7限目~自己紹介はやはり平穏には終わらない~

「えっと、じゃあまずは私から。高等部1年A組、市橋ルナです。第8遊撃部隊の仮隊長をやっています」

「なあ、気になってたんだが、その仮隊長ってのは何なんだ?」

「基本、遊撃部隊の最低構成人数は4人なので、正確には私達は遊撃部隊ではないんです。つまり、私も(仮)隊長なんです」

「へー。なるほどな」


現在、自己紹介という形をとって秩序ある歓迎会をしている。自由にさせてたら暁は下ネタ製造機になるし、望陽は喋らないし、ツクハは望陽のキャラに混乱するからとのルナのナイス判断だった。


「次は自分ですね。自分は柊暁っす。中等部3年B組ですよ。某有名連続学園テレビドラマじゃないです」

「何だ、ちゃんと自己紹介出来るじゃん」

「あ、ツカサ先輩は卑猥な方をご希望で?」

「きちんとそっちの方も用意してた所はさすがお前というべきだな」


暁は黙ってれば可愛いんだがなあ……まあ、ああいう性格は俺好みだが。

次は望陽の番だが……あれ?望陽どこいった?


「フハハハハハハ!我、参上せり!さて、ぷきゃっ!?」


ロッカーの扉を開けて出てきた。しかも扉が跳ね返って顔面にヒット。なんだ「ぷきゃ」て。可愛いじゃねぇか。


「いたたた………」


鼻を赤くした望陽がゆっくりと俺達の前に立った。正直めっちゃ笑いそう。手をつねって抑えてるレベル。


「望陽ちゃん、だい、じょうぶ?」

「平気、であるっ!!」


うわ、うちの妹優しい。マリア様レベルに優しい。そんでもって可愛い。そろそろユー〇ャンに直談判してもいいレベル。マジで流行語大賞にしてやろうかな。


「我の名は浅葱望陽!この学園の中等部2年E組の当主であり、第8遊撃部隊の城主である!」

「後半全然わからんぞ」


わかりたくもない。が、ツクハが地味に影響されつつあるようだ。浅葱望陽、恐るべし。


「ククク、金剛兄よ。城とは人の心に根付くもの。形など所詮虚像に過ぎん……」

「よく、わからないけど、かっこいい……」

「その城主ってのは隊長とは違うのか?」

「あっ、えっとそれは……どうだろ……」


次の機会までに設定固めておこうねー。機会があればだけど。


「次はツカサの番ですね」

「ああ」


短く返事して、ツクハと共に立つ。


「俺は金剛ツカサ。高等部1年、所属クラスは不明だ」

「ツカサはA組ですよ?」

「そうなのか?じゃあA組だ」

「後、隊長も任せようと思います」

「そうか。じゃあこれから俺が隊長……はあ!?俺が隊長!?」


こくこくと頷くルナ。


「いやいや、俺はこの学園に来たばっかりだし、そもそも戦ったことなんてないぞ?」

「それはそうなんですが、校則で能力不明の生徒は戦闘に参加してはいけないんです。なので、隊長になればこれもまた校則で戦闘への絶対参加が義務付けられてるので……」

「なるほど。つまり、隊長になればツクハの傍にずっと居れるということか。なら受ける」


パチパチと4人分の拍手が聞こえ、次にツクハの紹介に移る。


「そして、こっちが超スーパーウルトラモスト可愛いインスペースな女神も聖母をも凌ぐ超絶天使めちゃめちゃいい子な俺の妹、金剛ツクハだ」

「金剛、ツクハです。えと、1年E組、です。これから、よろしく、ですっ」


はい、可愛い。もう宇宙から出ても通用するんじゃないかと思うほど可愛い。さいかわ宇宙選手権14連覇だな。間違いなく。国民栄誉賞もらってもいいくらいだ。


「あ、あはは……とりあえず自己紹介も終わったことですし、ケーキを━━━」

『第8遊撃部隊、召集を命じます、作戦司令室へ至急、お願いします』


突如、放送から呼び出された。


「これからケーキだったのにー。全く、少しは空気を読んで欲しいですよね。まあ、これもいい機会、ですか?」

「そうですね。ケーキは冷蔵庫に直しておくので後で食べましょう。行きますよ!」

「うむ!第8遊撃部隊、出陣じゃー!」

「お、おう」

「???」


まだ状況がわかってないツクハ可愛い。愛でながら教えてあげようと心に決め、魂に刻み、神に誓ってツクハの手をとって3人を追いかける。

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