強まる雨足

やってしまった……。とぼとぼと玄関へ向かう私の鞄の中には文庫本が二冊。返しに行ったのに冊数が増えているのは、当然借りたからで。まあ、本当は借りるつもりなんてこれっぽっちも無かったのだけれど。図書室に入ってすぐの所にある新刊コーナーに目がいってしまい。気がつけばご丁寧に司書さんの紹介文がついている本を手にとっていた。……結局、それともう一冊、表紙に惹かれてしまったものを借りてしまった私。図書室を出た時、外はもう土砂降りの大雨で。私は本を返すだけでさっさと帰ればよかったと激しく後悔した。


玄関に着いても雨の激しさは相変わらずで。大粒の雫が地面に強く打ち付けていた。もう少し雨足が弱まってくれれば帰れないこともないのだけれど、さすがにこの状況の中を傘無しで帰るのは辛い。風邪をひいてしまいかねないし、借りた本や教科書も濡れてしまう。小説や漫画なんかではこういう時、かっこいい人が傘を貸してくれたりするのだろうけれど、そんなことあるはずないし、そもそも期待していない。まあ、この大雨がずっと続くってことは無いだろう。一応天気予報は晴れだったわけだし。少し待っていれば帰れるくらいの小雨になる。そう思い、自分の下駄箱の前に座り、さっき借りたばかりの本を鞄から取り出そうとした時。

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