小説は大衆文芸
「これは、どう言う……?」
「読者に媚びんとあかんねやって話やで」
「いきなりストレートに来たね」
「小説に限らず漫画もアニメもゲームも音楽も数売って商売にするものは作者の独りよがりじゃアカンって事」
「それはそうだねぇ」
「その作品しかブツがない唯一無二のもの、それだけが作者の主張だけで成り立たせる事が出来る。芸術作品とかがそれやね」
「でもアートでも売れないものは売れないよ」
「アートは金持ちの理解者1人捕まえたら安泰なんや。所謂パトロンやね」
「数多く売らないといけない大衆芸術とは正反対だと」
「ここで例を出そうか。昔の話だけど、昔フィンガー5ってめっちゃ売れてたアイドルグループがいたんだ。彼らの出す曲はみんなヒットしたけどそれはプロデューサーの用意した曲で本人達が歌いたいものじゃなかった。後で彼らが本当に歌いたいものを歌ったんだけどその曲は全然ヒットしなかった」
「なるほど……いくら名前が売れていてもお客さんに受けないものを作ったら見向きもされないんだね」
「もうひとつ例を出すね。ある作家がラノベに挑戦するんだけど全然売れなかった。ラノベではあるけどしっかり作家性を出して個性的な作風で書いていたんだけどが受けなかった。それでもうやけくそでテンプレバリバリのラノベを発表したんだ。その途端に大ヒットしてその作品は今じゃその作家の代表作にもなった」
「うわ、ラノベの読者層って保守的……?」
「これらの結果を見ても分かる通り、トレンドを見極めるのってすごく重要なんだ。作品も商売、売れるものを作らないと需要なんてないんだよ」
「ちょっと夢がなくなる話だね今回」
「勿論書きたいものとニーズが合致していればいいよ。ただ、自分は売れ線は嫌だなんて天邪鬼な事をしても付いて来てくれる人は少ないって事。趣味ならまだいいけどね」
「カクヨムでも星やPVが付くのは読者が読みたいものを書いているから。読者視点がないとヒットなんて無理なんだよ」
「じゃあ例えばハッピーエンドが受けてるから本当はバッドにしたいけどハッピーにしようっていう感じで自分を曲げた方がいいと?」
「受けるためならね。勿論単純な話じゃないけど。それまでの過程が素晴らしいなら問題もないかもだし」
「誰だってまずいものより美味しいものが食べたい。誰だってつまらない作品より面白い作品を読みたい。その延長線上の話なのかも」
「勿論万人を満足させるのは難しいからこう言う読者層を狙って、みたいな戦略は大事だと思う」
「プロット作りから意識しないといけないんだろうね、プロは」
「趣味でやるだけと割りきるなら好きなモノを好きな風に書けばいいと思う。自然につく評価でその話がどれほど市場にマッチしてるかも分かると思うよ」
「現実は厳しいなぁ。でもそう言う視点があるかないかは重要だろうね」
と言う訳で今回は小説は大衆文芸だと言う話でした。
人によってはラノベは文芸ですらないという人もいますけど、今回は便宜上そう呼ばせて頂きます。
小説だって商品です。読者に受けてナンボです。売れる小説にはみんな群がり最終的に印税ガッポガッポです。つまり、売れなければいけない訳です。独りよがりの訳の分からない読み辛い作品じゃあダメなんです。
後は時代の流れもあります。今売れる為には今の時流を読まないといけない。しっかり研究して流れに乗る作品を書かないといけません。変なプライドは邪魔なのです。
読者に媚びて媚びまくった結果がテンプレなのです。嫌う人も多いですが、それを好きな人もまた多いのです。この方程式が通じる間はテンプレ書いときゃ安泰なのです。勿論工夫は必要でしょうけど。
小説は一点ものではありません。多くの人に読んでもらえてこそなのです。多くの人に読んでもらうには多くの人に好きになってもらわないといけません。それは嫌われる要素を少しでも減らすと言う事になります。
これは小説に限りませんよね。漫画もアニメも音楽も映画もゲームも家電製品もお菓子も車も……考えて見れば多くの商品がそうです。消費者に手に取って貰う事が重要です。そして一度手に取れば手放せない魅力がある事も。
だからこそ独りよがりにならずに受け取る側の事を意識していかに満足してもらえるか、それを考えなくてはいけない。私はそう思うのです。
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