読書感想文『機動戦士ガンダムNT』(超ネタバレ)
うーん、まあ。
個人的にはあんまり好きな話ではありません。
でも、それも仕方が無し。
これは『ガンダムUC』のもう一つのエンディングだからです。
あのとき『バナージ』が戻ってこなかった終わり方。
それが『ガンダムNT』という物語です。
つまり、『ヨナ』=『ミネバ』でもあるわけです。
『ガンダムUC』のラストはあそこで戻ってくるからこそ良いわけで、あのままあちら側に行ってしまえば、こちら側で生きてる小生としてはあんまり納得できないわけですヨ。
ただ『ガンダムNT』は生きることに絶望した子供たちの物語でもあります。
そんな人間にとって向こう側は楽園と同じです。
悲しみも、苦しみも。
自分の醜さも無い。
この世界に生きる苦しみから解放され、自由に飛んでいける存在。
自分と言う存在を受け入れてくれる『居場所』
『ガンダムUC』が最後の最後で否定したモノを、この『ガンダムNT』では救いとして描かれている部分もあります。そこに至ることこそが正しいのだと。
例え人々を救うために奇跡の光を見せたとしても、その先に待つのは人のエゴに過ぎない。『ミシェル』が得た絶望は『シャア・アズナブル』が得たものであり、『フル・フロンタル』に受け継がれたものです。
『善意』が『悪意』に利用される。
人の世界にあるのは『絶望』だけだと。
ですが、それと同時にこの世界に希望があることも描かれています。『イアゴ』は『ヨナ』のことを気にかけ、『ブリック』は『ミシェル』のことを見守ります。
二人とも彼/彼女のことを救えた存在ではありません。
その力も無ければ、その切欠もありませんでした。
例えそうだとしても、彼らの行動は『世界には絶望しかない』という言葉を否定できるものです。善意が悪意となるように、悪意と戦う善意も存在する。
人々を救うために子供たちが協力したように、人間の憎しみだけで滅ぼせるほど、世界は単純じゃない。
だからこそ『命』には価値がある。
この世界と関わることができるのは『命ある者』だけだから。
誰かとぶつかり合うことも、誰かと熱を分かち合うことも。
『個を持つ命』にしかできないことなのです。
例え最後は誰もが向こう側に行ってしまうとしても、その過程は一人一人違うはず。それがきっと『ターンエー』の時代でもまだ人の形が残っている理由なのでしょう。
まあ、最大の問題はこれをアニメ化して面白いのかということですな(爆死)
過去部分の大半はカットされそうですし(汗)
『フェネクス』とか『ネオジオング』は人類の手からは離れたのに、『あれ』が残されているというのも物語のテーマ的には中途半端ですしおすし。
今の人類に『人の完成形』はまだ必要ない。
不完全だからこそ『未知なる可能性』があるかもしれない。
というのが『ガンダムUC』の結論です。
だから『フェネクス』は去っていくわけです。
いつか辿り着く場所として『可能性』が残されていればいい。
『神』の存在はその他の可能性を否定してしまうから。
『ガンダムUC2』を作るために残しておく必要があったんでしょうけどねー。
その分だけ作品全体の完成度は下がります。
うーん、小説としては面白いけど、アニメ化すると『ネオジオング』の部分がどうなるかという心配もあります。基本的に『サイコバトル』ですのん。
『ガンダムUC』のネオジオングは酷かった。
何で原作の『シナンジュ戦』やらなかったのかね(ぷんぷん)
まあ、予算と時間が尽きてたんでしょうけど。
だから動かさなくて良い『ネオジオング』を出したと今でも思ってます。
他にも面白いシーンを幾つも削ってますし。
『バナージ』と『ミコット』の会話とか『キスシーン』の削除とか。
両方とも重要なシーンなのに削るんだからひでーです。
『フルアーマーユニコーン』の戦闘シーンもかなり削られてますし。
そう言えば『リディ』の葛藤なんかもけっこう削られていたような。
『アルベルト』と『リディ』のシーンってあったっけ?
『トライスター』の出番は消えてたと思いますががが。
うーん、予算と時間が無かったのは分かりますけど、個人的には失敗作レベルの改変なんですよねー。小説版では最後まで悪役だった『フル・フロンタル』が素晴らしいのに。
たぶん『ガンダムNT』も小説版からけっこうカットされてそうな予感。もっとも『ミネバ』たちのその後を知れるだけで、ファンからはある程度の評価は得られるでしょう。それだけは素直に嬉しい。
『バナージ』とか『ガンダムUC2』だと新しい主人公たちを導く大人になってそうですし。『クワトロ』みたいな感じ……では駄目だな(笑)
『ガンダム』での良い先輩役って誰かいたっけ?
立ち位置的には『キンケドゥ』みたいな感じが一番いいかな。
もっともその前に『閃光のハサウェイ』ですけど。
三部作とか不安しかねえな(汗)
そもそも『ベルトーチカ・チルドレン』も『機動戦士ガンダム(小説版)』も没にされたネタを元にした作品で、小説版の方は映像化されにくい内容なのに同じ系統の『閃光のハサウェイ』を映像化するというのだから時代が変わったんですかね。
『Gのレコンギスタ』の劇場版もどうなることやら。
いや、『Gのレコンギスタ』自体は素晴らしい作品です。
ただ視聴者が求めるような『ガンダム』ではなかっただけで。
そのうち『Gのレコンギスタ』のお話でもしましょうか。
<『シルヴァ・バレト』が欲しくなりました>
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