(2)



 *


 いつでも便利。

 どこでも便利。

 それはタウン○ージ……ではなく、蘭丸だ。

 我らがヒーロー、それでいて私の最高の味方、蘭丸の情報をここで一つ披露しよう。


「猫神様はこの辺り一帯を預かる神様なんだ。そして猫神様の主なご利益は、縁に関すること全般。縁結び、縁切り。良縁運び、悪縁切断。とりあえず人間関係に悩んだら尋ねるといい。まあ、不在が多いんだけど」


 それは神様としてどうなの……? と疑問に思ったが、どうやら神様事情があるらしい。


「やっぱり縁結びを看板にしてるからさ、売れっ子なんだよ。各地のちっさい神社を年々掛け持ちさせられててさ。受け持つ神社は百を下らなくって。結果日本中を転々とするようになったんだー」


 それゆえに文さんが普段不在の猫神様に変わってこの辺りを護っているらしい。

 宙ぶらりんに見えて案外しっかりとお役目を果たしているようで、その時ばかりは感心した。


 それで、だ。

 本題に戻ると……。


「猫神様がいらしている現在、私と龍之介さんの縁をみてもらいませんか?」

「縁を、みてもらう?」


 彼はきょとんとして私を見ている。

 ええ、と私は頷きながら今頃になって彼の布団を畳み始めた。

 万が一はぐらかされたりしてふて寝されたら困るからだ。


「縁結びの神様だと聞きました。だから私たちの縁を見ていただいて、それでもそぐわない場合は、私も諦めます」

「ほ、本当ですか!」

「ただし! もしお似合いのカップル、と言われたら……?」

「うぐ……。良いでしょう、僕も男だ。一生をあなたと共に」


 私は内心でガッツポーズをする。

 これは自分自身の賭けでもあるが、それも承知の上だ。

 そうでもしないと龍之介さんが神様への恋慕だなんて諦めてくれないだろうから。


「では」

「ええ、行きましょう」


 そうして私たちは襖を開けた。


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