第2話

とはいっても…だ。

男性を押し倒すなんて、私に出来るだろうか?

私もけっこう積極的な方だとは思うけど、いまだに男性を押し倒したことはない。

だって、恥ずかしいじゃない。

私の中の乙女心だか、常識だかが歯止めをかけてしまうのだ。




でも、今回は実験的な意味合いだってある。

蘭丸の言うように、私は本当に龍之介さんに多少なりとも好意を感じてもらってるのか、それとも、そんなのは蘭丸のただの思い込みで、緑川姫香のように蹴り出されてしまうのか…

蹴り出されたら、さすがに龍之介さんの想いは断ち切れると思う。

龍之介さんのこと、本当に好きなのか、ただ見た目にひかれてるだけなのか、ずっともやもやしていたそんな気分も蹴り出されたらすっかり晴れるはず。

だとしたら、やってみる価値はあるよね?

うん、あるある!!




でも、問題は実際に出来るかどうか…だ。

なんたって、未経験のことだもの。

困ったな…この壁をなんとかして乗り越えなくちゃとは思うものの、どうやって乗り越えれば良いのやら…




「……どうかしたのか?めぐみ。」


「えっ!?」


そこにいるのは、心配そうに私のことを見ているイケメン…そう、タイプは違えども、龍之介さんに引けを取らないなかなかのイケメン…




(そうだ!!)




やったことがないから、不安なんだ。

だったら、やってみれば良い。

そう…練習…!リハーサル!




「蘭丸…ちょっとお願いがあるんだけど…」


「何だ?」


「練習台になってほしいの。

私…龍之介さんに本気で迫ってみるよ。

でも、男性を押し倒したことなんて一度もないから、うまくやれるかどうか心配で…」


「そんなことなら、お安い御用だ。」


私達は、寝室に向かった。

蘭丸は、押入れを開けてそそくさと布団を敷いた。




なんだか、気まずい…

恥ずかしいやら緊張するやら…




「私はどうすれば良い?」


「え…えっと…とりあえずそこに座ってて。

まずは他愛ない話とかして…」


私達は、布団の傍にある卓袱台に向かい合わせに座った。




「それからどうする?」


「蘭丸は普通にしてて…

じゃあ、行くよ…!」




(3、2、1…)


私は大きく息を吸い込んだ。




「す、好きです!」


私は、蘭丸を力いっぱい押し倒した。

蘭丸の身体は、布団の上に投げ出され、私はその上に覆いかぶさった。

蘭丸の視線が私を見上げ…そして、私の視線が蘭丸を見据えて…











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