第2話

「うぐっ!」


怒りに任せて無茶な食べ方をしたせいか、マカロンがのどに詰まった。

た、たすけてくれ…

私は心の中で絶叫した。




「大丈夫か、めぐみ…!」


蘭丸が、私の背中を叩いた拍子に、抹茶マカロンが口から飛び出した。

え?私…マカロンを丸のみしてた…!?




「み、水…」


「あい、わかった。」


そう言うと、蘭丸は何を思ったか自分がお茶を飲み…




(……ん?)




そして、抱き寄せられたかと思ったら、蘭丸の美しい顔がどんどん近付いて来て…




(ぎゃーーーーー!)




心臓が飛び跳ねて口から飛び出しそうなんだけど、私の唇は蘭丸の唇でふさがれてて…




(ど、どゆこと~!?)




わけがわからないものの、今のシチュエーションはいやじゃない。

だって、超美形の江戸浪人が私に…ちゅー…ちゅーを…




ごっくん。




「……大丈夫か?」


「え?う、うん……」


そ、そうだ…今のはちゅーじゃない。

蘭丸は、私を心配して口移しにお茶を飲ませてくれただけ…




「なんだ、蘭丸…えらく過保護だな。」


「ですが、めぐみが目を白黒してましたゆえ…」


「え…えへへ…どうもすみません…」


なんだか照れくさくて、私は笑って誤魔化した。

だって、蘭丸は私を気遣ってくれただけとはいえ、事実上、ちゅーしたんだから…!

しかも、文さんの目の前で…!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る