『うたわれるもの 二人の白皇』 感想(ネタバレ)

『うたわれるもの 二人の白皇』という作品を一言でいうと、


『超剛速球のデットボール』


 です。

 ストライクゾーンを狙った精密な球ではありません。

 

 物語のツッコミどころは多いし、展開の『六割』はプレイしながら先が読めます。

 ですが、それと同時に、


『来るぞ来るぞ、分かってる。そういう展開だろ』


 それを分かっていながら、

 防ぐ準備も十分にしているのに、

 

『王道から繰り出される一撃を避けることができない作品』です。


 分かっているのに抵抗することができない。

『音楽』が場を盛り上げ、『イラスト』が雰囲気を醸し出し、『声』が心を打つ。


 そのうえ『偽りの仮面』での『平凡な日々』が『土台』となって作品を支える。

 前作の『宴会』のシーンをプレイしながら何回も思い返してしまう。


 ゲームという立場を、二作目(三作目)という立場を最大限に利用して、圧倒的な力技でプレイヤーを捻じ伏せた作品。それが『うたわれるもの 二人の白皇』かなーと思いました。


『シナリオ』としてはそこまで出来が良いわけではないんですよね。

『偽りの仮面』で巻いた伏線も幾つかは利用せずに終わりましたし。


 それでも『王道』を外さずに、真っ向からプレイヤーを泣かせようとする暴力。

 いやー、ここまでやられると清々しいです。

 抵抗できません。ぼこぼこにされます(汗)


『母親のシーン』とか『それしかない』と分かっていても、いざその瞬間が来ると抗えずに感動してしまう。『仲間との別れを告げるシーン』も分かっているのに、やはり感動してしまう。『理屈』じゃ抗えネー。


『別れのシーン』は『男連中』との会話が好きです。『キウル』との会話も感動しますが、『ヤクトワルト』と『オウギ』の『全て分かっている』という短い会話も素晴らしい。


『ヤクトワルト』はあまり作中でも目立つシーンは無いんだけれど、このシーンだけでも彼がずっと支えていたということが分かる名シーンだと思います。


 いちおう『ギャルゲー』なので女性陣ばかり目立ちますが、男同士の『友情』や『因縁』が濃い作品でもありますね。


『皆が何かに囚われている』ような展開が多いというのも特徴の一つかなーと思います。すでに『死んでいる人間との決着を求める』というのも悲しいですね。


『戦記もの』としてはイマイチですが、『群像劇』としては面白いです。『ラストを曖昧にぼかす』というのも『うたわれるもの』の特徴と言っていいでしょう。


 まあ、ラストの『小生解釈』に関しては次回以降の考察で。

 最終的な評価としては、


『王道作品なんだけど、なかなか真似することのできない王道作品(力)』


 ですかね。

 ここまで『力技で捻じ伏せてくる作品』も最近はあまりないと思われ。


 たぶん作るのにかなり苦労したのかなーと。シナリオも迷走してますし。

『グンドゥルアが憤死した』というのはどう考えてもおかしいですヨ(汗) 


 この辺りの部分も考察で考えて見ましょう。


 それにしても『イラスト』は未だにトップクラスの素晴らしさですね。『一枚絵』の暴力が凄い。『ハク』や『オシュトル』の笑顔を見るだけでも感動してしまう。


『音楽』も盛り上がるシーンでめっちゃ追撃してくるのでつらたん。

『和風ファンタジー』の雰囲気を崩さない音楽なのが良いですな。

 

 いや、ほんとに真正面から撃ち抜かれましたよ。

 清々しいぐらいに『総攻撃』を食らった感じ。


 マイナス面も多く、悪い部分を批判することもできる作品ですが、プレイしていてこの物語が、この世界が、とても『好き』になってしまったのだからどうしようもないですね。

 

『別れるのが悲しいぐらい楽しい時間』でした。


 これだから『ゲーム』はやめられん。

 昔よりも『当たり』の数が少なくなっても、まだ求めてしまうわけです。


 さてさて、次回からは『考察』の方に入ります。

  

 自分の『うたわれるもの』を大切にしたい方は読まない方がいいかなーと。

 かなり思考を飛躍させています。なるべく作中の表現を元に考えていますが。


 まあ、興味が無ければ『てけとー』にスルーしてください。

 小生風の『別れの儀式』でもありますし。


<続く>

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