第18話 007とパンツ

年中コンクールのための練習ばかりをしているわけでもない。

行事毎に新しい曲は、その都度追加される。

「From Russia With Love」

という007映画のテーマ。クラッシクでは、あまり使う事の少ないマラカスが実は格好良かったりする。

それとトランペットのソロがあるので、それが実は、辛いのです。上手けりゃ辛いより楽しいのだろうが、当時は、そんな余裕はなかったのです。


市の何かの行事だったのだが高校2校と中学3校とが集まっての合同演奏会だった。同じ曲を演奏した高校は、当たり前だが、実に上手いのだ。ますます心臓がバクバクとなる。なんせソロ部分は「オレ」が吹くことになってる。ステージ上のペットの位置は雛壇といって最後部の一番高い位置になることもあるが、この時が、そうだった。Kが隣の位置に座った。1曲目は無事終了したのだが2曲目のペット3人のスタンドプレー直後にKが消えた!座る時に椅子ごと雛壇から後ろに転落したんである。下手をしたら大事故になるところです。演奏は停止することもなくそのまま進行中。そのうちKが後ろからよじ登ってきた。


オレ

 「何やってんや?」とボソボソ・・・

 「下からエリのパンツが見えた気がする」

(スネアドラムは最後部で立って演奏する)


コンクールではない内輪のコンサートなのでリラックスモードなのだが失態には違いないので失笑を買っていたはず。結局それで緊張は解けたんだが、いつものところで「とちり」いつもどおりの箇所で不発で、ホントに懲りない面々という風に見えたにちがいない。しかし、しかしなのだが、トランペットって、そういう楽器なのだよ!誰もこんな失敗をしようとするヤツなんかいるハズもないのだ。たかだか吹き始めて1年の子供には荷が重いわけで・・・それを悪ぶって平気な顔をしてごまかすしか手が無いという悲しさなんです。


※参考までに、Youtubeの「From Russia With Love」を参照しましたが、我々は、当然ながらこんなに上手くはなかったです。


http://www.youtube.com/watch?v=MYhJfwf73ww

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る