第1次《悪夢の始まり》3節【孤独な戦者】

聖歴2890年、標準世界日時ゲーム時間【いにしえの月花の日、朝焼けの刻】。

エレメンタリィ・オンラインがデスゲームと化して数日。

この世界は、魔法のクリスタルの力で空に浮かぶいわゆる浮遊島である。島ごとに名前があり、その名前がその島にいるダンジョンボスのヒントになっている。

第1の島【ファイヤステーション】。カインはその島の端に位置する【保護区域】の主街、始まりの街から出発して、ダンジョンボスのいる【降霊の森】に最も近い《ニグレドの街》を目指す。草原のブルーパペットやグリーンジェルなどを走り抜けざまに切り捨て、ドロップアイテムには目もくれずに駆け抜ける。

ハイレアランク称号ギフト【戦神】のステータス強化を存分フルに使って、途中の【保護区域】村に到着。

【保護区域】とは、【犯罪禁止アンチクリミナル】のシステムが働いている領域のことである。この領域内では、1つの例外を除いてHPが減ることは絶対にない。

ただし、犯罪禁止アンチクリミナルの保護区域外で、システムに設定された犯罪を犯したプレイヤーが保護区域に立ち入ろうとすると、鬼のように強いNPC守護者ガーディアンが待ってましたとばかりに襲ってくる。

「やっぱり、称号のせいなのか。というか、こんな強力な称号をなぜプレイヤーに極一部とはいえ持たせたんだろうか?まあ考えてもしょうがないことだが」

無意味な思考を振り払い、まだ誰もいない村を見渡す。早く来すぎたようだ。

メインメニューの時計は、【白夜の刻】を指していた。

たった1人、孤独な戦神の闘いの日々が、幕を開ける。


「……………これがどういう結末をもたらすかは、誰も知らないこと。」






次回→第2次【迷宮ダンジョンと孤独な戦神】       END

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