第9話
それからというものの、私は二宮シズカと一緒に過ごすことが多くなった。
今日も校舎の屋上で昼食を共にする。
天気が良くて清みわたる青い空に暖かい陽光が、私達を照らしている。
私は、屋上のコンクリートの地面に座り、シズカもその横に座った。
「今日は、焼きそばパンを買ってきました。」
シズカはそう言って、ビニール袋からパンを取り出し、リスのように小さい口で
細かく咀嚼している。
私は、弁当箱のランチベルトを外して、蓋を開けた。
「今日も凄い量ですね。アリサは大食いさんです。」
「これぐらい食べないと練習で体がもたないのよ。」
練習は休んでいるが、習慣とは恐ろしいもので、食べる量は変わっていない変わりに脂肪がついたことは秘密だ。そして、シズカと共に過ごしていると自分の中の暖かい部分が刺激され、笑うことが多くなった。
「シズカももっと食べないと大きくならないよ。」
「身長と胸の大きさのことですか!私はアリサみたい身長も胸も大きくないですよ。」
シズカが私の体をさわりだした。手が胸や腰をくすぐったく刺激する。
「アリサの胸は大きくて触りごごちがいいですね。腰も引き締まってて。」
私は恥ずかしさに耐えきえず、頬を赤く染めてしまう。
シズカはとろけそうな顔をして、目が爛々と光らせていた。
「 止めて。それ以上やったら私……」
突然、風が吹いて、パンの包装紙がシズカの顔を直撃した。シズカが我にかえった。
「私としたことが、あんまりにアリサの胸が柔らかくて、発情してしまいました。」と言い、食事に戻る。
シズカは、変な子だなと思いながらもこの関係が嫌いではなかった。友達以上百合未満の関係。
「これ美味しいそうです。頂いていいですか?」
そう言って、弁当の中の鳥の唐揚げを差した。
「いいよ。」と言って、私はシズカの口に箸でつまんだ鳥の唐揚げを入れた。
しばらく、食事を終えるまで沈黙が続いた。
「あの〜。」とシズカが沈黙を破く。
「なに。」
「今日の放課後、私の家に来ませんか?」
「いいよ。行きたい。」
シズカは、嬉しいそうな顔してまた私に抱きつき始めたので、私は時計を確認して、昼休みがもうすぐ終了することを告げて、動きを静止させた。
「では、放課後になったら、校舎の玄関で待ち合わせをしましょう。」
「解った。ちょっと遅れるかもしれないけど。出来るだけ急ぐから。」
私たちは、約束をした後、乱れた制服を整えて、それぞれのクラスに戻った。
Rainbow at the daybeak ザイロ @kokoca
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