第17話 CNC

小学生のころ、下校のとき女の子といっしょに帰っていた。女の子は、離婚のため親権を手放したお父さんがさらいにくることにおびえていた。僕が守ってやると言った。夕闇。女の子とお母さんは保護センター近くの住宅地に住んでいて、そこまで送る。星空だった。みずがめ座がキレイだった。女の子はコップ座を指さしたがそのとなりに冷蔵庫座があり「CNC」のマークが輝いていた。保護センターの食堂に入り、コーヒーを自分で注いでいると黄色いジャージの若い係員にとがめられた。受付で紙片をもらったかと。いいや、と答えると、四枚もらうのが規則だという。そして、請求書の金額の欄に五千円と記入した。コーヒー二杯でなぜそんなにとられるのか。会員になれば値下げして、さらに二千円分ポイントがつくとのこと。そうしようと思った。同じ席にセンター長らしい太った男が座っていた。鼻の頭にばんそうこうを貼っている。住宅を見たかね、と私にきいた。私は知っている住宅地の名前を答えると、そうではない、あそこは古くて価値はない、と言った。

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