プロローグ
mission 0
俺は恋愛が分からない。
別に小難しい話がしたいのではない。恋愛という言葉の定義だとか恋と愛の違いだなんて話は専門家に任せておけばいい。
単純に、恋愛とはどういうものなのかがちっとも分からない。
今まで人生の常道から外れたことはなかったのに、生きる上で普通に通過するはずの気持ちが分からないのだ。
だから俺は、身近にいる異性への自分の気持ちが何なのかすらも判別ができない。
普通な俺が、普通に分からない。
だから、
「城木くんのことが好きです」
こんな状況になっても、俺の頭は分からないを吐き出し続けていた。
果たして、一体世の中のどれくらいの人間が、こんなふうに直球の告白の現場に居合わせた経験があるだろうか。
きっとそうはいないだろう。現代人はストレートな好意を向ける言葉が苦手だ。
それも「自分が当事者である」という条件を加えるとするならば、割合は更に減るのではないだろうか。
今まさに俺は、そんな少数派の一人になった。
する側ならまだ良かったかもしれない。
される側だ。
頭が真っ白になる。
今は、目の前にいる、顔を赤くしてうつむき加減になっている女の子のことを考える余裕すらなかった。
こんな時、普通ならばどうするんだろう。
普通な俺は、分からなかった。
俺は、恋愛が分からない―――
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