第3話 座敷わらしの赤音《あかね》 前編

薄暗くなり始めた頃のとある公園。

女の子3人が「今日はもう帰らなきゃ」や「また明日ね」などと、その日のお別れの挨拶をして二人の女の子がその場を去った。

一人ぽつんと残った女の子がいる。ブランコにちょこんと座り、なにやら帰りたくない面持ちで独り言を言う。

赤音あかね「うん…お腹すいたし、あたしも帰ろう♪大丈夫♪また明日も会えるもん(*´ω`*)」

この赤音、実は人間ではない。妖怪の座敷わらしなのです。


赤音が帰る場所…それは埼玉県戸田市内にある古い神社。その敷地内にある池のほとり、そこにある小さな社。赤音はその社に憑いている。

すぐそばの池には赤音が心から慕う河童の[セノウ]さんが棲んでいる。


セノウさんは、今日もいつものように池のほとりでエロ本を読んでいる。

セノウ「…たまんねぇな(///ω///)♪神 ユキか…スゲー体してんなぁ(*´ω`*)うほほ〜〜〜♪♪ツンパデルコンクイッ!!!」

そう言ってセノウは往年のヤスシ師匠のように、掛けてもいない眼鏡を右手の人差し指で眉間に上げ下げするしぐさで

「シコるでしかしッ!!!」とのたまった。

そこへ赤音が帰ってきた。


赤音「……ただいま♪ヽ(´▽`)/セノウさん(///ω///)♪なにしてるの?ち○こないからシコれないでしょ?」


ビクゥッ!!!

セノウ「お、おぅ!おかえり赤音♪」

あわててエロ本を隠すが、赤音にはバレている。

セノウ「飯できてるぞ♪手ぇ洗ってこい♪」

赤音「はーーーい♪」


セノウさんは、おそらく何でもできる。毎日のご飯の支度から、掃除に洗濯まで何でもこなすイケテる河童なのである。[河童]の種族は[カンチキ]で、おそらく滅茶苦茶強い。そして誰よりも優しいので、赤音はセノウさんが大好きなのだ。


食事中、赤音が言う。

赤音「あ〜♪この肉団子おいしい(*´∀`)また料理の腕前上がったんだね♪セノウさん(///ω///)♪」

セノウ「そう?まぁ、料理は趣味みたいなもんだし、何よりおいしいって食べてくれるやつがいるから、そりゃ腕前も上がるってもんだよ♪♪(*´ω`*)」

赤音「❤❤❤キュンときた♪セノウさん(///ω///)♪あたしキュンときた♪」

そう言って赤音は着物を脱ごうとする。

セノウ「ッ!コラコラ(笑)赤音…」

赤音「あはっ(*^_^*)冗談だよ❤セノウさん(///ω///)♪」


赤音「……でね(*≧∀≦*)みっちゃんたら、こんな事言うんだよ〜[あたしも赤音ちゃんみたいに可愛かったらなぁ]って、充分抱きたいぐらい可愛いっての!!(*´∀`)」

セノウ「はははっ(*´ω`*)そうかそうか♪みっちゃんもゆうちゃんも良い子なんだな♪」

赤音「うん(*´ω`*)二人とも大好き❤明日も絶対遊ぶんだぁ♪♪」


セノウ「………うん…でもな、赤音?あまり仲良くなりすぎると後々…」

セノウの言葉で、ハッとする赤音。

セノウ「あ、なにも今こんな事言う事ないか(;・ω・)ごめんよ赤音…」


赤音「……うん、いいよ(*´ω`*)でも、なんであたし、人間じゃないんだろ…なんで座敷わらしなんだろ……?」


しゅん😢⤵⤵とする赤音をみて、セノウは自分の頬を叩く。

赤音「しょうがないよね?今さらこんな事言っても…気にしないで?ね?(*´ω`*)」

そう言って赤音は笑顔になる。


セノウ「………(だいぶ慣れたな…赤音がここに来たばかりの頃は、なかなか立ち直れなかったもんだが)…」

セノウ「…さぁてそろそろ河童の集会があるから、俺は行くぞ?」

伸びをしながらセノウが言う。

赤音も食べ終えた食器類を抱えて言う。

赤音「行ってらっしゃい♪じゃぁ、あたしも自分の仕事してこないと♪♪」


赤音の仕事、それは今憑いている社で騒ぐ事。


セノウ「そういえばお前、みっちゃん達に普段何してるって言ってんだ?」

赤音「え?私立のお嬢様学校に行ってる事にしてるよ?(*´ω`*)(笑)」

セノウ「………(お嬢様?)ふむ。」


次の日。

5月半ばの気持ちいい午後。赤音が棲む町並みが一望できる小高い丘の森林公園に仲良し3人組が遊びにきていた。


みっちゃん「頂上まで走ろ♪」

ゆうちゃん「いいね♪ヽ(´▽`)/競争だよ?」

赤音「あぁっ!待ってよ〜〜〜♪」


頂上にあるランドマーク的な大木の根元に3人とも座り込み、心地よさを満喫している。


みっちゃん「あぁ〜〜♪風が気持ちいいねぇ♪」

ゆうちゃん「うん(*´ω`*)涼しいよぉ〜♪」

赤音はただただニコニコしている。


みっちゃん「いいなぁ……こういうのって、あたし達、ずっと友達でいようね(*´∀`)」

ゆうちゃん「勿論(*´ω`*)絶対だよ❤当たり前だよ〜〜〜〜♪」

赤音はその問いに答えられずにいる。

みっちゃん「……ね?赤音ちゃんも♪返事は?」

赤音はしばらくうつむいた後、泣きそうになりながら言う。

赤音「……うん、ずっと…ず〜〜〜っとね、あたしの事、忘れちゃやだよ?」

みっちゃんとゆうちゃんは顔を見合わせて、クスッと笑う。

みっちゃん「も〜〜♪どうしたのぉ?赤音ちゃんてば♪」

ゆうちゃん「……まてよ?ひょっとしてさ、赤音ちゃんって、引っ越すとか?」

赤音「え?」

みっちゃん「!!!そうなの!?赤音ちゃん引っ越しちゃうの!?」

赤音「(笑)いやいや、引っ越さないよ〜?」

みっちゃん「ホントに?今日の赤音ちゃん、ちょっと変だよ〜〜〜(笑)」

ゆうちゃん「ね(笑)どうしたのぉ?」

赤音「(笑)別にどうもしないよぉ(*´ω`*)」

(そう、あたしはセノウさんがいるこの街から何処へも行かない………)

みっちゃん「そろそろ戻ろう♪」

ゆうちゃん「走って降りよう♪ヽ(´▽`)/」

赤音(大丈夫…………まだ、サヨナラは先だもん…………)

みっちゃん「なにやってんの〜〜〜♪赤音ちゃん(笑)」

ゆうちゃん「置いてっちゃうぞ〜〜〜〜♪」



次の日の昼過ぎ。

座敷わらしの赤音は昼間に寝ています。晴れの日は外の池のほとりにベッドをおいて、雨の日は神社の社でおねむです。午後2時になるとビビビビビビッ!!と目覚ましの音が高らかに鳴り響きます。



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