mission 5-24

夕食の後、俺は今日の出来事を思い返していた。

……改めて振り返ると、今日あったことの密度が濃すぎるな……。

もっとも、言ってしまえば活動が始まってからは毎日がそんな感じだし、程度の差こそあれこれからもそうなるのだろうから、慣れていかなければならないのだが。

……活動のこと振り返って、ふと思ったことがあった。

「……行宮と彩瀬川、たった2人だけれど、俺はああいう時間を過ごすこと自体は別段苦手ってわけじゃないんだな」

今日の出だしの方では、ただ単に行宮との時間で慣れてしまっただけだと思っていたのだが、そもそも行宮との時間だって、冷静さを欠いていたりしたわけでもない。

それに今日の彩瀬川との時間だって、"普段一緒に帰ったりすることのない異性"と行動を共にしていたにも関わらず、普段のように過ごせていたという自覚があった。

……じゃあ、それはいいことなのか?

「"活動をこなしていく"っていう意味では、きっといいことなんだろうけどな……」

しかし、今言ったことは、言い換えてしまえば「その状況が特別な状態だという認識に乏しい」ということになる。

……いや、そんなに小難しく考えなくてもいい。ひょっとしたら無意識に誤魔化そうとしていたのかもしれない。要は、

「結局、そういう場面が"恋愛に直結する可能性のある"場面だっていうことが、分かっていないってことなんだよな」

今こうして、言葉にすることはできる。でも、それは一般論だ。

「今俺が置かれている状況は、恋愛関係にあるような男女のそれに近いと言えるな」なんて考えている人間が、実際に恋愛の最中にいるわけがなかった。

知識はあっても、本質は何も分かっていない。

答えを知っているのに、理解できていないその状況は、彩瀬川にあの日説明した時と同じで、

つまり俺は、まだまだあの時から何一つ変われていないということなのだろう。

……考えれば考えるほど不安になってきた。

「そもそも、俺って恋愛に向いていないんじゃないか……」

活動はおろか、その活動に俺が参加することを決めた理由の根本を揺るがしかねないネガティブな思考にたどり着いてしまう。

……いかんいかん、そんなことを考えたってどうしようもないじゃないか。

そもそも彩瀬川に、「過小評価をするきらいがある」と言われてしまったばかりなのだ。多少はポジティブ思考でいかなければならない。

せっかく再びの3連休なのだし、そのことでも考えよう。

……あれ?そういえば……、

「土曜は先輩の家、日曜は響とショッピングモールのリベンジの予定……ってことは、金曜は何もないのか」

昨日といい、どうにもタイミングが悪い。こういうことは連続している方が都合がいいのに。

……でもまあ、今回ばかりはちょうどいいのかもしれない。

いよいよ本格始動した活動を2回終えて、得られたものが多かったのは事実だが、同時に迷路に入り込んでしまったような感覚でもあるのだった。

活動を通して、本当に自分が変わっていけるのか―――変わってやるという決意はより強固になり、それに反比例するように確信は薄れていっている。

今必要なのは、ひょっとしたら気張ることではなくて、得られたものをしっかりと整理することができるような時間なのかもしれなかった。

だからまあ、明日一日くらいは無理して活動に関係のあることをするのではなくて、今をしっかり見つめて、考えるべきことを考えようじゃないか。

そうすれば、その先には初めてのイベントと、さらにその先には響との時間が待っている。

必要なことを得られる機会は次がもう控えているのだ。

「そういえば、天は攻略終わったのかな」

あれからかなりコツコツと攻略している様子だったし、終わっていてもおかしくはない。

明日あたり、感想でも聞いてみたりするかな……。

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