5限目~俺達は真面目ではない~

何はともあれ、柊暁ひいらぎあかつきと二人きり(決してやましいことなどない)となった訳だが、まあこれもこれから仲間となる人間と親睦を深めるチャンスだろうと、暁の対面に座ってみた。


「先輩は巨乳派ですか?」

「何度も言うが初対面の人間に下ネタスタートは中々厳しいと思うぞ」

「え?こんなの下ネタのうちにも入らないですって。下ネタってのはもっとこう……背徳感っていうか、羞恥心っていうか」

「今のお前は背徳感はあっても羞恥心はZEROだな」

「ニュース番組ですか?」

「違う」


断じて大人気アイドル(土人形であると分かった今は相当しらけたものに見えるが)がやっている深夜帯のニュース番組ではない。


「じゃあ先輩は貧乳派?」

「ツクハ派だ」

「じゃあ、ルナ先輩のスリーサイズに興味はありますか?」

「何でそんな質問ばっかりなんだ……まあ、ないといえば嘘になるな」


こっちだって健全な男子高校生だし。こいつには別に話してもいい気がした。


「だが、そんなことよりツクハの身体の成長を見ている方が100倍楽しい」

「もはや変態の域ですね」

「お前に言われたくねぇ」

「最高です」

「お前もな」


意気投合だった。かつてないほどくだらない友情が成立しようとしていた。


「そういえば、もう一人……望陽とか言ったか。そいつはどんなやつなんだ?」

「みはるんは武士で貧乳で忠犬です」

「大層なキャラだな」


何だ武士で貧乳で忠犬って。可愛いじゃないか。


「顔はそこまで童顔じゃないですが胸が」

「なるほど、ぺったんなのか」

「それと、ルナ先輩のスリーサイズについてですが」

「まだ言ってんのか」

「いやぁ、ガードが堅くてなかなか図らせてもらえないんですよ。あ、ツクハちゃんのスリーサイズ教えてください」

「断る。大体、女子のお前で無理なら男の俺に出来るわけないだろうが」

「先輩童貞ですか?」

「とんでもないタイミングでとんでもない質問ぶっかけてんじゃねぇ」

「ぶっかけるなんて先輩ハレンチな」

「お前はそのピンク一色の脳内を真っ白いキャンバスに戻せ」

「ツクハちゃんマジ萌えですね」

「当たり前だ」

「先輩私処女です」

「そうか」

「そうかって、少しは興味もってくださいよ!?目の前の美少女が処女何ですよ?しかも部屋には二人きり。襲わない理由なんてあるわけないじゃないですか!」

「お前にとっての俺はどんだけ見境無いんだよ!?」


てか自分の事を美少女て。まあ可愛いけどさ。


「とりあえず先輩、言い出したからには私を頭が真っ白になるくらいキモチヨクさせてくださいよ?」

「1人で自慰行為にでも走ってろ」

「飽きました」

「飽きちゃったんだ……」


なんかもう、それはすっごく残念感がある。なぜとは言わないが。


「いやー、自分にここまでついてくるひとは初めてでした!流石はツカサ先輩ですね」

「何故だろう、何も嬉しくねぇ」


というか、さっきからドアの外がうるさい。正直早く入ってきてくれよ。


「こら!諦めて入りなさい!」

「い、嫌である!拙者は初対面の男には斬りかかってしまうという悪癖が……」

「そんな悪癖ありません!早く……入り、なさいっ!」

「みゃあっ!?」


バタン、というドアが開く音と部屋に放り込まれた少女が勢い余って倒れる音が重なる。

薄い赤の髪を後ろで縛って、腰には刀を携えている。


「うぅ……ひっ!?」

「初対面でその反応は流石に傷つくぞ……」


みはるんこと、浅葱望陽あさぎみはるは人見知りだった。そしてやはり武士で貧乳だった。

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