読書感想文『百花宮のお掃除係』 感想(ネタバレ)

 久しぶりにきちんと伏線通りの文章です(笑)

 ちょっと悩みましたが、WEB版が面白かったので購入しました。


 うん、購入して正解ですね。

 WEB版が好きな人にはお薦めできます。


 最近にしては珍しくWEB版の『グレードアップ版』です。

 WEB版にあった幾つかの欠点が薄れ、一つの本としてのまとまりがあります。


 これは良い編集の方に当たったのではないでしょうかね。あるいは作者様の努力。

 別物で良くなったというわけではありませんが、順当に良くなってます。


 最初と最後のシーンを『道士』関連の話にしたことによって、この物語の明確な敵が分かり易くなりましたね。『呪い』という思考停止こそがこの物語の『敵』ということになります。それに伴い主人公の立ち位置もWEB版より明確になってます。


 後はWEB版だと『後宮ウォッチャー』を自称するわりにはあまり『ウオッチング』している感じが薄いのですが、書籍版だと自分から色んな問題に関わりあうような様子があり、より積極的に活動している感じが出ていて良かったです。


 イラストの方も上手く、キャラクターのコミカルな表情も多く、作品の面白さを底上げしてます。調べたら『薬屋のひとりごと』と同じ人でした。世界観は近いのでそっちの方で書き慣れてるのかもしれませんね。


 WEB版と比較して『買って良かった』と言える作品でした。

 これだけ清々しく言えるのも久しぶりのような気がするなー。


『ニンジャと司教の再出発!』も書籍版の方が好きですけどねー。

 特に『決戦』辺りの加筆が素晴らしい。


 書籍版を読んだ後にWEB版を読んだらすげーあっさりしててびっくりしました。きちんと『グレードアップ』するなら好きな作品の書籍版を全て買うのですが、なかなかそうもいかないのが難しいところです。


『WEB版と同じでいいのに変な改編すなよ』とか。

『作品のイメージと合わないイラストを付けるなよ』とか(マイルド表現)


 幾つの作品が死んだことか。

 読者は馬鹿ではありません。


『この程度でいいだろう』なんて言葉は通用しねーぜ。『その本が他のプロの方が作った作品と渡り合えるのですか?』と問い掛けましょう。


 同じ値段ならばより良い作品を買うのが読者です。

 まあ、この場合の『良い』というのは複合的な意味ですが。


(例えば『話題性』というのも『良い』に含まれます)


 今回は購入した『価値』が確かにありました。

 続きが出るなら次も買う予定です。


 ただ全体的に物語の『弱さ』は気になりますね。現段階だとあくまでも小さなエピソードの連なりですから、物語自体の盛り上がりが弱いと感じます。


 これは『魅力的な敵』がまだ登場していないというのも大きいでしょう。例えば『呪いを悪用する狡猾で腹黒な道士』みたいなキャラが出てくると物語がもっと盛り上がると思います。今いるのは『呪いを悪用する間抜けな道士』ですしおすし。


 まだ敵のトップ(と思われる)『皇太后』が作中では姿を現していないというのも大きいでしょう。言わばまだ『前哨戦』みたいな感じです。


 ここから『華流ドラマ』の定番なども加えて物語を幾らでも膨らませることはできるので、後は『作者様の力量次第』というところでしょう。


 まあ、WEB版を読んでるのでちょっと先を知ってますが、おそらくは書籍化をするときにあちこち弄ってくるのではないかと思います。ちょっと楽しみですね。


 ふむ、良いお金の使い方をすると気持ちがいいですな。

『クソゲー』に使うお金の(以下略)


<ひどいおちだ>

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