第3話

「じゃあ、またあとでにゃ。」


「え?」


猫は、ぴしゃりとふすまを閉める。




「あ、あの…」


猫は私の戸惑いにも気付かずに、また長い廊下を奥へと歩き始めた。

龍之介さんともっと話したかったのに…




「えっと…

あ、あの…今の龍之介さんは?

ここに住まれてるんですよ…ね?」


「龍之介は、居候だにゃん。」


猫は振り返りもせずに淡々とそう言った。



「居候……」


やっぱり彼はここに住んでるんだ…

残念ながら今日はちょっとしか話せなかったけど、隣なんだから、会おうと思えばいつでも会える!

会ってるうちに、もしかしたら、愛が芽生えるなんてことも…きゃあーーーー!

でも、可能性は大だ。

このあたりにはそもそも人が少ないし、特に私みたいにうら若き乙女はあんまりいないはずだもん!




(チャーーーンス!!)




引っ越して運気が変わるって話はよく聞くけど…もしかして、これって吉方位とかいうやつですか~?

私は、龍之介さんに出会うためにここに導かれた!?

今までなかなか恋愛がうまくいかなかったのは、ここで龍之介さんと出会うためだったりして…

なんだか、考えれば考えるほど、私の顔はにやけていった。

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