第8話
彼女は、スマホの画面を私に見せた後、小さく息を吸って呼吸を整える。
「わ、私は、二宮シズカと言います。い、1年3組の出席番号26番。し、身長156センチ、体重45キロ。う、上からバス」
「ストップ。あなたは二宮シズカさんね。解ったから。解ったから。」
私は、シズカの肩をぽんぽんと叩き、落ち着かせる。自分のスリーサイズを言いそうなるほど緊張しているみたいだ。
「私をどうして知っているの?そして、その写真は何なのかな?」と優しく訊ねる。
「ま、まず、写真の方から説明します、この写真に写っている男女は、私の父と母です。ち、父と母はEGISTANCEのファンで、イズミン押しで、握手会の時に母が道に迷っていたのを、同じく握手会に行くつもりの父が案内役をかってでました。会場に着くまで会話をしていたところ、二人ともイズミン押しで意気投合しました。そ、その後、父と母が付き合うことになり、結婚まで至り、私が産まれることになるのです。」
私は、驚いた。心の底から驚いた。シズカは続ける。
「ということは、父と母が出会ったきっかけは、イズミン、あなたの母である清水イズミです。私はあなたの母に興味を持ち、インターネットで調べ始めました……。そして、清水イズミの娘、清水アリサがこの学校に在籍していることを突き止め、私はこの高校に入学を決意し、今ここにいます。」
私はまた驚いた。この驚きは彼女のインターネットリテラシーの凄さだ。シズカは最後に勇気を振り絞り言う。
「わ、私と友達になってくれませんか?」
答えはもう決まっていた。
「はい。」
私は笑顔で言った。
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