FGO亜種特異点『異端なるセイレム』 考察(超ネタバレ)

 いつも通り小生の解釈です。

 人生色々人それぞれ。てけとー



<物語のルール>


 今回の舞台は『演劇』です。

 小さな変化は許されますが、大きな変化は許されない世界です。


 大まかに世界のルールを説明しますと、


『必ず誰かが処刑される』

『最後に(アビゲイルの)魔女裁判が開催される』


 この二点かな。

 明言されていないため細かくは違いますが、大筋は外していないかと。

 後は、


『演劇そのものを破壊しようとするとペナルティが発生する』


 ということです。

 もっとも『演劇に取り込まれた』場合は何も出来ずに終わります。


 そのため『マスター』は一定の距離を保ちながら最後の魔女裁判に挑む必要がありました。ルールになるべく従いながら(演劇には取り込まれずに)、最後の最後でルールに介入する必要があったわけです。


 かなり分かり難いですけど(汗)



<当初の計画>


『外なる神』の力を使用した人類救済。

 神(救い)の無いセイレムを利用した降臨実験。


 まあ、実際のところ『外なる神』なんて降臨したら世界の法則そのものが崩壊するんじゃないですかね。たぶん『アルテミット・ワン』と同等かそれ以上の存在。


 展開は地味でしたが、全ての意味での『世界の危機』でした。

 恐るべき計画です。

 


<計画の変更>

 

 その計画は『アビゲイル』と出会ったことにより変更。

 詳しくは不明ですが、彼女の願いを叶える形で実験を継続していったようです。


 そのためセイレムは『地獄界』へと変貌し、罪を犯しながら救われない人々で溢れていきます。おそらく最終目的は彼女を『人々に救いを与えようとする存在』へと変貌させること。

 

 彼女自身がそれを望まなくてはならないため、魔女裁判が繰り返されたわけです。

 変化を求めて『新たな客人』を迎えながら。



<シバの介入>


 その過程で『近未来観測レンズ・シバ』による介入が発生。これは当初より想定されていた『魔神柱』の暴走を抑えるためのシステムであり、少なくとも今回の事件はそれに該当したということらしいです。


『魔神柱』に対応できる『ミドラーシュのキャスター』を召還・介入させるが、計画の進行速度を遅らせた時点で登場人物の一人として『セイレム』に取り込まれる。その代わり、前のキャストは『アビゲイル』の提案によりグール化。森に放置される。


 追加として『オケアノスのキャスター』が召還される。

 その役割は『アビゲイルの魔女化に対抗する』ため。


 その後、本編が始まる。



<カルデアの介入>


 カルデアが介入できたのはおそらく『魔神柱』が呼び寄せたため。

『アビゲイル』を救い出すための最後の一手だと考えられる。



<救い> 

 

 作中で『アビゲイルを救おうと行動した人々は全て失敗した』と書かれております。これは『魔神柱』が語ったことであり、彼自身もその一人であると明言されています。


 そして、その救いが『アビゲイルをセイレムから解放する』ことであり、この時点で『魔神柱』の目的が『アビゲイルを救うこと』に変化していることが判明します。



<なぜ魔神柱はアビゲイルを救えないのか?>


 理由の一つとしては『魔神柱』もまた『セイレムのルール』に取り込まれていたということかと。彼が始めた計画ですが、この時点ですでに制御できなかったと推測できます。おそらく『アビゲイルを説得する方法』も彼には無かったのでしょう。


 もう一つの理由としては『セイレム』が崩壊すれば『アビゲイル』も消失するということです。計画を中断しても『アビゲイル』は救われません。時間切れも『バットエンド』です。

 

 そのため計画(演劇)を進めながら『アビゲイルをセイレムから解放する』という手段しか無かったわけです。たぶん『アビゲイルを覚醒させた』のもそのためです。


 最終的には自分の願いを『マスター』に託したと思われます。

 人類を救うという正義を捨て、一人の人間を救おうとした。


 これもまた『Fateの物語』と言えるでしょう。



<アビゲイルを救ったのは>


 まあ、実際のところは『ラヴィニア』の存在ですね。それでも彼女一人では『アビゲイル』をセイレムから連れ出すことは不可能でした。他の人々の協力もあったからこそ、神が居なくとも救いの道は切り開かれたのです。


『アビゲイル』が『自分なら救えると望んだ友人』が彼女自身を救ったのですから、運命というのは皮肉に溢れています。あるいは始めから救われたかったのは彼女自身だったということかもしれません。



<サンソンの死>


 この辺りも分かり難いですが、彼が処刑台に立った理由は『マスター』と『ラヴィニア』を守るためでしょう。基本的には『マタ・ハリ』と同じ理由です。処刑ルールに置ける被害を最小限に抑えるための処置でした。



<マタ・ハリとサンソン>


『マタ・ハリ』は処刑されながらも生を選び、『サンソン』は処刑されたため死を選びます。この辺りの違いは生前に『処刑された側』と『処刑する側』という違いでもあるでしょう。


 あるいは『生前の生き方の違い』かもしれません。

『マタ・ハリ』に関しては作中で少しだけ掘り下げられたので分かり易いでしょう。


 逆に分かり難いのは『サンソン』が死を選んだ理由かと。

『サンソンの死』でも書いたとおり『処刑された理由』はそれです。


 ですが、『マタ・ハリ』と同じように生き延びることもできました。

 彼がそれを選ばなかったのはおそらく彼が『処刑人』だったからでしょう。


 処刑人は処刑する人間を選ぶ人間ではありません。

 それを決めるのは『裁判』であり『法律』です。


 例えそれが冤罪だったとしても、彼にはそれを否定する権利は無いのです。

 罪人が自分の愛する人間だったとしても、彼は処刑するしかありません。

 

 ゆえに彼自身が法廷によって処刑台に立たされるならば、彼にそれを断ることはできません。多くの人間を処刑してきたからこそ、自分の番になったときに逃げ出すことはできませんでした。


 それがどんな歪んだ裁判だったとしても、それを否定してしまえば生前自分がしてきた行いを全て否定することになるからです。


 ただこの辺りはまったく語られないので小生の想像になります。

 説明しろや。



<ロビンとサンソン>


 あんまり相性が良くないようですが、実際のところは似ている部分もあるのでわりと『同属嫌悪』かもしれません。今回の物語でサンソンの死を理解していたのもロビンですし。


 まあ、お互いの会話のスタンスがあまり合ってないようです。

 現実でもよくあるよくある。



<アビゲイルとサンソン>


『痛みによって罪が許される』というアビゲイルと『死によって罪が許される』という思想を持つサンソンという対比。似ているけど根本的に違う考え方の二人。


 アビゲイルが『苦痛』によって救いを見出すのに対して、あくまでもサンソンは死によって罪人の命と罪を分かつという考え方なので、『苦痛』を与えようという考えではありません。



<アビゲイルとマスター>

 

『人類は救われなければならない』


 と考える『アビゲイル』からして見れば、その救済(第一部)の邪魔した『マスター』は罪人です。人理を救ったかもしれませんが、依然として人間は罪人のままです。


 善と悪。その二つを持つのが人であり、世界を救えるのも人ならば世界を滅ぼすのも人であると。それを知らしめるのが『亜種特異点』の役割でした。


 だからこそ彼女は言います。


『貴方なら分かるでしょ』


 世界だけではなく、人も救わなければならない。

 魔神柱の計画を阻止した貴方にはその義務がある。

 だから、一緒に全てを救いましょう。

 

 でも、それは彼女の独り善がりに過ぎません。

 

 結局のところ、『マスター』に人類を救おうなんて立派な覚悟があるわけではありません。ただ助けたい誰かがいれば、精一杯背伸びして手を伸ばすだけの凡人。罪には救いが無く、例えそれを背負ったとしても明日に向かって生きていく人そのもの。


 最終的には『アビゲイル』もそれと同じ道を選びます。

 その果てが『サンソンとの会話』です。



<客人>


 六人目が『ラヴィニア(友人枠)』

 七人目が『ホプキンス(罪人枠)』


 それ以前は不明。

 カルデアサイドでは『マスター』ではなく、おそらく『サンソン』が客人。



<村人>


 魔女狩りの罪人でグール。

 罪を許されず、救われない煉獄の住人。

 あくまでも役者に過ぎないため、全ての会話に意味は無い。


 なぜ『グールなのか』というのは作中で説明されています。



<敵対>


『ミドラーシュのキャスター』が敵対する可能性を示唆したのは、おそらく『演劇の脚本を変えさせない』ためです。余計な変化を避け、最後の一転で攻勢に出るためでしょう。

 

 彼女から情報を得た『マタ・ハリ』が暗殺を提案したのは『魔神柱』を排除することによって、演劇が停止する可能性があるだと思われます。


 もっともこの舞台の主役はすでに『アビゲイル』に移っていたため、『魔神柱』を排除したとしても舞台は続いた可能性が高いです。



<メッフィー>


 不明。

 地獄だと出現できるらしい存在。


『空の境界』との関連性を示唆している?



<カーター(本物)>


 型月世界に置けるゼルレッチに近い存在。

 もう二度と出てこないジョーカー。たぶん。



<ホプキンス>


 セイレムに呼ばれた客人。

 アビゲイルが救うべき一人であり、何も出来ずにセイレムに囚われる。

 


<ラヴィニア>


 詳細不明。

 カーターと同じ世界の住人だった可能性もある。


 あるいは『ラヴィニア』という名前を与えられた別の誰かだったかもしれない。

 もっとも彼女が誰であれ『アビゲイル』に大きな影響を与えたのは確かである。



<クトゥルフ神話>


 Fate世界では一般的に広まっていない。

 たぶん魔術協会が何らかの理由で隠蔽していると思われる。


 それを通して『魔神柱』が『外なる神』の存在に気付いたのが今回の物語の始まり。どうやって気付いたのかは不明。もしかすると深遠を覗いた?



<両親の死>


 何らかの形でアビゲイルが関与したのは確か。アビゲイルの言葉を信用するならば『母親が銃で死んだ後、父親が馬車の手綱で首をごき』という展開。


 考えられるのは『アビゲイル』が銃を暴発させ、母親が死亡。

 それに驚いた父親が馬車を暴走させ、偶然手綱に首がごきっとなった。


 最初のセイレムの住人であり、その後のセイレムでは死亡したままの模様。

 この辺りも説明不足なので詳しくは不明。

 


<十字架>


『アビゲイル』を召還するための触媒。

 あるいは第二部の伏線。



<一万四千年前>


 たぶん『アレ』のこと。

『魔神柱』との関連性は不明。



<虚構>


 役者。

 舞台。

 演劇。


 現実で語られる偽りの地獄。

 すなわちそこに降臨する救いの神も虚構の存在。


 虚構を用いて虚構を招く。

 これはそういう計画。


 書きながら思いついた。



<エピックオブレムナント>


 全体的に『人間の作り出す地獄』みたいなテーマがあったような気がします。結果的に人理を救った『マスター』に対して『人類は救われない存在だよ』という悪魔の囁き声。


 これがそのまま第二部のテーマになるのかは不明。


 結局、『何を見逃していたのか』は不明。

 ただ『人類を脅かす危機』は過去だけにあるものではないようである。



<考察>


 これを書いた後にネット上で考察を探しましたが、幾つか素晴らしいものがありますね。『第一部の再演である』という考察は凄いなーと思いました。

 

 後は今回のライターは『星空めてお』氏であると推察している方もたくさんいます。全然気付かなかった。


 久しぶり過ぎて『どういう文章を書く方』だったのか覚えていません(汗)

 全体的に難解だった記憶はありますけど。



<第二部>


『源義経』の実装をお願いします。


<終わり>

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