第16話
「あ、これかわいい」
僕たちはハンバーガーショップでうだうだと時を過ごした後、適当に街をぶらつくことにした。七海が反応したのは、ゲームセンターの前に置かれたクレーンゲームの中にあるぬいぐるみだった。
「かわいいか……それ」
そのぬいぐるみの名は、『キモンキー』。ベースになっている動物はサル。だが、その外見は一言で言うと――
「『キモオタ』じゃん……」
小太り、眼鏡、そばかすに、ださいTシャツにジーンズというテンプレなキモオタスタイル。今にも「ヌフフ」とか「フォカヌポウ」とか言い出しそうだ。
「えー。ちょうかわいいよ」
七海は昔から趣味がおかしい。普通の女の子らしいかわいいぬいぐるみも持っていたが、グロテスクな血濡れの髑髏の置物だとか、ジッパーの部分が手術跡を模した筆箱だとか、常軌を逸したものによく興味を示していた。
「なんか、ちょっとこうちゃんに似てるし」
「似てない! 断じて!」
なんだ、こいつ。遠回しに僕をディスろうとしているのか?
「一回やってみよっと」
七海はクレーンゲームに興じ始めた。
他のメンバーも思い思いにゲームを始めている。僕は他のメンバーの様子を見に行く事にした。
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