃん「まさか、ホントに引っ越しちゃったのかなぁ…?違うって言ってたけど」

ブランコをキィコ、と軽く漕いでみっちゃんが言う。

みっちゃん「……嘘つくような娘じゃないもん、それは無いよ?」

みっちゃん「この公園に来れないのは、きっと何か理由があるんだよ」

みっちゃんの優しい言葉を聞いて、赤音は困った顔をした。

赤音「(目の前に居るよ?あたしは)」

「(それに、結構嘘つくよ?仕方ないもん)」

ゆうちゃん「そうは言っても、何かしら連絡してくれてもさぁ!」

ゆうちゃんが声を荒げる。

ゆうちゃん「みっちゃんやあたしの誕生日にだって、結局来なかったし!みんな会いたがってたのにさ!!」

みっちゃん「ゆうちゃん……」

赤音「(だって……)」

ゆうちゃん「だってあたし達って友達でしょ!!?」

ゆうちゃんの大きな声に赤音はビクッとする。

ゆうちゃん「友達を大事にしないとひとりぼっちになっちゃうんだぞ!!?」

みっちゃん「……………」


赤音「(ぐすっ…ぜ、絶対泣かないぞ……)」


ゆうちゃん「ねぇ、ここに居てもつまらないから、どっか行こ〜……って」

ゆうちゃんが振り向くとみっちゃんが震えて泣き出していた。

ゆうちゃん「みっちゃんたら、なにも泣かなくてもいーじゃない、もぉ(。>д<)」

みっちゃん「だって……赤音ちゃんに会いたいんだもん(つд;*)」

赤音「みっちゃん……」

赤音はみっちゃんの顔を覗きこんで座りこんだ。

みっちゃん「……もう会えないのかな……それならせめてちゃんとお別れ言いたかったな」

みっちゃんはポロポロ涙をこぼしている。

それを見て、ついに赤音も泣き出した。

赤音「うぇぇ〜〜〜〜〜〜ん…」

ゆうちゃんは困って、みっちゃんの肩に手を置き、慰める。

しばらく赤音とみっちゃんは泣いていた。

赤音は手で顔を覆い、むせび泣く。



どれくらいの時間泣いていたのか、気がつくと、みっちゃんとゆうちゃんの姿はなく、赤音だけがポツンとブランコの前にしゃがんでいた。


次の日、照りつける6月の太陽が眩しく暑い。時間は午後の2時。

セノウ「ふい〜〜〜……今日もまた暑いなぁ」


ビビビビビビビビッ!!!

いつもの神社に目覚まし時計の音が鳴り響く!

ガチャコッ!っと、アラームを止める音がする。

セノウ「お♪お姫さまのお目覚めだ♪」

しばらくすると赤音が元気にセノウの元へやってくる。

赤音「おはよう♪ヽ(´▽`)/セノウさん♪」

セノウ「なんだ?やけに元気いいな♪」

赤音「うん(*´ω`*)だって、こんなにいい天気なんだもん♪♪」

セノウ「な♪♪飯できてるぞ♪」

赤音「うん♪毎日有り難う!大好き💕セノウさん♪」


食事を済ませ、赤音が出掛けようとする。

赤音「んじゃ、行ってきま〜〜〜す♪ヽ(´▽`)/」

セノウ「♪♪いつもの公園か?(笑)」

赤音は振り向いて言う。

赤音「ううん、今日から、隣街の公園にいくの♪」

そう聞いたセノウはハッとする。

セノウ「………!!」

「(あぁ……やっぱりそうだったか……)」


セノウ「(今日の夕飯はちょっと贅沢にしてあげようかな………)」

赤音を見送るセノウが涙をこぼしながら言う。

セノウ「お〜〜〜〜い、あんまり暗くならないうちに、帰ってこいよ〜〜〜〜♪」


赤音「は〜〜〜い♪♪♪」


〜〜〜〜座敷わらしの赤音〜〜〜〜 完




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