9限目~宵闇の銃姫が怖くないとは言えない~
ヘリに揺られること数時間。座りっぱなしがきつくなって来たのでツクハを膝に乗せて回復しようと試みて、ルナに叩かれたりしたところでヘリが着陸した。
「んと、ここは、どこ?」
「一応、都内ですね。それも、23区の中です。もはや何区かも分からないですが」
は?この周囲が完全に瓦礫の山な光景が?俺が知らないだけで東京都内は世紀末になっていたのか?
「……一応聞くが、秋葉原は?」
「あそこは無事です」
「いやなんでだよ!?嬉しいけどさ!」
「何故かは知りませんがあそこだけは攻撃対象になりませんでした。あとアニ〇イトとかメ〇ンブッ〇スとかと〇のあながあるビルやショッピングモールなんかも無事ですね」
「敵に、オタクが、いる……!?」
驚愕に目を見開くツクハは可愛いとして。この光景が正しく異様。俺達が立つビルを境にして前側は世紀末、後ろは健常。何だこれ。
「ここが最終防衛ラインです。前線基地はここから少し奥に行った場所です」
「ここからは全くみえないんだが……」
「基地は地下にあります。入口は地下駐車場をリフォームして作っているので実質地上部はゼロです」
「なるほど。空輸は?」
「不可能ですね。あらゆる場所に対空ロケットが配備されているのでヘリだろうが弾道ミサイルだろうが撃ち落とされます」
物騒だなおい。いつの間にこの国は15歳の少女にそんな言葉使わせるようになったんだよ。あ、30年前か。
「幸いにも敵が道路を整備してくれているのでトラック輸送が効果的なんです」
「まあ、確かに、敵にとっても不便なのは困るしな」
「あ、2人も到着したみたいですね」
ヘリから降りた望陽と暁が駆け寄ってくると、同時に階下から女性が上がってきた。
「君達、良く来たな。ようこそ最終防衛ラインへ」
「ああ、どうも……って千草教官!?」
駆け寄ってきた暁と望陽も、ルナも驚いている。その女性は千草教官と瓜二つ、というかそのものだったからだ。
「千草教官?……ああ、姉貴のことだな。私は千草アリア。テレシアの双子の妹だ」
「千草教官双子だったんすか……初耳過ぎてビックリですね」
「瓜二つの顔……よもや影武者か!」
「私は前線基地の機関長をやっている。つまりは軍属だ。そして、極めて稀な、双子で能力者に目覚めた1例だな」
「なんか、かっこいい」
「肩書き多いっていいよな。なんでもできる感あるし」
「私についてはさておき、これから作戦を伝える。私達はこれより車に乗りこみ、トラックの進路上若しくはその付近の敵をトラックが基地に到着するまで撃退もしくは撃破し続けること。第8遊撃部隊には道路西側、前線基地付近を護衛してくれ。そこに投入される敵戦力なら、宵闇の銃姫を当てるのに最適だろう」
また宵闇の銃姫……市橋ルナのことだ。俺は銃姫となったルナを1度見ている。邪魔する者全てを撃ち抜きかねないその威圧感は相当な物。それを間近で見ることになるとは……
やっべぇマジで怖え。
「作戦は最終防衛ライン付近にトラック輸送隊が入ったタイミングで開始。進路上の敵を突破しつつ防衛地点へ到着次第車から降り戦闘に突入だ」
そう言って千草さんは端末をこちらに見せる。地図アプリに表示されたトラックの位置と距離から換算して大体、
「2時間くらいか」
「計算が早いな金剛ツカサ」
「兄様は、計算とか、考えることが、得意」
そうか?普通だと思うんだけどな。あと得意げなツクハ可愛い。
「それでは、作戦まで待機ですね。行きましょうか」
そうして、俺は作戦へ突入していく。それが、明確な敵と、市橋ルナの宵闇の銃姫と呼ばれる真の理由も明らかになっていくことになるとは、この時の俺とツクハは思いもしなかった。
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