第7話
須弥山の中腹の門を越えると、急に景色は豪華になった。そこら中に、きれいな金銀宝石が置いてあり、美術品が並べてあった。美味しい食べ物も、そこら中に置いてあったし、きれいな衣服もたくさん置いてあった。
武器兵装の類も山ほど置いてあったし、世界中の富がここに集まっているというのも本当に思われた。
「なんて、贅沢な所なんだ」
弐卦は呟く。
歩いている使用人も美男美女ぞろいで、此花に負けず劣らずという美少女がたくさんいて、弐卦には眼福であった。目の保養である。
それは、此花にとっても同じで、美男子の多さに此花はくらくらした。
「あたし、やっぱり、皇帝になろうかなあ。そうしたら、こんな美男子たちを集めて遊べるんでしょお」
というので、特に反対する理由もなかったのだが、
「いいけど、その時は、ぼくもその付き人の一人に加えてくれよ」
と弐卦はいった。
「はあああああ」
なんだかんだといって、世界の富の中心地は、それはうらやましくて仕方がなかったのだ。これくらいの富を蓄えて、毎日、遊んでいられたらなあ、と二人は思わずにはいられなかった。
須弥山をどんどん頂上を目指して登って行った。だんだん空気が薄くなる。
帝釈天がいるという頂上に二人は、贅沢な富をあきらめて登っていったのだ。
「ねえ、頂上はどうなってると思う?」
と此花が弐卦に聞いた。
「そりゃ、若い美少女をはべらかしたハーレムがあるに決まってるよ」
「帝釈天ってすけべかな」
「まあ、助平でなくても、これだけの美女に囲まれれば、本能を抑えられなくなってしまうものだろう」
そんな予想をしていた弐卦だったが、頂上が見えてくると、それはとても意外な気がした。
須弥山の頂上には、一隻の墜落した宇宙船が置いてあったのだ。
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