(1)KinKi Kids

高校生の頃、クラスの半数ほどは光GENJIのファンでした。しかしその頃のあたしはジャニーズにまったく興味がなく、初めて興味を持ったのは二十歳を超えてからでした。


当時あたしは今は亡き小説JUNEという雑誌を愛読していました。非常にざっくりした説明をすると、男性同士の恋愛小説が掲載されていた小説雑誌です。そこには小説だけなく、さまざまなメディアの「男性同士の恋愛物」に関する情報も載っていました。


そこで目に止まったのがドラマ「人間・失格」の紹介記事。どんな内容だったかは忘れてしまいましたが、ジャニーズの子が出演しアレだというのでとても興味を持ちました。当時は今ほどボーイズラブや腐女子というものが世間一般に認知されておらず、どちらかと言えばタブー、そんなものに興味があるなどとはとても口に出せずひたすら日陰者といった感じでした。なのでそれらがビジネスになることもなく(一部を除く)ましてやテレビでそういうものを目にすることはなかったので、生身の人間のアレ、が見てみたいと強く思ったのです。


で、どういう経緯でそうなったのかはこれまた忘れましたが、再放送だったのでしょうか、たまたま夕方放送されていたその「人間・失格」を見てしまったのです。それも二人がちゅーする場面を。


どうにも記憶が曖昧なのですが、その場面は1話ではなかったような気がします。するのですが、なぜか1話から見たような記憶があります。そして最終話までを見、その頃にはすっかり野島伸司の脚本の虜となっていたのですがそれはさておき。


この子達、どうなんだろう? と思った訳です。当時彼等は14、5歳。そのくらいの年の男の子が同性とキスするなんていくら仕事とは言えどうなんだろうと。そしてそこから、この子達どういう子達なんだろう、とアイドル雑誌を購入する日々が始まる訳です。


それが確か1995年の夏でしょうか。熱しやすいあたしはファースト写真集を買い、コンサートビデオを買い、彼等が出演する音楽番組やドラマを見ました。そして彼等が歌うカバー曲の原曲を知りたくてサディスティック・ミカ・バンドや笠置シヅ子のCDまで買いました。今考えるとアホすぎです。しかも未だにそれらを手放せません。


彼等の何があたしを惹きつけたのか、それはわからない、というか覚えていません。覚えてないけど、今の彼等を見ていて浮かぶ感情、それと同じなんじゃないかな、と思います。なんと言ったらいいのか、彼等の存在というのは心のある部分を引っ掻くのです。それは言葉にするなら「自分という存在に対する切実さ」でしょうか。


それがどういうことか説明するのは難しくて、わかりやすく言うなら「自分は何者で、何の為にここにいるのか」みたいな感じかなと思うのですが、あたし自身の中にあったその思いを彼等の中に重ねて見ていたからこそ、あれほど一気に熱を上げたんじゃないだろうか、と思います。


しかし、しかしです、あたしは熱しやすく冷めやすい質でした。コンサートビデオや音楽番組で彼等を見るうち、別の子が気になりだしたのです。あたしの記憶違いでないなら、確かコンサートビデオには剛健も出ていたはずです。でも違います、剛健ではありません。それにその子はコンサートビデオには出ていません。それどころかそのとき入所すらしていません。なら誰なのか。


それは95年入所、ジャニーズに詳しくない人ですらその名を知っているであろう、滝沢秀明です。


続く。

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