アニメ観賞『SSSS.DYNAZENON』 考察 2(ハイパーネタバレ)
続きをやります。
頭がぐーるぐる。
<怪獣優生思想とは何か?>
簡単に言えば『自由に生きよう』という集団です。
特に意味はありません。
なぜならば、皆『自由』にやってるので集団じゃないからです。
『怪獣』が負けた後にあっさりと帰るのは全員が『バラバラ』だからです。
特に統一された目的があったわけではありません。
ならば、なぜ『怪獣優生思想』などと名乗っているのかと言えば、
『彼らの思考が怪獣側に傾いているからです』
『シズム』の言葉から推測すると『怪獣使い』というのは怪獣と繋がることによって怪獣に近い生物になっていくと考えられます。
『ガウマ』が『怪獣優生思想が危険』と言ったのはおそらく文字通りの意味でしょう。おそらく『怪獣使い』は怪獣と繋がれば繋がるほど『人間のことを理解できなくなる』という副作用があると推測できます。
例えば『ジュウガ』はガウマのことを慕っていますが、彼のことを考えているわけではありません。ガウマがどう思おうがが、彼は『自分の想いだけ』で行動しているのです。
だから、嫌われても殴られてもどうでもいい。
自分の行動でどれだけの人が犠牲になったのかも関係ありません。
彼の想いは『自由な一方通行の想い』なのです。
彼らは怪獣のために『怪獣優生思想』を名乗っているのではなく、ただ自分のやりたいことをやるためだけに『怪獣優生思想』を名乗っているだけで、怪獣のための行動ではまったくありません。怪獣の未来なんて特に考えていないわけです。
五千年前に怪獣使いが排除されたのも、その考え方が『危険視』されたと推測できます。怪獣から人間を守っていた人々が、いつの間にか人間を害する(かもしれない)存在へと変わってしまった。
ガウマが最初から『怪獣優生思想』の危険性を訴えていたことを考えると、人に裏切られたから『怪獣優生思想』になったのではなく、『怪獣優生思想』になったからこそ人に裏切られたという可能性の方が高いと思われます。
裏切ったと言われている『ガウマ』が最初から敵意をむき出しなのも、変わってしまったのが『怪獣優生思想』の方だと考えれば辻褄が合います。
そして、『ガウマ』が『怪獣優生思想』を積極的に排除しなかったのも、心のどこかで元の関係に戻れるかもしれないという希望があったからかもしれません。
『姫』と再会することも含めて。
過去をやり直すことこそが『ガウマ』の本当の望みだったのでしょう。
ただ『怪獣優生思想』の中で『シズム』だけは特別な存在です。
彼だけは他の『四人』の怪獣使いとは別の存在なのです。
<シズムとは何者だったのか?>
一言で言うならば『人の皮を被った怪獣』がシズムの正体です。
この物語で本当の意味での『怪獣優生思想』というのは彼だけです。
なぜならば、彼だけが『怪獣の価値観』を人間に広めようとしていたからです。
この物語の中で『シズム』は過去に囚われた存在ではありません。
『怪獣優生思想』の中で彼だけが人類の未来のために戦っていたのです。
ゆえにこの物語のラスボスは『彼』だったわけです。
いや、正確に言えば『ラスボスになった』というになります。
彼にとって『ダイナゼノン』は別に敵ではありませんでした。
怪獣の新しい形として考えていた可能性すらあります。
『シズム』の目的はたった一つ。
『人々を自由にする怪獣を探し出すこと』
それを見つけたのが『十話』になります。
過去も、未来も、全てを自由に操ることができる怪獣。
それを探すことこそ、彼の『目的』だったのです。
そこに悪意はなく、それは彼自身の善意からの行動でした。
怪獣を倒す主人公たちは『シズム』にとって敵ではありませんでした。
ただ『シズム』には理解できなかったのです。
不自由に生きる人の『価値観』が。
逆に自由に暴れる怪獣の『価値観』を理解出来てしまうほどに
そして、彼が待ち望んだ怪獣を倒してしまったからこそ、主人公たちは彼にとって明確な『敵』となりました。自分の目的の邪魔となる存在として。
そんな『シズム』と対比する人物として配置されたのが『麻中 蓬』……ではなく、裏の主人公とも言える『飛鳥川 ちせ』になります。
<『飛鳥川 ちせ』とは何だったのか?>
彼女もまた人の『価値観』を理解できないものとして描かれた存在です。
とはいえ、あくまでも彼女は人の中の『異端』あるいは『異質』ですね。
『飛鳥川 ちせ』の場合は自分が『良い』と感じたものが他者から『理解されない』という孤独を抱えた人物です。『腕に描がかれた絵』はその象徴だと考えられます。
『良い』と感じるものがぜんぜん違うわけですから、学校でも話が合わない。
どちらが悪いというわけでもなく、ただ価値観の違いから孤立してしまう。
『シズム』も『飛鳥川 ちせ』も『人間社会』に馴染めないという意味では同類です。二人とも学校という不自由な牢獄の中で理解されないまま孤独に放置されます。
ただ違うのは『シズム』が自分の価値観を他者に与えようとしたのに対して、『飛鳥川 ちせ』は自分の『価値観』を抑えて、人間社会に『馴染もうとした』という点です。
『飛鳥川 ちせ』が『ゴルドバーン』の存在を隠そうとしたのも、自分の『価値観』が否定されることを恐れたからです。自分にとって良いものを悪いと断言されることに恐怖したわけです。
彼女の目的は『シズム』とは違います。自分の価値観の方が正しいと思っているわけではありません。ただ彼女は自分の『価値観』を認めて欲しい。自分も『仲間』に入れて欲しいだけなのです。
そんな想いから生まれた怪獣が『ゴルドバーン』というわけです。『ゴルドバーン』が『ダイナゼノン』と合体できるのも、それが『飛鳥川 ちせ』が望んでいたことだからです。
仲間になりたかった。
一緒に戦いたかった。
その想いが具現化した存在が『ゴルドバーン』なのです。
<『シズム』と『飛鳥川 ちせ』>
自分の価値観を押し付けようとした『シズム』
自分の価値観を受け入れて欲しかった『飛鳥川 ちせ』
『学校(人間社会)』に馴染むことができなかった二人ですが、それぞれ目指していた場所は異なります。
あくまでも自分の価値観が正しいと信じた『シズム』は最後までその価値観を変えることなく戦い続け、価値観の違う他者と分かり合えた『飛鳥川 ちせ』は自分の価値観を捨てることなく、人間社会へと戻っていきました。
『飛鳥川 ちせ』は『シズムの可能性』でもありました。
もし敵対する前に彼らが出会っていればあるいは……。
少なくとも『シズム』は人間に興味を示しました。
学校に入学したのも彼なりの努力だったと推測できます。
でも、彼にはどうしても不自由に生きる人間のことが理解できなかったのです。
そして、人間たちもまた彼のことが理解できなかったのです。
<『山中 暦』と『ムジナ』>
この二人は言わば『無い者』として描かれたキャラクターです。
『人生の目的が無い』
『何をすれば良いか分からない』
『何となく周囲に流されながら生きている』
そして、
『山中 暦』は過去に見つけた『お金』に執着し、
『ムジナ』は怪獣使いという『役割』に固執しました。
二人ともそれがあれば『特別なナニカ』になれる。
この世界で生きていくことができると感じていたと推測できます。
だからこそ、
『それ』を失ったとき、彼らは自分に何も無いことに気付きました。
そのとき『山中 暦』は特別なナニカになることを諦め、『平凡でどこにでもいる人間』になることを選び、『ムジナ』はもう一度『怪獣使い』という幻想にしがみ付きました。
片方は未来を選び、片方は過去へと舞い戻った。それが間違いでは無いかと感じながらも、彼女は新しい道を選ぶことはできなかったのです。
結局のところ、『ムジナ』は最後の最後まで迷ったまま終わりを迎えました。
『自由な世界』も、『不自由な現実』も、彼女にはどちらが正解か分からなかったのです。
<『山中 暦』と『飛鳥川 ちせ』>
『飛鳥川 ちせ』が『山中 暦』に懐いていたのは、彼が『普通の価値観』から離脱した人間だったからと推測できます。
彼女からすらば『仲間』ように感じていたわけですね。
ですが、『山中 暦』はさ迷った末に平凡な人生を選びます。
逆に『飛鳥川 ちせ』は平凡な人生を送る道を捨て、自分らしく生きる道を選びます。
最後の最後で二人の道はきっぱりと別れました。
それが『最後の会話』になります。
ですが、それで全てが終わったわけではありません。それぞれが『違う価値観』を持ちながらも、二人は今後も同じように付き合っていくでしょう。
片方は『似合っていない』と分かりながら努力して、
片方は『似合ってたまるか』と笑いながら苦労する。
平凡でありながら特別を願った男と
特別でありながら平凡でいようとした少女
似ているようで似てなくて、
似ていないようで似ているわけです。
<オニジャ>
人間に裏切られたので復讐するマッシーン。
一番分かり易く、おそらく一番すっきりしてしまった人。
<ジュウガ>
怪獣の未来とか言ってるけど、まったく何も考えていなかった人。おそらく怪獣の価値観に染まってしまったせいで『ガウマ』以外のことが考えられなくなったと推測することができます。
姫との再会に囚われてしまった場合の『ガウマ』とも考えられます。
ある意味では一番悲劇的な人物だったのかもしれません。
<ガウマ>
『ガウマ』が怪獣使いの能力を失ったのは『姫』を愛したからと推測できます。
怪獣ではなく人間の方に寄ってしまったわけです。
『怪獣優生思想』が怪獣の価値観に染まっていったのとは逆であり、ここでも関係が対比されていると考えられます。
<ガウマは最後どうなったのか?>
詳細不明。
前作の『アシストウェポン』のような存在になったとも考えられます。
そもそも『アシストウェポン』の成立自体が語られていないので詳細不明。
<姫>
詳細不明。
『ダイナゼノン』を託したのは偶然か、必然か。
必然ならば何かしらの予知能力があった可能性もあります。
<ダイナゼノン>
詳細不明。
五千年前の人間が『怪獣』や『怪獣使い』に対抗するために開発した兵器と推測。
あるいはもともと『ガウマのために作られた存在』とも考えられます。
『痣』のことを考えると『ガウマ』の生命力を吸って起動していた可能性もあり。
<五千年前>
もともとこの『世界(たぶん特撮版と同じ)』には怪獣が存在していたことが判明。それが何かしらの理由で消滅したようです。
怪獣という存在が後世の記録に残されなかったのも、人々の想いが怪獣を作ってしまうからでしょう。怪獣を消すためには人の中から怪獣と言う存在を消滅させる必要があったわけです。
<知恵の輪>
おそらく勘違いによって絡まった『姉妹の関係性』の象徴。
それが解けて、再び繋がった。
前と同じだけど同じゃない。
それは『姉妹の絆の象徴』となりました。
<黒幕>
最初に『怪獣の種』を蒔いた人物。
『シズム』の可能性もありますが、正体不明。
怪獣を生み出すメカニズムを知っていた人物。
前作の『アレクシス・ケリヴ』のような存在と思われる。
<グリッドマンはなぜ今回現れなかったのか>
詳細不明。
別件で忙しかった可能性もあります。
あるいは今回は『現実世界』が舞台なので十分に介入できなかった可能性もあり。『グリッドマン』という存在がよく分からないのが、『グリッドマン』という作品だったりします(笑)
そもそも未だに『ハイパーエージェント』が何なのかも分かりません(爆)
普通の『エージェント』もいるのでしょうか?
まあ、今回明らかにならなかった謎も含めて『続編』に期待です。
でも、たぶん続編でも明らかにならないでしょう(爆死)
<二代目たち>
『ハイパーエージェント』に近い存在になった模様。
『怪獣』でありながら人間たちと寄り添う道を選んだ怪獣たち。
彼女たちこそが『怪獣の未来の一つ』なのですが、『怪獣優生思想』はそのことに最後まで気付かずに終わってしまったわけです。
もっとも彼女たちは『シズム』の望む『怪獣の未来』では無かったことも確かです。彼女たちは自由の中で『不自由を選んだ怪獣』たちなのです。
『麻中 蓬』と同じように。
<人と怪獣>
基本的に『怪獣』とは人の想いが作り出す存在。ただそれは人の抑圧された想いが元のようなので、どうしても『暴れまわる怪獣』が多いと考えられます。
『ゴルドバーン』のような存在の方が珍しく、そのため二代目たちは怪獣がいない方が人間たちのために良いと考えているのでしょう。
いずれ彼らが共存する未来があるかもしれませんが、それは今ではないということです。なので怪獣たちは全て去って行きました。『ダイナゼノン』も含めて。
<人として守るべき物が三つある>
この物語を見終えた方ならば自然と言葉が思い浮かぶでしょう。
それが『答え』です。
語らずとも描かれる
語られずとも感じ取れる。
そういうことです。
<最後に>
細かい部分を語ればもっとありますが、この辺でしゅうりょー。
書いてて段々訳が分からなくなるぐらい大変でした。
ただ作っている側も最低限ここに書かれていることを意識して作っているわけです。作られた作品を『言語化』するよりも大変な作業なはずです。
それができるわけだから、一流のクリエイターというのは化物ぞろいですな
小生なんてこうしてまとめるだけで頭が痛いです(泣)
ともかく。
最高に面白い作品でした。
物語の歴史の中にまた素晴らしい作品が一つ増えましたね。
とても喜ばしいことです。
このクオリティを見れば今からでも続編が楽しみです。
テレビシリーズなのか。劇場版なのか。それともOVAか。
どれにせよ絶対見ます。
もうこのシリーズの『空気感』自体が物凄い好きですし。
二作品とも同じ『空気感』が漂ってるから、これは偶然ではなく完全に意識して作っているということでしょう。どうやればこの『空気感』を出せるのかわからねェ。すごい。
でわでわ、終わります。
出来れば『ゴジラSP』の考察もしたいのですが、そろそろ頭が限界です。
あちらも面白かったですが、今のところ表面の部分しか理解できていないので、もう一度最初から見直す必要があります。
まあ、機会があれば(汗)
<対比>
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