第21話
「ユピテルが、いつもと違う。」
突然ニッケルが訝しげに言いました。
「変ななものがくっついてる。」
ニッケルの声は小さく遠慮がちでしたが、その言葉は皆の注意を引き付けました。
皆、目を凝らしてユピテルを見つめました。ユピテルのすぐそばに小さな星が浮かんでいました。
奇妙なのは、その小さな星は砕かれていたことです。
「何だあれは。」「何だ。」「何だ。」
イカロスの塵達は、一斉に驚きの声をあげました。
「コリエじゃないか?」
誰かが言いました。すると他の塵達も、コリエだ、そうだコリエだ、と口々に同意しました。
「コリエって何?」
鉄が聞きました。
「ユピテルの周りを回っている子星だ。子星はたくさんあるが、コリエは一番近いところを回っているやつさ。」
鉛が答えました。
「ユピテルに近づき過ぎたのね。」
今まで不機嫌そうにしていた氷が口を開きました。
「子星は親星の強い力に引っ張られて親星の周りを回っているの。だけどあまり親星に近づきすぎると、親星の力で引き裂かれてしまうのよ。ユピテルはこの辺りで一番大きな星だからとても強い力を持っているわ。子星をバラバラにするのなんてわけないことでしょうね。」
氷の言うとおり、鉄達はユピテルに近づくにつれ、その力の凄まじさを目の当たりにしました。
ユピテルはコリエの表面をはぎ取っていました。
はぎ取られたコリエの欠片は大小さまざまな大きさの岩となってユピテルの周りに輪を作っていました。
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