第4話 真実
「検死結果に、もともと疑問が涌いていたのよ。それでよく調べてもらったら、田中さんは、19時15分よりもっと早く殺されたのではないかと」
「どういうことですか」
楽屋にいる人は皆、どういうことなのかと目が泳いでいる。
「遺体をあたためると、死亡時刻をおそくさせることができるらしいの。田中さんのご遺体に、土のようなものが付着していたの。つまり、田中さんは外で19時15分以前に殺されて、裸にされて露天風呂の温かい湯船に浸けられた。遺体をあたためると死亡推定時間が遅くさせることを視野に入れた殺人事件だった」
ひかり探偵の言葉を皆、びっくりした面持ちで聞いている。
「田中先生は恰幅がいいから、ひとりでは遺体を運べない。複数犯ということになりますね」
ひかりの説明にいち早く応えたのはレイカだった。
「複数犯というと、思い当たるふしが」
そう言うと言葉はやめた。レイカのなかでは、バラバラだった糸がひとつに紡がれたようだった。ヒロミにとっては謎のままだったが。
レイカの公演の初日は、レイカにとってはとんでもないことになってしまったようである。
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