参考文献
妹へ。
お前がこの文章を読んでいるとき、俺はもうこの世にいないだろう。
あ、いや、普通に部屋にいるけどね?
これメールだし。
なんかちょっと言ってみたかっただけだ。
さて、この前は悪かった。
お兄ちゃんとしては、気の利いたセリフのつもりだったんだが、環奈を傷つけてしまったようで反省している。
うん。あれから、口も利いてもらえなくなって、本当に反省している。
すまない。
こんなお兄ちゃんだけど、どうか許してほしい。
そして、怒って冷蔵庫の俺のプリンを勝手に食わないでほしい。
それで、お詫びと言ってはなんだけど、今から環奈に、この
読んでくれたら嬉しい。
***
参考文献は、以下の通りだ。
[1] D. コックス, J. リトル, D. オシー『グレブナ基底と代数多様体入門(上・下)』(落合啓之ほか訳), 丸善出版, 2000年
[2] JST CREST 日比チーム編『グレブナー道場』共立出版, 2012年
[3] 野呂正行『計算機代数入門』, 2005年, http://www.math.kobe-u.ac.jp/Asir/ca.pdf
[4] (他の数式処理ソフトの紹介)
他にも紹介したい本はたくさんあるが、とりあえず、この前の話に関係があるものをピックアップした。
今から、1つずつ説明していきたいと思う。
まず、[1] の『グレブナ基底と代数多様体入門(上・下)』入門だ。
これは、グレブナー基底の最も簡単な入門書の1つと言っていいと思う。
お兄ちゃんが、グレブナー基底を勉強したい人に、まず教えるオススメの一冊だ。
前提知識は、高校数学くらいで、丁寧に証明が書かれているから、とても読みやすい。
環奈でも、少し頑張れば読めると思う。
内容としては、円や直線などの図形の話から始まって、多項式の集まりや連立方程式、そしてグレブナー基底などを通して、代数と幾何学の関係を勉強をしていく。
ちなみに、この前の連立方程式を解く話も、この3章に載っているぞ。
やさしい本だが、この上・下をマスターすれば、大学卒業レベルの知識は身につくと思う。
次に、紹介するのは、[2] の『グレブナー道場』だ。
言わずもしれた、グレブナー基底の専門書で、名前のインパクトからか、数学徒の界隈では割と有名だ。
本屋でこれを見かけると、うお!っとなる人も多いはず。
グレブナー基底の究極の指南書だ。
タイトルの通り、読者は「入門生」となって、グレブナー基底を扱う技術を一冊に渡って習得していく。
形式としては、日本のグレブナー基底の研究者たちが、それぞれ章ごとに執筆しているオムニバス形式で、自分の好きなところだけ読むこともできるぞ!
ちなみに、お兄ちゃんオススメのページは、61ページの「歴史的背景」のところかな。グレブナー基底の歴史がわかりやすく書かれていて、グレブナー基底を知らない環奈でも、面白いと感じると思う!
続いては、[3] の『計算機代数入門』だ。
これは本ではないが、ネットに無料で公開されている計算機代数の参考書だ。
筆者の野呂先生は、グレブナー基底が計算できる数式処理システム Risa/Asir の開発者の一人で、さっきの『グレブナー道場』の第3章も書いている計算機代数の専門家だ。
この pdf には、コンピュータ上での整数・多項式の表現、演算の仕方なども詳しく解説されている。
[1] では載っていないような、グレブナー基底の効率的な計算方法も載っているぞ!
計算機上での処理について詳細に載っているから、(お兄ちゃんは得意じゃないけど)プログラミングをやっている人とかが読んでもすごく面白いと思う!
最後に [4] として、グレブナー基底を計算できる数式処理ソフトを紹介しておこう。
と、言っても、たくさんあるので、お兄ちゃんが知っているものだけになってしまうが。
有料:
Mathematica, Maple, Magma
無料:
Risa/Asir, Singular, Macaulay2, CoCoA, Sage, GAP
などがある。
環奈はお金に余裕がないと思うから、無料の方をインストールするといいかもな。
また、気軽に計算したい場合はネット上でも、Wolfman Alpha (https://www.wolframalpha.com/)などで計算することができるぞ。
この前やった計算とかも、実際に自分で試してほしい。
お兄ちゃんの、グレブナー基底への愛が詰まった
読みたい本があったら、お兄ちゃんが貸すこともできるぞ!
楽しんでもらえたら幸いだ。
兄より。
追伸
別にお兄ちゃんは、死ぬ予定とかないからな!
あと、プリンの件はそこまで気にしてないぞ!
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