第16話 レコードの解説書

レコードの解説書を読む。この指揮者は皿がお好きだそうで、皿の話をしている。古代インドの王のもとへ敵国からはるばるダイヤモンドのやじりをもった矢が飛んできて王を殺そうとした。ダイヤモンドの矢は王をつらぬき必ず殺すはずであったが王はいやな予感がした。王は狼に育てられるという王者が必ず主張する神話を持っていたが本当に狼に育てられていた。なぜなら狼が現に宮殿にいるからである。宮殿では狼は心やさしくかわいそうな娘の世話をしている。年老いたこのメス狼は非暴力主義であった。虎やシシに育てられる王者もいるだろうが長野の山中でひとしれず暮らしている狼のことを思うと狼に肩入れしたくなる。敵国からはるばるダイヤモンドの矢を射るのは半人半馬の勇者であり、百発百中であり、世界の王となる運命に従っている。しかし王はいやな予感がして悪夢が近づいていることを悟っている。王は豪華料理をたべている。フグを薄く薄く刺身にしたやつを皿に並べたやつだ。巨大な皿であった。料理人はフグ調理師免許をもっている。王は自分に対する殺意が近づいてくることを知った。ダイヤモンドの矢が王に届く瞬間王は巨大な皿を盾として自分を守り矢は皿によってはじき返されて天井にささった。暗殺は失敗し、これにより世界征服の野望もついえさったのだった。

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