読書感想文『Dジェネシス 6』感想(ネタバレ)

 書籍版『Dジェネシス』はWEB版と比べてちょくちょく展開を変えてきましたが、今回の前半部分は丸々書き下ろしなのでWEBを読んでいる小生でも新鮮な気分で読むことができました。


 書き下ろしの前半部分は緊張感もあり、原作の地味さ補う良いエンタメ展開でしたね。いつもは混乱を巻き起こす側の主人公たちが他の組織の『利益』に巻き込まれてしまうというのは、ブーメランが返ってきたようなものでありますががが(汗)


 まあ、主人公たちも解決手段を持っているのにそれを隠しているわけですから、人類絶滅の危機があったとしても人類が完全に力を合わせることは難しいわけです。


 とはいえ、主人公たちが自分の力を明かしてしまえば、例え人類の危機を解決したとしても今度は別の厄介ごとに巻き込まれてしまうというジレンマ。


 人間社会とは『そういうもの』なのです。

『利益』がありとあらゆる『尊厳』を食い潰す世界でもあるわけです。


 まあ、その『利益』が人類を滅ぼすかもしれないとは考えないのが人間なのでしょうね。『一手のミス』や『一瞬の油断』が致命的というのは現実でもよくある話だったりします。くわばらくわばら。


 そして、後半部分はWEB版とほぼ同じ展開でしたが、こちらもWEB版の中では派手なストーリーなので、この六巻に関しては『Dジェネシス』らしくない盛り上がる展開が多い巻となってます(笑)


 新しい事実が判明したことによりここから『Dジェネシス』という物語は新しい局面に突入するわけです。物語はどんどん複雑になっていきます。


 その先に待っているのは果たして誰の『利益』なのか?

 果たしてこの騒動の中で『主導権』を握るのは誰なのか?


 そんな感じで新しい『要素』によってこれから更に人間社会は混乱していくわけですね。発展の先に待つ世界が平和とは限らないのは人間社会の根本的欠陥と言えるでしょう(大汗)

 

 他にも今後も書き下ろしっぽい展開を入れるような伏線も張ってありますし、WEB版を読んだ方もちょっと『エンタメ的』になった書籍版『Dジェネシス』を楽しめるのではないかなーと思います。


 今回の改編で出番が無くなったキャラクターもいますし、その辺りも何かしら変化があると思われます。大きな流れに変化は無くとも、周囲のエピソードに変化があるとやはり読んでいても印象はけっこう変わりますね。


 書籍版の『百花宮のお掃除係』辺りもそうなのですが、一つ一つは他愛無いエピソードでもそれを加えることによって全体の印象が大きく変わるわけです。


 一つ一つのエピソードを用いて『全体を描く』というのも上手くなるためには必要な要素なわけですよ。『テーマを表現する』ときに用いられる手法が主にこれになりますね。


 うーん、そのうち『小説講座』でやってみようかな。

 でも、難しいので没になるかもしれませぬ。


 でわでわ、今回はこの辺で。

 WEB版の更新も、書籍版の続刊も楽しみにまってーまーす。


<完>  

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