異世界は霊界だった?

「今回のテーマ、何ですか?これ」(冷めた表情で)


「いやぁ、異世界転生モノとかあるじゃないですか」


「なろうとかで人気ジャンルやね」


「アレ、変じゃね?」


「ん?」


「転生って割に転生してなくね?」


「ほうほう?と言いますと?」


「転生したならその先の世界での生活がまずある訳で一応は別の人生を歩んでなきゃおかしい」


「せやな」


「異世界転生物語でそう言う描写のある作品ってあるの?」


「中にはあるんじゃね?」


「よくトラックにぶつかって転生とか言うじゃん。でも異世界に場面が移った後に赤ん坊から始まってる?」


「なんか記憶喪失の人の記憶が戻った感じの描写的なのはあるような」


「ちょっとでも霊的知識があればね、ああ言うのを転生とは言わない」


「んー、まぁね」


「あ、そうだ!転生描写の参考にするのにいい作品があったよ」


「ほう?」


「ファンタジックチルドレンってアニメだよ。あの作品レベルの転生描写が転生作品には最低限必要だね」


「おお、名作じゃないですか。確かにあの作品は転生した時代の生活の描写ありの途中で転生前の記憶が蘇りの中々深い作品だった」


「あの作品でも霊的知識的に正確と言う訳ではないんだけど……転生描写は正しく描かれていると思うよ」


「今の転生モノは異世界転移モノだね。色々都合が良すぎるけど」


「どーせチートな物語とかなんだから都合がいいのは仕様なんだけどね」


「でさ、こう言う転生モノがあり得る設定は何だろうって考えた訳よ」


「そんな都合のいい話が……」


「それが今回のタイトルだよ」(ニヤリ)


「れ、霊界?」


「そ、人が死んだらそのまま行き着く世界とされているところ。ここは死後の意識のままその世界に行く訳だわ。本来はまぁ色々と手続きがあるとされているんだけど、その手順をすっ飛ばせば異世界転生モノの舞台に相応しい設定になる」


「おお……その視点はなかった。でもトラックに撥ねられているんだし、死者の世界に魂が赴いたって言うのは理にかなってるねぇ」


「そ、本当の主人公の身体は現世に死体となって転がっているんだよ」


「霊界は人の魂の集合体だからさ、色んな世界があるんだよ。ゲームっぽい中世ドラゴンな世界だってあるのかも知れない」


「うまく説明出来たねえ」


「で、馬鹿猫は異世界転生モノの話ってよく読んでるの?」


「実は全然読んだ事なかったりして」


「ギャフン!」


 と、言う訳で今回取り上げたのは異世界転生モノの設定についてです。

 私は趣味がムー的なアレもあって霊的知識は普通の人より多少詳しくて、物語などでいい加減にそう言う設定が使われるとモヤモヤしてしまう性分なんです。

 神様の定義がおかしかったり今回の転生もそうだけど原則が無視された表現を見かけると物語を素直に楽しめなくなるんですよ。


 そもそもチートな物語に整合性なんて持ちだしても仕方ないんですけどね。

 単に読者の読みたい設定をそう言う言葉で都合よく表現しているだけですしね。


 しかし、異世界転生モノって誰が始めたんでしょう?間違って召喚された主人公って設定は割と昔からあった気はするんですけど。


 今の転生モノってトラックに轢かれるんですよね?そうしたらその体ごと異世界に飛ばされるの?現実世界から見たら体が消えちゃう不可思議現象が起こっているの?

 転生って言うくらいだから身体は別の体になってるのが普通ですよね?チートな能力も授かってるんだし。性別だって違っていてもおかしくない。


 で、異世界に舞台が移った描写ですけど、大抵は記憶喪失の人が記憶を取り戻す感じの描写じゃないの?その世界でのそれまでの生活の描写とかある?その世界での両親やその世界での友達とかは?


 ここまで?マークが並ぶのは私がその手の作品を読んだ事がないからなんですよね。

 でもネタで聞こえてくる設定が大体そんな感じだから、霊的知識的に正しい転生モノってあるのかなって思って。


 実際、読んで確認しようとカクヨム内の読めそうな軽い短編の転生モノを幾つか斜め読みしてみたんですけど、強引に転生してしまってる描写ばかりでしたよ。短編だからだったのかなコレ。


 転生と言うキーワードをうまく作品に生かしていると思うのが10年くらい前に放送していたファンタジックチルドレンと言うアニメ作品です。

 この作品での転生は地球から異世界に、ではなく異世界から地球にってなっているんだけど、ちゃんと転生後の生活描写から始まって後に転生前の記憶が蘇る作りになっています。

 ここ、重要ですよ!こう言う流れがないといけないんです、本来は。


 なのでラノベ界隈の異世界転生は正しい転生じゃないんです。どうしてこうなった。

でも転生モノって数多く出ているそうだから、中にはそう言う転生モノの物語もあったりするんでしょうけどね。


 現実世界の記憶と経験を持ちつつ、現実ではない世界に出現する。召喚された訳ではない。となるとこれって異世界転移ですな。実際、異世界転移ってジャンルもあったりするようで。じゃあそう言う物語の最終目標って現実世界に戻るって事にならないのかな?戻る様な話は……あるのかもなぁ(汗)。


 話をここで終わらせたならラノベの転生モノっていいかげーん、で、終わるのですが、逆にその設定で問題ないパターンを考えたんです。

 色々考えた結果、あ、これって霊界なんじゃね?って閃いた私。何故なら舞台を霊界にすれば色んな矛盾点が綺麗に解消されていくんですよ。


 まず第一に現実世界で生活していた記憶がそのままで異世界に現れる点。人は死後相応しい霊界に赴くのですけど、そこで記憶は消されません。現実世界の知識と経験を持ったまま霊界で生活をします。

 次に霊界にも現実世界と同じような自然があって人がいて街があります。そこで人々は生活をしています。

 霊界の中には魔法的な力を使える世界もあります。地獄に近い世界なんて魔界と言って差し支え無いでしょう。

 最後に転生方法がトラックって、そのものずばり死んだって描写じゃないですか。


 以上を持ちまして、ラノベの異世界は霊界だった!と言う話の根拠とさせて頂きます。御静聴、誠に有難う御座いました。(ぺこり)

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