第18話

 次に見つけたのはアンネだ。

 アンネがやっていたのは、レースゲームだ。

「あははは、楽しいネ!」

 僕は後ろから彼女の画面をのぞきこむ。

 彼女が操るマシンは完全に逆走していた。

「おい、逆走してんぞ!」

 そして、反対側から走ってくるマシンと何度も正面衝突を繰り返していた。

「わざとネ」

「は?」

 アンネは満面の笑みで言った。

「敷かれたレールの上を走るなんて、ミーにはできないネ!」

「ゲームのルールにくらい従えよ!」

「みんな、ミーを置いて去ってしまうネ……ミーはずっと、取り残されたままネ……」

「そんな感傷的な気持ちになるなら普通に走れよ!」

 けらけらと放埓な笑みを浮かべたままアンネはマシンを操り続ける。念のために言っておくが、このゲームは正統派のレースゲームで、断じてそんなひねくれた遊び方をするようなゲームでは無い。

「あはは、ミーを否定するすべてを破壊するネ!」

 こいつもこいつで何か溜まってるのかな、と思う僕であった。

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