漫画感想文『超人ロック 異聞』(ネタバレ)
『超人ロック』という生誕50周年を迎えた作品のトリビュート(アンソロジー)作品。漫画雑誌に掲載されたときに面白かったので購入。
でも、小生は『超人ロック』のことはあまり知りません(汗)
ここだけの話ですが、『超人ロック』のことを『サイボーグ009』だと思っていた時期があります(大汗)
でも、そんな小生が読んでも面白い作品なので、あまり知識がなくともある程度は楽しめるのではないかと思います。
では、それぞれの作品の簡単な感想を。
<Never touch it>
『太田垣康男』氏の作品。
『追う者(他人)から見た超人ロック』を描いた作品。
大量のメカを配置することによって、ほとんど『超人ロック』が登場していないにも関わらず、その圧倒的な存在感を誇示するという作りになっています。
その描写に恐怖すら感じるのは、作者様の『超人ロック』という作品に対する率直な感想なのかもしれません。
<約束>
『佐藤マコト』氏の作品。
『出会いと別れ』という『超人ロックの基礎』を描いた作品。
物語としてはそこまで突出したものはありませんが、『超人ロック』という作品の基礎的なものを分かり易く表現している作品かなーと思いました。
舞台を『過去の日本』にしたことで、『SF』に馴染みのない方にも入り込み易い作品になっているかと。
<超時空女子会/悪役超時空会議>
『黒丸』氏の作品。
『楽屋裏のコメディ』を描いた作品。
完全にファン向けの内容であり、『超人ロック』を知っていれば知っているほど楽しめる作品でしょう。小生も多少は知っているのですが、全部は分かりませんでしたネ。ネタバレが多そうなのでご注意を。
ただこの作品を読んでいて『超人ロック』は、完璧な人間ではないということが分かります。そういう意味では『Never touch it』と対になっている作品でもあるますな。
『超人ロックとは何者なのか?』
それは見る者によって変わるということでしょうネ。
<ファントム・タワー>
『大井昌和』氏の作品。
『超人ロックの宿命』を描いた作品。
他の人間にはできないことが出来てしまう。
それは『祝福』であり『呪い』でもあります。
それをやらなかったという事実ですら、『超人ロック』は背負わなければなりません。選択肢を持っているということは、そこから自分で選ばなければならないということなのですから。
<温泉ロック>
『鈴木小波』氏の作品。
『超人ロックの日常』を描いた作品。
平穏に暮らしたくとも暮らせない。
ある意味ではそれも『超人ロックの宿命』なのかもしれません。全ての物語が語られ終えたとき、ようやく平穏が訪れるというのは『主人公の宿命』でもありますな。
<永遠の肖像>
『環望』氏の作品。
『内側から見た超人ロック』を描いた作品。
作者様が後書きで語るように、ちょっと書き過ぎの部分もありますが、そうあって欲しいという『読者(作者)たちの願い』でしょう。
それだけ『超人ロック』という物語が愛されている証だと思いました。
<ああ 夏休み>
『大石まさる』氏の作品。
『大石まさるの描く超人ロック』を描いた作品。
これはもう『そのまんま』ですね(笑)
でも、これができるということは『個性(作風)』があるということであり、実力がある作者様であるという証でしょう。
他の作者様もきちんと『自分なりの超人ロック』を描いている凄い方ばかりですが、その中でもこれは『自分の書きたい超人ロック』を描いた作品だと思いました。
<縁-EN->
『やまむらはじめ』氏の作品。
『外側(親しい者)から見た超人ロック』を描いた作品。
この作品に関しては小生は『やまむらはじめ』のファンなので、公平な評価は下せません。キャラクターの表情を見るだけでも、『好きだなー』と感じてしまいますので(汗)
ただこの作品も『読者(作者)たちの願い』であり、そのため『永遠の肖像』とお互いに補完し合う関係となっています。
<dream master>
『聖悠紀(作者)』氏の作品。
『超人ロックそのもの』(初期作品)
多種多様な『超人ロック』という作品を見せた後で、本物を見せてくるという演出は、なかなかインパクトがあります。
もっといろんな『超人ロック』が読みたくなりますネ。
うぎゃー製作者の手口に嵌っているがな。
こんな感じで。
『アンソロジー』というのはふつーは面白くない作品の方が多いのですが、この作品に関しては全て面白かったです。
一番好きなのはやはり『縁-EN-』ですね。
漫画というのは『絵』の力が大きいです。
内容も切なさと幸福が入り混じった良い作品です。
その次が『ファントムタワー』かな。
『ほんわかとした絵』と『テーマの重さ』の対比がより物語を際立たせている気がします。何かを犠牲にすることは『人の背負うべき業』そのものです。正解などどこにもなく、ただ背負い続けるしかありません。
小生は『環望』氏のファンでもあるので、『永遠の肖像』も好きです。
現在『ソウルリキッドチェインバーズ』にもはまっているので、そのうち感想を書くかもしれません。
さて、『超人ロック 異聞』が面白かったのは、作者様たちの力量が高かったということもありますが、『超人ロック』という物語を積み上げてきた『歴史』がそれだけ凄いということでもあります。
一つ一つのエピソードが積み重なることによって生まれていく世界観の重み。
こればかりは簡単に『流用』することができない『作者様の歴史』そのものです。
『設定を流用すること』はできても、『歴史を流用する』ことはできません。
ですが、『共有する(歴史を背負う)』ことはできます。
この『超人ロック 異聞』という物語も、その歴史を共有したことによって誕生した作品といえるでしょう。それぞれの作者様たちが『超人ロック』という物語に出会わなければ、小生がけっして読むことができなかった作品なのです。
うーむ、『創作の繋がり』というのは面白い。
『流用』と『共有』と『創生』の循環。
小生という読者ですらその一部に過ぎないわけです。
うん、たのちいね。
<超人シリーズ>
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