FGO『神代巨神海洋 アトランティス』 感想(ネタバレ)

 ある者は英雄に成りたかった。

 そのために冒険をした。伝説の鎧を。名高い名剣を求めた。


 その果てに英雄に殺され死んだ。

 彼の名は僅かに残った。


 ある者は万人を救うために行動した。

 まるで運命に導かれたように悪人を殺した。


 だが、結果は真逆。

 その行動が恐怖の始まりとなった。


 ある者は英雄を集め旅に出た。

 怖いものなど何も無かった。


 そこには希望があった。

 でも、結末は絶望だった。


 英雄に成れたかもしれない人間たちの末路。

 英雄たちの影に消えていった人々の悲劇。


 神々は笑うだろう。

 

 これが人の愚かさ。

 これが人の醜さ。


 不完全な生き物に栄光など在り得ないと。


『英雄』ですら傷つき倒れ、命を散らすというのに。

 それに届かなかった者たちに何の『価値』があるのだと。


 だから、神々は気付かない。

 その失敗にすら『価値』があるのだと。


 かくて彼ら/彼女らの失敗は歴史に刻まれ、次の誰かに託される。

 多くの『失敗』、僅かな『成功』が人理に刻まれ、人類を守る希望となる。


 それでも神々は気付かない。

 彼らにとって失敗は失敗でしかないのだから。


 結果しか求めない者に、過程の価値は理解できない。

 その過程こそがいつか結果を超えるのだと知ることは無い。


 最善の行動が最悪へと変わり。

 無駄な行動が最高の結果を生む。


 その不条理な世界の真実を神々は認めない。


 おそらく彼らは知らないのだろう。

 自分たちが何を求めているのかすら。


 全てを投げ打ってでも手に入れたいモノがあった。

 自分の命を捧げても守りたい人がいた。


 そして、殺してでも救いたい愛があった


 それはおぞましい怨念かもしれない。

 それこそが地獄の元凶かもしれない。


 だが、その果てに星は切り開かれる。

 不可能を超越する偉業は神をも超える。


 道はまだ半ば。

 地獄のような戦いはまだ続く。


 それでも託されたモノを繋げる限り、

 人の未来はどこまでも続いていくのだ

 

 

――――


 泣いたわー。

 三回も泣いたわー(泣)


 小生、こういうシナリオに弱い。ここに来て『Fate』の原点である『出会いと別れ』を前面に押し出してきた物語を作るとは。しかも『敗者』を中心にされると更に弱いのですよー。


 やべーめっちゃ面白かった。

 え、これで前半戦でいいんですか(汗)


『マンドリカルド』をここまで良いキャラクターに描くなんて、ライターの頭おかしくないですか。『シャルロット・コルデー』をメインに使うとか誰が思いつくんですか。絶対頭おかしいですよ(褒め言葉)


『こういうテーマだからこういうキャラクターが必要』というのをしっかりと把握してないと書けないストーリーだと思います。それでキャラクターがテーマのために使い捨てにされていないのだから恐ろしい。


 それだけに辛かった。

 途中で誰一人生き残れないと分かっていたけど辛い。


 もう『シリアス』と『コメディ』の使い分けが凄い。

 全体的に重苦しいからこそキャラクターの明るさが生きる。


 ほんと今回出たキャラクター皆好きになったわい。

 敵も味方も。狂っとる『ポセイドン』も良いキャラだった。


『オデュッセウス』も『アルテミス』も『愛する人間』に出会えなかったのが分岐点という悲しい話です。しかもそれが二人のもっとも望むものだったという悲劇。


 おそらく汎人類史の『オデュッセウス』だったらこの物語は敵側の勝利で終わったと思います。『オデュッセウス(異)』は完璧でしたが、完璧ゆえに敗北したわけです。


 何というか『効率重視』で動いた挙句、敵に『勝機』を与えていったというのが人生の不条理ですね。けっして間違ってないのに別の方法を選んでいればもっと簡単に勝てたという『人生はくそげー』という感じ。


『アルテミス』を撃ったせいで『オリオン』は立ち上がるし、『アサシン』を餌にしたら逆に乗っ取られるし、ついでに『アキレウス』を殺したら『ヘクトール』召還されるし、ある意味では踏んだり蹴ったりです(笑)


 ですが、『オデュッセウス(異)』の行動は『傲慢』ではありませんでした。ただ彼は最後まで自分が勝てると信じていましたし、そのために効率の良い行動を選び続けました。


 彼の失敗はただ一つ。

 自分たちが『負けること』を想像しなかったことです。


 だからこそ負けるときに負けたのです。そこまで読みきっていたら確実にこちらが負けたでしょう。


 確実に勝つならば最初の『アルテミス』の射撃のときに、『カイニス』を犠牲にしてでも足止めをするべきだったのです。そうすれば確実に勝てました。


 でも、それは『効率的』ではない

 そこまでの『価値』が『マスター』たちには無かったわけです。


 価値が無いからこそ生き延びたというのは、正に人生の不条理でしょう。

 あのときもっと戦力があれば確実にあそこで負けていました。


(『カルデアの者』が嘆いていましたが、あのときはあれが正解だったというオチ)

(もちろん敵を正面から倒せる戦力があれば話は別ですが)


 この『価値』というのも今回のテーマですね。

『価値』があるから生きるのではなく、生きるからこそ『価値』が生まれる。


 そして、その『価値』を抱いて死んでいくのが人間というわけです。

 

 ですが、神々にとってその『価値』は『スペック』でしかない。

 それが神々の限界でもあります。


 彼らは『設計図』から導き出されるスペックを超えることはできない。

 不可能なことは不可能なまま終わってしまう。


(それぞれが与えられた役割から逸脱することができない)

(もし逸脱したとしたらそれはバグであり奇跡です)

(『真祖』も本来はこちら側に近い存在です)


『アキレウス』が死にながら戦えた理由を理解できない

『イアソン』が我慢して最後まで見届けたことに意味を見出せない。


 言うならば『感情(怨念)』が与える世界への影響を観測できないわけです。

 それが世界の未来すら変えてしまうことを知らないのです。良くも悪くも。

 

(その一例が『イアソン』という英霊でしょう)

(彼の二面性は人間の性質そのものです)


 それがこの世界が否定されるべき理由の一つです。まだ後編をプレイしてないので断言できませんが、今までの『異聞帯』の中でもっとも失敗した世界がここかもしれません。


 まだ推測の段階ですが、そもそも『こいつらここにいていいんかい』とか『下に向かってる時点で駄目じゃないのか疑惑』があります。


 うーん、でもあんまり言って違うと恥ずかしいので詳しくは秘密。

『グランドアーチャー』の件もたぶん『あれ』だと思いますけど、未確定。


 あと『裏切り者』がいるとしても『裏切る理由』がさっぱりなのでこちらも確定できません。『違和感』も一つあるのだけど、これは製作者側の事情なのか伏線なのか不明なのでこちらも確定できませーん。


『違和感』というか『ある疑惑』も大分前からありますけど、こちらも先のネタバレになる危険性が高いのでカット。


 いやーそれにしても今回はほんとに『キャラクター』が良かったなー。

『マンドリカルド』と『シャルロット・コルデー』に聖杯ぶち込んじゃいそう。


『イアソン』は弱いままの方が素敵なので論外ですが(笑)

 

 あと『エウロペ』に関しては『前編であることを隠すミスリード』という意味合いもあったのでしょうね。たぶん後編に出てくるんじゃないかナーと思います。


 そう考えるとたぶん『後編』は思っているよりは早いかもしれません。

 あるいは正月イベントに登場するという可能性もありますね。


 でわでわ、この辺で。

 年末はゆっくりできるといいなー(笑)


<後編に続く>

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