クール

「今回のクールって何?」


「それはね、私の他人からの評価」


「は?馬鹿猫、人からクールって呼ばれてんの?」


「呼ばれてはないけど一部の人にそう思われてるみたいなんだ」


「クールゥ?この顔でぇ?」


「こ、こら、そんなにジロジロ見るな」


「どう見てもクールって顔じゃないけど」


「顔でクールかどうか判断するなよ!」


「でもそう言われたって事は根拠があるんだろ?少なくとも見た目でないし」


「見は目はいいの!ネットで言われたんだから見た目は関係ない。そう、そう思われる出来事があったんだよ」


「へぇ、どんな事があったの?言ってみれ、ほれほれ」


「何だよその口ぶり…まぁいいや。あれは当時PSOをしていた頃の事だったよ」


「ほう、ネットゲームのイベントで…」


「かいつまんで話すと当時のネット知り合いとゲームをしていたんだけどある日彼からメールが来たんだ。内容は持病が悪化したからゲームを引退するってものだったんだ」


「ふむふむ」


「私はそのメールに書いてる持病の様子があまりに重かったから引退は仕方ないね。今まで有難うって感じの内容で返信したんだ」


「ほうほう」


「で、次の日にゲームをしたら彼が普通にゲームに参加していて私は空いた口がふさがらなかったよ」


「それはそうだねぇ。彼は何て言ってたの?」


「みんなが引き止めるからやめるのやめたって…それでその時に出た言葉が『あなたはクールですね』って言うものだったんだ」


「何でそうなるの?」


「来るもの拒まず去る者追わずって態度がそう言う風に見えたらしい」


「なるほど、ちょい分かる気がするなぁ」


「でもメールの内容は本当に重いものだったんだよ。このままゲームを続けていたら命に関わる、みたいな内容で誰がそれでもゲームやろうなんて言えるんだって話なんだよ」


「でもみんなその事知っていて引き止めたんでしょ?」


「いや、メールの文面が正しければそのメールは私だけに送ったものらしい」


「それ、信じてる?」


「あんな内容で引き止める人がいるとは思えないから信じてる。それにもう昔の話だから時効だよ」


「それでその人とは今でも仲良しなの?」


「いやぁ、フェードアウトしちゃったねぇ」


「結局その程度の仲だったって事さ、気にするなよ」


「だね。でもあの時言われた言葉は多分ずっと覚えていると思うよ」


 えー、と言う訳でどうやら私はクールらしいです。松岡修造と正反対のタイプ。情熱何それ美味しいの?が私の性格ですよ。

 

 この言葉を言われた時は地味ィにショックでした。悪い意味で言った訳じゃないとは思うんですけどね。薄情と言われたら思い当たるフシがある気がして…。

 そもそもネット友達もリアル友達も長続きしない…これが証拠ですよね。遊びに誘われても出来るだけ回避しようとするし。


 人付き合いが苦手な人はネットを探せばすぐにたくさん見つかります。だから本当はそんなに珍しい存在じゃないとは思うんですよ。一人喫茶店、一人映画館、一人ファミレス…平気な人、多いでしょ?どうか多いと言って、お願い(懇願)。


 私は基本的に来るもの拒まず去る者追わずが心情なんです。だから誰かを引き止めるなんてそんな事をした事がありません。来る者は何かを私に感じたからで去る者はそれがなくなったからでしょう。来る者を拒んでも仕方ないし去る者を追っても仕方ないと考えるタイプです。これってクール…なんですかね。


 そんな性格ですが、いい風に作用したって経験が思いあたりません。やっぱり情熱的な方がいいのでしょうか?恋人とか出来るんでしょうか?いや、別に恋人が欲しい訳じゃないですけど。

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