非日常を受け入れた現代

━━異質な存在の彼らは、数十年前に現れた━━


だが、友好的であることに変わりはない。楽しいことも、苦しいことも、共有することを望んでいるのだから。

魔法なんてものはない。生活空間が違うだけで、同じ人間なのだから。共存し、分かち合うためにやってきた彼らを拒絶する理由などなかった。


姫様と幻光は、地球の人間ではない。

戦後数十年経った頃、突如として星規模の島が三つ現れた。地球では未だかつてない、SFの世界が現実に起こったかと絶望した。しかしその巨大島の人間が地球に降り立ったとき、あまりの友好さに度肝を抜かれた。彼らは予てより、地球のそれも日本に興味があったらしい。彼らの出現により、世界は変わった。しかしながら、あちらからの半移住者は現れても、こちらからは恐れをなして出てこない。地球人にとって、神に近い扱いをされていたからだ。


今は現代、寧ろ年月が彼らの存在を受け入れていた。見た目は全く同じだったのだから、溶け込むのは容易だったのだろう。元々、三つの巨大島は友好関係にあった。同時に溶け込んでいった。非常に頭の良い者から、運動神経に優れた者まで様々だ。侵略するつもりはなくとも、目立ってしまうのは仕方のない話。時代の流れに支障は来さないレベルでの共存を望んでいる。無下にされない所か、言葉が通じる安心感が皆の心を占めたのではないだろうか。今では当たり前のように会話している。

しかしながら、ではない。地球の言葉が話せない者は、行き来を許されてはいない。

このような非日常、非現実的な状態に双方、麻痺し始めていた。だが、お互い魔法など二次元要素はない。巨大島自体は、正にには打ってつけ。同じ動物が棲息し、見た目もそう変わらない。ましてや、monsterなどいない。地球人はまだ巨大島に行ったものはいないが、興味はあるようだ。

地球人と巨大島の人間が結婚するケースも徐々に増えている現代。けれどいつかまた、疑問や反対の声が上がるかもしれない。『聖カランコエル皇国』・『天神星』・『黒神星』。この三つの巨大島への疑心暗鬼は、誰かの心にはあるだろう。それを払拭するために、定期的に話し合いが持たれていることをお互いの国民は知らない。

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