本格的な最強戦士の迷宮蹂躙劇

第4次【黒き覇者】1節【聖なるクリスタルを巡って】

サクラの月聖華の日、第47の島【月夜見の島】降霊の森での事。

これまで通りフィールドボスを討伐し、次の島へと続く道を有効化アクティベートしようとしているところのカインは、背後に電子音が鳴り響いていることに気づき、ふと振り返ってみる。するとそこには、


フィールドボス、【セイント・オブ・ミッドナイトドラゴン】がいたのだ。


(⁉…確かに倒したはずだが…一体どういうことだ?)

すると、ミッドナイトドラゴンがどしんどしんと轟音をたてながらこちらにやってきた。しかし戦闘態勢になるカインの手前で停止する。

たっぷり数秒間思考停止してから、

「……もしかしてお前、俺についてきたいのか?」 「グォォン!」

要するに、相方パートナーモンスターにすることが可能ということか…と驚愕とともに察する。

何故かというと、このエレメンタリィ・オンラインでのモンスターテイムシステムによれば、フィールドボスをテイムできる可能性はあれど、非常に厳しい条件なうえ、物凄い低確率だからだ。

「………わかった。じゃ、【我は汝とともに歩みしことを願う】」

数秒おいて、龍が「グォォォ!」と答える。これが言葉を解するモンスターなら、「【我、汝とともに歩まんことを】」と答えるだろう。

そしてカインの右腕と龍の左前足に、翼神竜を模した紋章が現れる。これはパートナーモンスターと通常モンスターを区別するためのもので、好きな柄を設定できる。

「じゃ、これからよろしくな!」 「グルォォ!!」


セイント・オブ・ミッドナイトドラゴンのテイムに成功したすぐ後、アナウンス特有の機械音声が響き渡った。

【第6次アップデート《聖杯の魔水晶》】キャンペーンイベントがただいまより開始いたします。詳細は運営メールをご覧ください。


「あ、そうかキャンペーンクエストがあったな…どれどれ…」メールを見てみると

       *        *       *

to:全プレイヤー生存者の皆様      件名:第6次アップデート

from:エレメンタリィ・オンライン運営

☆第6次アップデート《聖杯の魔水晶》詳細

☆概要☆

・第50の島【永久とこしえの島】より、全てのフィールドのどこかで限定アイテム「聖森の魔水晶」が採取可能になります。

アイテムは一定量集めると、永久の島、主街区クリスタリアにあるNPC《ノア》が希少レアアイテムなどと交換してくれます。

また、プレイヤー間の「聖森の魔水晶」の売買なども構いません。


期間→第85の島開放まで              ☆END☆

       *       *       *   

「……要するにアイテム一定個数で希少アイテムと交換できるっていうイベントか」  カインは一人ごちた。


なんとなく、視界の隅に映っている、家の壁に立て掛けた魔皇剣【ダーククォーツ】が微かに禍々しさを滲ませた紅いスパークを放ったような気がしたのは、ただの気のせいなのか、それとも、何かの予兆なのか…





次回→2節【壮絶なる争奪戦】              END






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