Check02 一人称小説執筆適性

■設問■


 まず、『三人称小説に向かない作家』は、存在しません。物語の内容・展開・長さが『三人称形式より一人称形式が向いている』という作品はありますが、作家の書き方に向き・不向きはないと思っていいでしょう。

 誰だって他人のことを客観的に説明できるからです。逆にできなければ日常生活にも支障を来たしているでしょう。

 説明が上手い・下手の問題も絡んでくるのですが、人称がなんだろうと関係ないので、この項では割愛します。

 ここはあくまで、恥ずかしくない一人称形式が書けるか否かという観点のチェックです。

 しかし三人称形式にも共通する内容も存在します。


 ○ ○ ○ ○ ○


 一人称小説を書かれている作家さんは、ご自分で書かれている・書かれた作品を見て、以下の問いにYSE・NOでお答えください。



《問01》

 詳細な数字を記している。


《問02》

 ストーリーテラー(物語の語り手)への自己投影が入っていると思う。


《問03》

 『説明不足』『描写不足』と指摘された経験がある。


《問04》

 あなたが三人以上で会話するシーンを書いた時、特別難しさを感じたことはない。


《問05》

 『俺』『私』『僕』などの一人称が多い。


《問06》

 次の一人称形式文章に問題があるとは思わない。


(例1)

「なんだ、これは……!」

 流行りの異世界転生というヤツが、僕の身にも起こったらしい。

 だけど目に入った僕の腕は赤銅色になり、爪が長く鋭く伸びていた。

 それどころか目の色が真っ赤に染まり、瞳孔が爬虫類のような縦長に。

 どうやら僕は人間ではなく、魔物として転生してしまったらしい。

 苦悩する僕の背中を見つめる目があったことなど、気づきもしなかった。


(例2)

「ふっふっふ……お主もワルよのぉ」

「いえいえ、領主様には負けますよ」

 離れた場所で、領主と商人がそんな悪企みをしているなんて知るはずもなく、俺はその頃、宿屋でグッスリ寝入っていた。

 だからあの後、あんなことが起こるとは、知る由もなかった。

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